こんにちは!mathchannel編集部のずーです。
やってきました、
子どもの算数センスを磨く声かけ・働きかけのコツをお伝えしていきたいシリーズ第2段!
この記事は、「時計」について紹介する【後編】になります。
【前編】では、
①アナログ時計を用意しよう
②時計を読める段階になっているかチェックしよう
③「ちょっと待って」を「長い針が〇になったら」に言い換えよう
④③の応用として、「あと〇分待って」や「長い針が〇分になったら」とステップアップしていこう
というところまでお話ししました。
未読の方は是非チェックしてみてくださいね!
質問をしてみよう!
さてさて。今回はその続きです!
・長い針を使って、〇分に〇〇(例:15分に出発)の約束ができる。
・5分、10分、15分、55分など、長い針が数字を指している時の時刻(分)が読める。
・1めもりが1分であることが経験上わかっている。
という段階にある子どもには、次のステップとしてどんな声掛けが有効でしょうか。
まずおススメしたいのは、
前半最後にお話しした「あと〇分待って」や「長い針が〇分になったら」の状況での質問です。
「あと〇分待って」の前に、「いま何分?」と質問してみる。
「長い針が〇分になったら」の前に、「あと何分ある?」と質問してみる。
これによって、これまで言われた表現を理解していれば済んだものが、自分で時刻を読んだり考えたりする必要がでてくるので、より時刻や時間を扱えるようになります。
どうぞ、これまでのやりとりに質問を織り交ぜてみてください。
でも気を付けて!
ただし、ここで注意点が1つ。
この、「あと何分ある?」や「いま何分?」は、すごく”テスト”になりやすい質問です。
実際、算数のテストにありますよね。
「〇時〇分から 〇時〇分までは 何分ですか」とか
「なん時なん分 ですか」という文言。
これ、たずね方によっては、言われた方は試されている感じがしてあまり気持ちのいい会話になりません。
例えばあなたがファミレスのアルバイトをしていたとして、店長から「はい、〇〇さん、来週からはじまる新メニューは何ですか?」なんて聞かれたらイラっとしませんか?(笑)
もしくは、答えに詰まると叱責するような店長だったら、委縮して返答するのが嫌になりますよね。
子どもも、パパやママには試されたくはないはずです。
ではどうしたらいいかというと……
……
……
「ヘルプミー!」の精神で聞いてみてください!
「(私も知ってるけど、さて)あと何分あるかな?」(=試している)ではなく、
「(私が分からないから)ねえ、あと何分ある(か教えて)?」(=助けて)という場面で聞いてみるのです。
こんなシチュエーションでどうぞ
例えば、家族でお出かけする日があるとして、8時半に出発する予定だとしましょう。
子どもにも「長い針が6になったら出発するからね」とあらかじめ約束をしておきます。
蛇足ですけど、出かける際に約束するって大事だなあと思います。
子どもはまだ未熟な存在だと思うと、ついついこちらがあれこれ頑張って準備してせわしなく動いて、
「(あー!やっと行ける!)はい、いくよー!」なんて言ってしまいがちなんですけど、
きちんと前もって予定を伝えて、「よろしくね。」って言っておくと、意外にわかってくれるし、
一人前に扱うことで行動も促されるな。と。
何より子どもも心の準備ができたほうがいいですもんね。
でかけることぐらいは分かっていたとしても、
やはり楽しく遊んでいたのに突然出発になったら嫌じゃないですか。
えっと…なんの話でしたっけ?
そうそう、準備の際の声かけでした!
8時半にむけて準備をしながら、8時を過ぎたあたりでしれっと聞いてみるわけです。
「〇〇ちゃーん!ごめん、あと何分あるー?」
(忙しいから代わりに時計見てー!)
これなら、テストの雰囲気無しに聞くことができます。
ダブルでうれしい
しかもこの作戦のいいところは、子どもが答えられなくても、はたまた間違ったとしても、手伝おうとしてくれた姿勢に「ありがとう!」と言えること!
あまりしっかりお願いせず、答えを真面目に待つのではなく、「あ、読めそうにないな」と思ったらさくっと(自分が)時計が読める位置までいって、「おーあと〇分かあ、ありがと!」と言ってしまいましょう。
違う答えが返ってきた時も、「え?ほんと?大変!もうそんだけしかない??」と言いながら時計を見に行って、「ああ、よかった。6までだからあと20分あるわ。ありがとね~!」と伝えれば、さりげなく正答を教えながら感謝できますよ。
ふと「いま何時かな?」「あと何分だろう?」と思ったときには、時計をみる前にお子さんに聞いてみてくださいね!
長針の次は短針!
さて。これまでお伝えしたようなやりとりに慣れてくると、
①時刻の読み
②ある時刻からある時刻までの時間
③ある時刻からある時間経過したあとの時刻
という、時刻と時間の基本的な3つのことを会話中で操れるようになります。
(時刻は長針のみ、時間も短めと限定的ではありますが)
時計という道具にもだいぶ慣れ親しんでいて、短針の存在にもそれなりに気付いているでしょう。
であれば!
