【新連載】おうちで今すぐ実践できる!ずーさんの算数子育て術/Vol.01「時計」に親しむ具体的な声かけとは?

はじめまして。3児の母で算数パズル塾を主宰しているずーと申します。

今回より、こちらのマガジンで連載をさせていただくことになりました!
どうぞよろしくお願いいたします♪

この連載では、
「我が子に算数好きになってもらいたいな。」
「得意になってもらいたいな。」
「せめて苦手にならないようにサポートしたいな。」
と考えている親御さんに向けて、おうちでできる働きかけのヒントをお伝えしていきたいと思います
単元別に!具体的に!説明していきますので、その中でコツをつかんでいただけたら嬉しいです。

「といっても、自分は算数が苦手だったので……」
「小3くらいまでしか教えられるか不安……」
なんて思っているそこのお父さんお母さん!先生ではなく、あくまで「おうちの人ができる働きかけ」ですので、お子さんと楽しむつもりで読んでみてくださいね。

もちろん「算数にはちょっと自信があるぞ!」というあなたもご一緒に、日常の中で算数を味わっていきましょう!

今回のテーマは「時計」

記念すべき1回目のテーマは「時計・時刻・時間」です!

教科書では小1~小3で扱っています。
時計はまさに日常でもよく使うアイテムなので、家庭で接しやすい単元とも言えますよね!

さて、そんな「時計」の単元をスムーズに学習できるようにするには、おうちでどんなことをしたらいいのでしょうか?

まずはリビングにアナログ時計を用意しよう!

まずお伝えしたいのは、「(おうちの人が)アナログ時計を使ってください」ということ。
働きかけじゃないんかーい。
そう、子どもへのオーダーではなく、親の行動で伝えていこう作戦です!子どもたちは私たち親の行動をよく見ていますからね。

デジタル時計ではダメなの?と思うかもしれませんが、はじめはアナログ時計に慣れると良いです。
「時刻」の他に「時間」や「角度」や「速さ」にもふれられる、算数のつまった道具なんですよ(笑)

私の場合、年間の「月」も時計で考えてしまうことが多いですね……なんとなく右下が春で左下ゾーンが夏で……と、時計に季節を重ねてしまう同士はいませんか?いませんか。失礼しました。

問題です!“よい”時計はどれでしょう?

さ、気を取り直して……ちょいとここで問題を出すので、みなさん考えてみてください!

【問題】
ひとくちにアナログ時計と言ってもいろいろなものがありますが、次のうち、子どもが日常でふれる時計として、使いやすいものはどれでしょう? 
         

たぶん、こう並べて問われれば、みなさん同じものを選ぶのではないでしょうか。
答え……というか、私の考える最適な時計は“D”です。

ポイントとしては……

目盛りが60個ある(EFは無いし、Bは12個のみ)
・目盛りに1~12の数字がついている(Bは3、6、9,12の4つのみだし、CFは無い)
・数字がはっきりと読みやすい(Aはローマ数字なのでわかりにくいしEは読みづらい)
・針がまっすぐで指している方向がわかりやすい

といった点が挙げられます。
丁寧でオーソドックスなもの。と言ったら良いでしょうか。
Dが読みやすいのは説明せずともおわかりいただけると思うのですが、いざ時計を用意するときには忘れがちなので注意してくださいね。

「えー!リビングには私の選び抜いたこだわりのおしゃれな〇〇の時計でないと!!」という方は、子ども部屋や玄関など、他にお子さんとおうちの人が一緒に時計を目にするような場所を探して置いてみてください。

ちなみに……我が家の時計は

ちなみに現在の我が家のリビング時計はこちら。

もう子ども達は大きくなって時計がバッチリ読めるので、目盛りはありません。
それでも、まあまあシンプルなので読みやすいかと思います。

そして次に変える機会があったらこの時計がいいな~とひそかに考えている時計がこちら。

同じようなものがいくつかあるので迷いますが…
中学高校と数学の学習が進むにつれて少しずつ読める数が増えていくのがいいと思いませんか?
かっこいいし。(おっとよだれが)

……完全に余談でしたね。
まあ、リビングにシンプルなアナログ時計を置いてね!といっても、ずっとなわけではないですよ。という話でした。

さて!無事に良き時計がリビングについたとして、お子さんが時刻を読めるようになるために、どんな働きかけをしていきましょうか?

いつから始める? 働きかけの前に確認したい3つのこと

まずは、短針の読み方を教えてみる??
いえいえ。大人の感覚や小学校の算数の授業を思い返すと「なん時」の読み方って初歩的に思えるかもしれませんが、時計が読めるようになるにはまだまだ多くのステップがあるんです。

最初のステップとしてお子さんが次の3つをクリアしてから、実際の働きかけに入ってみましょう。

時計に対して「どうやらこれで“時”がわかるらしい」と認識している
→おうちの人が時計をみながら焦ったりする場面を繰り返し見る中で、学習しているはずです。
「長い」「短い」という言葉の意味がわかっている
→どちらの針がそれであるか(秒針がある場合にはそれも含めて)判断できる
1~12までの数字が読める
→「いち」が「1」という文字に対応していることが分かっていればOK。

個人差があるので〇歳ごろとは言い難いですが、これらのことができれば、時計を使って時こくや時間を判断する準備が整っているといえるかと思います♪

「ちょっと待って」の罪を認めて(苦笑)時計を使おう

算数とは少し話がそれるのですが……みなさんはよく子どもに「ちょっと待って」と言いませんか?

