中学受験算数「小4の途中からでも間に合う?」必要な力は「わり算と式」「イメージと変換力」

こんにちは。中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。

前回、小3という学年に焦点を当てて、中学受験に挑戦しようとするお子さんと保護者の方にとって知っていただきたい算数のポイントについて、30年の中学受験指導経験をもとに私の考えを述べました。
もし興味があればご一読いただけると幸いです。

この記事の中で私はこのように言いました。

中学受験の勉強は小4から本格的に始まる

これ自体は間違いではありません。
多くの中学受験指導をうたう塾が小4~小6で中学受験で出題される問題をカテゴライズ化し、それらを振り分けてカリキュラムを組んでいるのも事実です。

しかし、中には、小3の2月から中学受験に挑戦し始めた周りの友達に影響されて、小4の夏休み以降から「自分も中学受験に挑戦しよう」と考えるケースも少なくありません

中学受験するぞ!と決めたものの……

小4の2学期からではもう間に合わないのか?

「先生、小4の2学期からでは、もう間に合わないのでしょうか?」

そんな風に質問されることがよくあります。

小4の2学期からでは間に合わないの!?

決してそんなことはありません。
しかし、実際半年間のギャップを埋めていく必要はあります。

ここからは、どのようなポイントに気をつけて勉強すればよいのかを、具体的にお伝えしていきたいと思います。

まず、中学受験算数の小4前半カリキュラムを確認してみましょう。

基本的な中学受験算数の小4前半のカリキュラムはこのようになります。
これらの単元の中から一般的な塾に通う小学4年生は、2月~7月までにおよそ20単元ほどを学習しています。

1 計算 
整数の四則計算、計算の工夫、小数の四則計算、単位換算(長さ、面積、体積、重さ、時間) 
2 数の性質
大きな数、およその数、約数、倍数、あまり
3 規則性
植木算、周期、等差数列
4 文章題
和差算、分配算、つるかめ算、過不足算 
5 平面図形
角度、四角形や三角形の面積
6 立体図形
立方体、直方体、展開図
7 場合の数
並べ方、選び方(数え上げ)

こんなに多くのことが抜けてしまって本当に間に合うの?

そう思った方もいるかもしれません。
これらをすべて後追いで勉強しようと思ったら確かに大変です。

しかし、これらのうち多くは、小5になってまた学習します

小5の5月以降は割合や速さなどさらにレベルの高い学習を行っていきますが、小5の2月~4月は小4の総復習であることが多いのです。

ですから優先順位の高い単元をそれまでにしっかりおさえておくことが重要です。

そして何よりも大切なのは、小5の2月の段階で、自分がどの単元をまだ勉強していないのかをしっかり把握しておくことです。

小4で優先順位が高い単元と必要な算数の力について

それでは、小4の2学期からでも中学受験に間に合うために必要な算数の力を、大きく3つに分けてお伝えしていきたいと思います。

前回の記事で、小4の算数の学習でつまづく点①計算②図形③文章題の3つに単元についてまとめました。
そちらも御覧になっていただき、さらにその先の話をさせていただきたいと思います。

1.計算

まず、整数と小数の四則計算についてはしっかり理解しておく必要があります。
特に小数のわり算は正確に計算できるようにしておきましょう。

小4の後半までに分数の四則計算を学習しますので、毎日少しずつ地道に練習しておくことがおすすめです。

算数の基礎の基礎は計算です。

そして、計算で一番重要なポイントは、数字を一画一画ていねいに止めて適切なスピードで書くことができているかどうかです。

2.図形

まずは、面積を求める公式の完全理解です。
ただ言葉を暗記するだけではありません。特に「底辺」「高さ」についてはしっかり理解できている生徒の方が少ないといっても過言ではありません。

正方形も長方形もひし形も平行四辺形も台形も三角形も、実はすべて考え方が同じだと理解できると、面積が等しく形を変える等積変形という考え方も身に付きます。

図形において、止まっている絵ではなくて、動きや変化がイメージできると図形が楽しくなってきます。

3.文章題

文章題は「〇〇算」などいくつかに分かれてはいますが、共通して必要な力が2つあります。

まず1つめは、問題文に書かれている状況とその変化をイメージできるか否かです。

例えば、

兄と弟がみかんを持っていて、兄が4個多くもっていたとします。
このあと兄が何個弟にみかんをあげれば同じ数になるのかイメージできますか?

このくらいであれば、頭の中ですぐ2個とわかるかもしれませんが、これが複雑になったときに、頭の中のイメージを図に書き表していくことが必要になるのです。

このイメージができるかどうかを一般的には「問題の意味がわかる」といいます。

次に式を書くのはもちろんのこと、その式の意味をしっかり理解しているかどうかです。

特に、式の「=」の右側に書かれた数が何を表しているのかを理解できるかどうかが、文章題が得意になるかどうかの分かれ目です。
特にわり算では同じような式でも答えの意味がつかみにくいものがあります。ここを曖昧にしていると算数でかなり苦労します。

やらなきゃいけない勉強はつまらない

「中学受験に挑戦しようと思った時期が小3の2月よりも遅かったら算数はどのように頑張ればよいのか」、について思うところを書いてみました。

一番避けたいのは、追いつくために勉強量や時間を増やして焦ってしまい、「あれもやらなきゃこれもやらなきゃ」になってしまうことです。

よく聞かれるのは、
「あなたが中学受験をやりたいと言い出したんだから、これはやらなきゃダメ」
といった叱咤激励です。

「あなたが受験したいって言ったんでしょ!」つい言ってしまいますが……

これもあまりよくありません。

なぜなら義務感が強い勉強は楽しくないからです。そして楽しくない勉強はなかなか得意にはなりません

楽しい問題を通して中学受験算数に挑戦してみたい

やらなきゃいけない勉強ではなく、難しい問題に挑戦してみたいという気持ちになれる講座をお探しの方はぜひmath channelにご相談いただければと思います。

算数を楽しく手を使って考える経験ができる講座がいくつもあります。
小4であれば、おもしろ中学受験講座や中学受験良問講座がおすすめです。

一緒に楽しく中学受験をがんばりましょう!

(文責:滝澤幹)

滝澤先生のこちらの連載もぜひどうぞ!

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この記事を書いた人

御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。