次はいよいよ「分」ではなく「〇時」が読めるようになってほしいですね。
そのためにお伝えしたい作戦(いつから作戦になったんだ)は2つ。
①さりげなく時刻つぶやく作戦
と
②絵本で一日を体験しよう作戦
です。
順に1つずつ解説していきますね。
韻を踏んでみました(自己申告)
まずは①さりげなく時刻つぶやく作戦。
これは今までとほぼ同じ発想で、
「〇時△分」という表現を大人が子どものそばで言うことによって、それとなーく
「ふむふむ。父ちゃんや母ちゃんによれば、どうやら「△分」の前に「〇時」という言葉をつけることがあるらしい。しかも「〇時」の「〇」って今まで無視され続けたこの短い子が指してる数字とほぼ一致してね?つまりこの先△分の前を読みたかったら短い針の指す数字を読んで〇時と表現すればOKなんじゃね?」
ということに気付いてもらおう!という作戦です。ホント、これまでの手口と一緒なのでこれ以上の説明は不要でしょう。
時に日常以外でも
そして②絵本で一日を体験しよう作戦。
これは、本屋さんによくある、時計のついた絵本に助けてもらおう!という作戦です。
例えば、
や
といった絵本にはだいたい主人公の一日の生活が描かれていて、その生活時刻にあわせて付属の時計をまわしながら読むようになっています。
「12時になったのでお昼ごはんを食べます。」とか「もう(夜の)8時だね。そろそろ歯磨きして寝よう!」みたいな文言があるので、自分の生活と〇時の表現を結び付けて考えることができます。
日々の生活でぴったり〇時という瞬間に時計をみることが少ないですし、一日は長いのでその辺はフィクションにお力添えいただきながら体感できればいいのかなー?と思います。
こちらも気を付けて!
この時計つき絵本、私としては長針に連動して短針が進むものがオススメ。
そんなの当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、時計の機構が難しいのか、中には短針も長針もバラバラに手で動かすものがあるんです。
ここはやはり長針をぐるっと一周すると短針がひとつ隣の数字に動くことを掴んでほしい……!!
(出版社さん、お願いします!)
ちなみに、上の本は私自身が小さい時に読んでもらっていた本で、下の本は長男が小さい時に購入したものです。
本当は、懐かしのプータンを息子にも紹介したかったんですけどね。
当時の私には手に入れる術がなく、アンパンマンを選びまして……結果、彼はトーマス派だったからかあまり響かず(笑)
どちらかと言えば日常の中で覚えていった気がしますが、それでも針をくるくるして遊んでいました!
そうそう、やはり子どもが手にするとなるとこの手の本は丈夫であるかも選ぶ際のポイントになりますね。それでも針が壊れたりしてしまったら、目覚まし時計などの小さいアナログ時計で代用できます。
他にも…
どうでしょう、「〇時」を言えるようになりそうですか?
我が家ではあまり使いませんでしたが、〇時だョ!全員集合作戦もいいかもしれませんね。
お子さんが好きなテレビ番組があるなら、「ほら、もう〇時になるけん、〇〇はじまるよー!」なんて声かけを続けると、時計の形と〇時が徐々に結びついてくるかと思います。
どの作戦にしろ、あせらずちょっとずつ!です。
こちらが焦ると子どもはすぐに察知するのでのんびりいきましょうね!
いよいよ〇時△分が言えるように!
さて。短針にも慣れて、
・長針が読める
・短針が指すものの意味もつかんでいる
という段階になったとしましょう。
次は……?
そうです。もう、こうなってきたら普通に時計が読める人としていつも会話しちゃいましょう!
「ねえ、今何時?」
「明日〇時に集合だって。何時に出ればいいかね?」
などなど。
妻(夫)や同僚に聞くのと同様に会話の中で時刻を尋ねてみたり伝えたりしてみてください。
それが慣れたら、無事「時刻が読めるように」なっていると思います!!
おめでと~!!
パパママもグッジョブ!!
まだまだ続く!
でも、まだ終わりじゃありません!(笑)
その先も時刻や時計について日常で伝えていきたいことはあるんです。
例えば、
・〇時半
・〇時10分前
・18時50分などの24時制
といった表現。
それから、
・12をまたぐ場合の時間
・1時間=60分であること
など。
「時刻と時間編」はひとまずこれで終えますが、また機会があったらこの辺りのこともお話できればと思います。
コツはとにかく子どもができそうな段階になった時に大人が日々の中で使ってみせること。そして、試さずに自然に覚えるように促していきましょう~!
おしまい
以上、
「Vol.02「時計」の長針・短針が読めるようになる具体的な働きかけ」でした!
この記事を読んでくださっている方の中には、もしかしたらお子さんが学校で時計の単元を習ってきて、「ん?うちの子時計苦手なのかもあ」と考えたどり着いてくださった方もいるかもしれません。これは就学前の話?と思われるかもしれませんが、基本的には何歳であってもやることは同じかと思います。
時計の単元は1~3年に分かれていて、少しずつステップアップしていきます。
あせらずおうちでも時計に触れることができるように、働きかけを実践してみてくださいね。
それでは、今回のお話はここまでです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
次回は、「かさ」について書いていきたいと思います。お楽しみに~!