作業中に「これ見て!」「あれどこにあるの?」「ねえ、一緒に遊んで~」などと言われると、ついつい言いたくなってしまうこの言葉。

子どもにお願いされる
  ↓
今、手が離せないな
  ↓
「ちょっと待って」
  ↓
意外に時間がかかる
  ↓
子どもの興味が移ってしまう/待てなくて怒る・泣く/こっちが忘れる(マジごめん)

なんてことを経験した方も多いのではないでしょうか。
わたくしも…コチラノ前科ニツイテハ枚挙ニイトマガゴザイマセン

これ、子どもが大きくなると返り討ちにあうんですよね……。
「ごはんだよ!」「ちょっと待ってー」「ちょっとっていつだよ。冷めるじゃん(怒)」みたいな。

で!そんな時は!

時計を活用してみましょう。


「ちょっと待って」の代わりに(もしくは後に)、「長い針が3になってからでいい?」「長い針が5になったら行けるよー!」などと言ってみてください。

そうすることで子どもは「叶えてもらえなかった」ではなく「近い将来に実現できる!」と前向きに待てるし、こちらも「約束した」という意識を持てるし、万が一忘れても、子どもがもう一度催促したらいいタイミングがわかります。あらお得。

そしてさらにその声掛けが……時計の学習になっちゃう!

わけですね。

時計を読んでいく最初のステップとして、私はこの声掛けがオススメです。
はじめは意味がわからなくても、何度か言ってるうち
「今じゃないけど待てばできるということだな」とか
「針はこっちの方向に進むものなのか」とか
「このくらい時が過ぎるとこれだけ針が動くのか」なんてことがわかってきます。

「〇時〇分」という時刻ではなく、まずは「〇分間過ぎた」という時間についてつかめるように、「ちょっと待って」を変換できるタイミングがあったら是非声掛けしてみてください。

慣れてきたらステップアップを

そして「長い針が5になったらね」に慣れてきたら、「25分になったらね」「あと3分たったらね」などとステップアップしてみましょう!
別にわからなかったとしても言っちゃえばいいんですよ。(乱暴)

はじめから「25分」だけにせず、
「25分……ええっと、だから長い針が5になったらね。」とか、
「長い針が5になってからでいい?25分!」とか、
それとなーく「長い針が5=25分」という情報を流していけば、そのうち子どもの中でつながっていきます。

同じように、
「長い針が5になるまで、あと3分待ってて。」とか
「あと3分でこれ終わるから長い針が5になったらね。」なんていえば、
現時点から約束までの時間の表現を知ることができますよ。

どうぞ、「ちょっと仕掛けてみたけど、どうでるかな~?」なんて、ニヤニヤしながらいろいろ試してみてください。
「あ、この子こないだまでわかってなさそうだったのに今完全に理解して言ったな!」なんて気づいたときは、じんわり感動できますよ
寝返りやハイハイと同じく、我が子の成長に立ち会うチャンスです!

「ちょっと待って」の他にも、

保育園や幼稚園への出発(またはバスのお迎え)の時刻
公園から帰る時の約束の時刻

など、長い針だけに注目したらやり取りできるタイミングがあるかと思います。

これができると(算数とは関係なく)行動を促すのがとても楽になると思うので、ぜひ!

毎日子どもと一緒にいる親だからこそ!

ここまでで、なんとなく働きかけのイメージ、つかんでいただけたでしょうか。
「1めもりは1分だよ。」とか、「長い針が5をさしてるときは25分を表してるよ。」などという教科書的な表現・教えはいらないです。
あくまでも日常生活や遊びの中で意識した声掛けができれば、「算数をしてる」とか「今問われてる!試されてる!」などという緊張なしに必要な感覚を吸収してくれることと思います!

ただ……長期戦ですけどね。


英語を1日浴びたところで話せるようにはならないのと同じで、算数の感覚をつかむのにも繰り返しの算数体験が必要なわけで、だからこそさりげなく、べつに声掛け忘れちゃったらまた違う機会に言えればいいか。くらいの気持ちで実践してみてください♪(私も何度「ちょっと待って」と言ってしまったことか)
ローマも算数センスも一日にしてならず。です。

ところで……まだ時計を読める段階までお話ししていませんよね。

どうやら初回にして前後半に分ける必要がありそうです……時計は奥が深いですね(?)
というわけで!
また次の記事で続きを書いていきたいと思います!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

考えぬく力を育てる 教えてくれない算数パズル塾Pazoo 主宰。 学年や教科書内容に囚われず、算数の感覚がつかめる問題や試行錯誤を楽しむ問題を作成し、『難しい問題はラッキー』を合言葉に教室を運営している。 その他、「生きる力を育む」をコンセプトにした塾や地域の子育て支援などを通して、日々子どもと戯れている人。 math channelではコンテンツ制作に関与し、算数パズルやクイズのネタを探っている。 早稲田大学商学部卒。中3、小6&小3の子どもを育てる3児の母(photo by 大江香子)