<数学×映画>映画で楽しむ数学の世界。洋画&邦画おすすめ7選【後編】

算数や数学の楽しみ方にはいろいろな形があります。
「映画で楽しむ数学」をテーマに、数学者が主人公の映画や数学ネタが出ているおすすめの映画を紹介します。

前編の4作に引き続き、後編では3作紹介します。また、出てくる用語については記事の最後に解説します。

『奇蹟がくれた数式』(2016)

最初は『奇蹟がくれた数式』(2016)です。

これは、神がこの世に降り立ったといわれるインドの数学者ラマヌジャンの物語です。ラマヌジャンは円周率πを求める公式として、こんなとんでもない数式を考えついた数学者です。

$\frac{1}{π}=\frac{2\sqrt{ 2 }}{99^2}\displaystyle \sum_{n=0}^{∞}\frac{(4n)!}{n!^4}\frac{26390n+1103}{396^{4n}}$

99、396、26390、1103という得体のしれない数が並んだこの式を見るだけでも、天才ぶりがお判りいただけるかと思います。
この公式は1914年に発見され、実際に円周率計算に用いられて1985年に約1700万桁まで求められています。

映画の中では、彼をインドから招聘しょうへいした数学者ハーディとの交流の模様や、有名なタクシー数の逸話はもちろん、分割数の挙動に関する研究の様子も盛り込まれています。 さらにラマヌジャンの在英中の第一次世界大戦の様子、その中で彼が体験する英国社会における差別の実態や生活様式も垣間見ることが出来ます。

ラマヌジャンは、冒頭で紹介した円周率公式以外にも、私たちにとっては不思議と思える公式をいろいろと発表しています。別の機会に、解法とともにご紹介したいと思います。

『アルキメデスの大戦』(2019)

6つ目は『アルキメデスの大戦』(2019)です。

原作は、講談社「ヤングマガジン」に連載された三田紀房作の同名漫画です。
時は第二次世界大戦中の日本。戦艦大和建造をめぐる疑惑を、主人公である数学の天才・櫂 直が暴くというものです。

一心不乱に黒板で計算している様子や、興味を持つ対象物への対応の場面など、数学者像がややステレオタイプに描かれていますが、荒唐無稽でそれなりに楽しめます。

使っている数学は「回帰分析」「最少二乗法」かな?と勝手に思っています。CGもそれなりに使われていて、心の中では以前に観た映画『男たちの大和』や広島県呉市の『大和ミュージアム』の近くにあったその原寸大ロケセットを思い出していました。

『猿の惑星 創世記』(2011)

7つ目『猿の惑星 創世記』(2011) 。

アルツハイマーの治療薬の治験のため薬を投与されたチンパンジーの知能が向上し、人類と抗争を繰り広げるというストーリーです。

数学が関連するのは、知能の向上したチンパンジーがハノイの塔で遊ぶ場面(冒頭10分以内)だけですが、このパズルで遊んだことがあると薬の効果のすばらしさが実感できると思います。

さらに映画での円盤数(4枚)の場合、最少移動回数が15回であることが分かっていたら、20回でできたチンパンジーをすごさがもっと分かることでしょう。

前編・後編で述べた数学用語の解説

せっかくなので、それぞれの映画に出てきた数学用語について解説したいと思います。

円錐曲線(『ドナルドのさんすうマジック』登場)

円錐曲線とは、楕円、放物線、双曲線の総称です。円錐を平面で切断すると切断面に現れる図形なので、このように呼ばれます。

三目並べ(『ドナルドのさんすうマジック』登場)

三目並べとは、3×3 の格子上に、二人が交互に「○」と「×」を書き込んでいき3つ並べるゲームです。
縦・横・斜めのいずれか1列に3個「○」もしくは「×」を並べた側が勝となります。先手・後手の双方が最善を尽くすと、引き分けとなることが知られています。

ゲーム理論(『ビューティフル・マインド』登場)

ゲーム理論とは、一定の制約やルールの下で、複数の行動主体(プレーヤー)が相互に影響し合う状況をゲームと見なし、プレーヤー間の利害対立や協力関係を数学的に解析する理論のこと。

友愛数(『博士の愛した数式』登場)

友愛数とは、異なる2つの自然数の組で、自分自身を除いた約数の和が、互いに他方と等しくなるような数の組。親和数とも呼ばれます。最小の友愛数の組は (220, 284) です。

素数(『博士の愛した数式』登場)

素数とは、1と自分自身以外に約数を持たない自然数のこと。

双子素数(『博士の愛した数式』登場)

双子素数とは、例えば、3と5、5と7のように差が2であるような2つの素数の組合せのこと。無限に存在するか否かは、いまだ分かっていません。

完全数(『博士の愛した数式』登場)

完全数とは、自分以外の約数をすべて加えると自分自身になる自然数。6、28等があります。無限に存在するか、奇数の完全数はあるか等は、いまだ分かっていません。

チューリングマシン(『イミテーション・ゲーム』登場)

チューリングマシンとは、単純化されたコンピュータの数学的モデルのことです。

ラマヌジャンの円周率公式(『奇蹟がくれた数式』登場)

ラマヌジャンの円周率公式の公式の素晴らしさを実感してみましょう。

公式の右辺の初項だけを計算してみると、

$\frac{2\sqrt{ 2 }}{99^2}\frac{0!}{0!^4}\frac{26390×0+1103}{396^0}=\frac{2\sqrt{ 2 }}{9801}\frac{0+1103}{1}=\frac{2206\sqrt{ 2 }}{9801}$

です。この逆数は

$\frac{9801}{2206\sqrt{ 2 }}=3.1415927…$

となり、驚くことに円周率と小数点以下6桁まで一致しています。

回帰分析(『アルキメデスの大戦』登場)

回帰分析とは独立変数と従属変数の間の関係を表す式を数学的に推計する手法。

最小二乗法(『アルキメデスの大戦』登場)

最小二乗法とは、測定で得られた数値の組を、モデルから想定される関数(1次関数、対数曲線等)を用いて近似する場合、想定する関数が測定値を近似するように、残差平方和が最小となる係数を決定する方法。

ハノイの塔(『猿の惑星 創世記』登場)

ハノイの塔とは、3本のポールと、中央に穴の開いた大きさの異なる複数の円盤を用いたパズルです。

以下のルールに基づき、すべての円盤を左端のポールから右端のポールに移動させたら完成です。

  1. 最初はすべての円盤が、左端のポールに小さいものが上になるように、順に積み重ねられている。
  2. 円盤を一回に一枚ずつ3本のどれかのポールに移動させることができる。
  3. 小さな円盤の上に大きな円盤を乗せることはできない。

n枚の円盤すべての移動回数は、最低2n-1回必要です。映画では4枚の円盤が使われているので、移動回数は最低15回となります。

映画でも数学を楽しもう

前編・後編で合わせて7つの映画をご紹介しました。後編で紹介した4作も、DVD購入やレンタル、あるいは動画配信サービスの利用等により視聴できます。ぜひ、お楽しみいただけると幸いです。

(文責:三浦章)

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