中学受験算数ナビゲーター・滝澤先生に聞く! 中受算数お悩み相談室 【第1回】「解くための工夫」をやる前に諦めてしまう

ついに2月。新しい1年の始まりです。

新小6生の皆さんは、いよいよ「受験イヤー」に突入ですね。
ここから1年、やっていけるだろうか? うちの子、大丈夫かな? 私たち、大丈夫かな?
と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

悩み多き受験生のママさん、パパさんを応援したい!という思いから、この度、中学受験算数指導歴30年の滝澤幹先生が、受験生ママ&パパのお悩みにこたえる新連載を始めます!

受験生ママ、パパから寄せられた中学受験算数に関するお悩みを、新小6男子ママの池田さんと一緒に、滝澤先生に聞いていきたいと思います。

では最初のお悩みから、どうぞ。

お悩み①「解くための工夫」をやる前に諦めてしまう

お悩み①
子どもが、自力で解けない難しい問題に直面したとき、図を描いたり数式を書いたりの「解くための工夫」をやる前にすぐに諦めてしまいます。親としてどのようにアプローチすれば、子どもが「解くための工夫」ができるようになりますか?(新小6女子のママ、M・Aさんより)

池田さん

これはうちの息子も思い当たるので、ぜひお聞きしたいです。

滝澤先生

これは、ありがちですね。

池田さん

やっぱりそうなんですね。

まずは、解き方を見せる

まずは、「解き方を見せる」
滝澤先生

まずやってほしいのは、解き方を見せることです。

池田さん

解き方、ですか。

滝澤先生

はい。簡単な解き方面白い解き方があるので、まずはそれを見せてあげてください。

池田さん

自分で解けなくても、解き方を見るだけでもいいんですね。

滝澤先生

まずは見るだけでいいんです。
あー、すごい! そうやって解くんだー!
というところから入れると一番いいかなと思います。

池田さん

そこからはどうしたらいいですか?

滝澤先生

あとは、「塾の先生に聞いておいで」でいいですよ。

池田さん

え!

え!いいんですか?

おうちの人はそんなにがんばらなくていいんです

滝澤先生

「自分ががんばって算数できるようにさせなきゃ」と思われるおうちの方が多いんですが、そんなにがんばらなくていいんですよ。

池田さん

そうなんですか!

滝澤先生

はい。その気持ちはわかるんですけど、もう塾に投げちゃっていいんです。

池田さん

塾の先生にお任せでいいんですか?

滝澤先生

いいんです。そのための塾ですから。

池田さん

そう言っていただけるととてもありがたいです!

滝澤先生

ただ、「塾で先生に聞いておいでね」って言っても、子どもって聞いてこないですよね?

池田さん

そうなんです。

滝澤先生

子どもって質問しないんですよ。
で、「なんで質問してこなかったの?」って聞くと、「先生が忙しそうだから」って言うわけです。

池田さん

あるあるですね。

滝澤先生

そうなんです。全部先生のせいにするんですよ。

池田さん

(笑)

みんなそうなんですね(笑)!

塾の先生に質問させるためのテクニック

滝澤先生

だから、そこはおうちの人が付箋を貼りましょう。
この問題とこの問題とこの問題を質問してこよう、というときは、「質」とかって付箋をつけておくんです。

池田さん

いいですね。

滝澤先生

それを先生が見たら「これ何?」ってなるから、そうすると質問せざるを得なくなる。

池田さん

「質」って書いてますもんね!

これは、わかりやすい!
滝澤先生

そうそう。
でも最初はいいんですが、段々とイタチごっこになってきて、「あ、これもう大丈夫なんで」とか言い出すんです。

池田さん

一枚上手(笑)

滝澤先生

もしそうなってきたら塾に電話を一本入れて、「すみません、今日も付箋を貼っているので、教えてください」と伝えるといいですね。

池田さん

こちらも先回りですね!

子どもも、本当は自分で解きたい!

滝澤先生

子どもだって本当は解きたいんです。
本当は自分で図を書いて色んな工夫をして解きたいと思っているけど、わからないから止まってるんですよね。

池田さん

解きたい気持ちはあるんですね。

滝澤先生

もちろんです。
だから、書こうとしないんじゃなくて、書きたいけど書けないという風に捉えてあげた方がいいと思います。

池田さん

なるほど……。

滝澤先生

だから、「ほらね」って解き方を見せたら、「これなら自分にもできそう」「自分でやってみよう」っていう気持ちにさせるのがプロの仕事なので、付箋を貼ったり電話を入れたり、塾の先生に質問するための工夫を、おうちの人はやってもらえたらと思います。

池田さん

自分の子どもならこうやったら質問しそう」っていう技もありそうですね。

滝澤先生

そうそう。子どもは基本的に質問したがらないので、自然に質問したくなる工夫、せざるを得なくなる工夫を、おうちの人も楽しんでやってみてくださいね。

池田さん

わが子攻略法、ですね。面白そう。やってみます!
滝澤先生、ありがとうございました!

相談①のまとめ

<まとめ>

  • 簡単な解き方や面白い解き方を見せる
  • あとは塾にお任せで!
  • 塾の先生に質問せざるを得なくなる「攻略」をおうちの人も楽しんでみる!

次回の相談は……宿題が多すぎて睡眠不足が心配です

お悩み②
算数だけのことではないのですが、塾の宿題が多く、とても時間がかかります。週3日の塾通いと宿題とで、毎日寝るのが22時、23時になり、睡眠不足も心配です。6年生になるともっとハードになるのかと思うと、このまでいいのか不安になります。

次回もお楽しみに!

■滝澤先生が図形の「面白い問題」「面白い解き方」を紹介するこちらの記事もどうぞ!

■滝澤先生の連載はこちら

滝澤幹先生 プロフィール

滝澤幹(たきざわ・かん)

御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。共著書に『親子で楽しむ!中学受験算数』(平凡社刊)がある。

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