こんにちは。中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。
今回は中学受験に挑戦しようとするお子さんと保護者の方にとって大きなテーマである、中学受験準備に必要な力について、30年の中学受験指導経験をもとに私の考えをお伝えしていきたいと考えています。
中学受験の勉強は小4から本格的に始まる
中学受験の勉強が本格的に始まるのは小4からと考えてよいでしょう。
多くの中学受験指導をうたう塾が小4~小6で中学受験で出題される問題をカテゴライズ化し、それらを振り分けてカリキュラムを組んでいます。
しかし、何の準備もせずにいきなり小4から中学受験用の勉強をはじめようと思ってもいざ入ってみたらついていけなかったということもあります。
実は多くの塾では小1から授業を開講しています。
小1から通わせなければならないのでしょうか?
しかし、そんなに低学年から塾に通わなければいけないのか?と考える方もいらっしゃるでしょう。
そこで、今回は小4の算数の学習でつまづく点を、以下の3つの単元
- 計算
- 図形
- 文章題
についてまとめます。
それをもとに、小3までに身に着けておいてほしい算数の力について私の考えをお伝えしていきたいと思います。
小4の算数でつまづくポイント
まずは小4のはじめに学習する内容とつまづく点についてです。
1 計算
小4の2月から春期講習までに多くの塾では、整数の四則計算や計算の工夫、大きな数やおよその数などの学習をします。ここでまずついてこれなくなってしまう生徒の特徴は次の通りです。
(1) 暗算すべき計算ができないこと
暗算すべき計算とは、最低限次の4つです。
①2けた+2けた
②2けた-2けた
③2けた×1けたのかけ算
④2けた÷1けたのわり算(余りのある計算も含む)
これらができないと、授業についていけなくなる可能性が高くなります。
(2) 数や式をていねいに書くことができないこと
①字が乱雑。横1列に式を書くことができない。
②6と0の見分けがつかない。
③0、6、8、9などの〇がつながらない。などなど
(3) 計算のルール(順番)を理解できない、またはすぐに忘れてしまうこと
①+-よりも×÷が優先であること
②+とーは左に書かれているものが優先であること
③( )のある計算など複雑になったときなど
計算については、これは小3のうちにすべてできるようにしておいて頂けるとつまづきがかなり減ります。もちろん、たまに計算間違いをしてしまうくらいのことは全く問題ありません。間違えたら直せばよいことです。
2 図形
小4の2月から春期講習までは角度について学習する塾が多くあります。また正方形・長方形をはじめとする四角形の特徴や面積の出し方なども続けて学習します。ここでつまづく生徒の特徴として考えられるのは以下の点です。
(1) 図をていねいに描き写すことができない。
たとえばたてよこが2cmと5cmの長方形1つ描くにしても、長さの比率であるとか、直角の具合をおおよそ正確に描けているか、角度なども30°と45°と60°、120°などしっかりかき分けられるかなど、図をていねいに描く力は必要です。
(2) 出題された複雑な図形の中から二等辺三角形など重要な図形を見つけ出すことができない。
特に角度の問題では、二等辺三角形を見つけ出すことが最大のヒントになることが多いのですが、なかなか見つけられない生徒は角度が苦手になることが多いです。
3 文章題
小4でまずはじめに学習する文章題は、植木算や数列などの規則性の問題と、和差算や分配算など線分図を利用する問題です。ここでつまづく生徒の特徴として考えられるのは以下の点です。
(1) 問題に書かれている状況を、絵や図に表すことができない。
(2) 文章または①でかいた絵や図を数式に変換することができない。
(3) ひとつひとつの式と答えがそれぞれどういう意味なのか何を表しているのかが理解できない。
以上、小4のはじめに算数でつまづくポイントを私なりにまとめてみました。あてはまる点もあったのではないでしょうか。
実はこれらすべてをクリアしなければいけないということではありません。
逆にこれらの多くのことにあてはまるけれども算数は得意で大好きという生徒もいるほどです。
重要なのはもっと内面の問題です。小3のうちに身につけてほしいことは実はたった3つのことです。
小3までに身につけてほしい力とは
1 整数の四則計算を苦にしないこと
整数の計算については、小3のうちに前述の点についてはクリアしておいていただくとよいと思います。「計算嫌い」になっていないことがとても大切です。簡単な解き方になるように工夫するようになって楽しく計算できるようになるとかなり算数が得意になります。
2 問題に対して正しい方法で正解を出したいという気持ちをもつこと
小4のはじめでつまづいてしまう生徒の多くは「とにかく早く問題をおわらせたい」という気持ちが強い生徒です。字を早くかく、問題を読み飛ばす、図や式は書かない、なんか答えだけ出したい。その答の数字が正解の数字と同じであればそれでいい
このような気持ちを持っている生徒ははやり算数ができるようにはなりません。小3のうちに、正解だけにこだわることは長い目で見てデメリットしかありません。算数にとって大切なことは、解き方に対する探究心です。
3 手を使って書く(描く)こと。そして書いた(描いた)ものの意味や理由を説明できること
算数の問題を解くために必要なことは、問題文に書かれたことを絵であれ、図であれ、式であれ、別の方法で書き換えてあげることです。そして自分がなぜそう書いたのか?書いた式や数字は何を表しているのかを説明できることです。あくまでも問題を解く過程こそが問われていることだということを理解していただきたいと思います。
中学受験を目指す小1~小3の方へ
なによりも、中学受験算数の学習で大切なことは「苦手意識を植え付けない」ことです。
特に小4の2月~春期講習までの早い段階でつまづかないことが大切です。
そのために必要な準備は、実は勉強した量や内容よりも、勉強に対する考え方です。
正解したか否かも大切かもしれませんが、そこに至った考え方をいかに書くことができたかにこそ価値があるということを忘れずに算数の問題と向き合って楽しく考えていただければと思います。
小1~小3で、そのようなコンセプトで算数の問題と向き合いたい、経験してみたいという方はmath channnelにご相談いただければと思います。算数を楽しく手を使って考える経験ができる講座がいくつもあります。
また、小3からであれば、おもしろ中学受験講座や中受良問講座がおすすめです。
一緒に楽しく中学受験をがんばりましょう!
(文責:滝澤幹)