「フローチャート」って何だろう? 算数や日常生活にも使えるワザをご紹介!

フローチャート」ってご存じでしょうか?
「フローチャート」とは問題と解くための手順を書く方法です。


この記事では、そんな「フローチャート」について解説します。
うまく書けるようになると、算数をはじめいろいろな勉強が理解しやすくなります。

なお、フローチャートについては、過去のマガジン記事にでも紹介されています。
こちらも併せてご覧ください。

まずは、フローチャートと切っても切れない関係にある「アルゴリズム」という言葉の定義から見ていきましょう。

アルゴリズムとは?

みなさんは、NHK Eテレの番組「ピタゴラスイッチ」で「アルゴリズム体操」を見たことがありますか。
多くの人がぶつかることなく楽しそうに体操していますね!いろんな動作を、ぶつからないように、うまく盛り込んだ体操です。ここから、アルゴリズムは何かという雰囲気が伝わってきます。

アルゴリズムとは、数学、計算機分野、あるいは色々な仕事をするときに、問題を解くための手順を定式化した形で表現したものです。

アルゴリズムは1つの問題に対し、複数ある場合も多く、その場合は複数のアルゴリズム中から最善と思われるものを採用することになります。

ピタゴラスイッチはピタゴラスとスイッチを組合わせた造語です。ピタゴラスは、「ピタゴラスの定理」で有名な古代ギリシャの数学者です。

アルゴリズムは、インドの記数法をアラビアに伝えてアラビア数字の記数法としたアラビアの数学者ムハマド・ビン・ムーサ・アル・フワーリズミー(9世紀)の名前が語源と言われています。

フローチャートとは

このアルゴリズムを図で表す手段フローチャートです。
フローチャートは、流れ図または流れ作業図とも呼ばれ、作業の各ステップを様々な形の箱で表し、それらの間を実線または矢印で繋いで流れを表すことで、アルゴリズムを表現するものです。

以下にフローチャートの書き方を説明します。 

  1. 使う箱は下図(a)の様なものです。
  2. 具体的な処理は、なるべく図中の記号の中に書きます。
  3. これらの箱を線で結んで処理の流れを表します。上から下、左から右へ進む処理は通常の場合、矢印を付けません。
  4. 一つの判断から分岐を二つ以上書く場合は、下図(b)の様にします。その際、分岐の出口には分岐条件を明記することをお忘れなく。分岐条件記述に良く用いられている記号には、等号・不等号(=、≠、<、≦、>、≧)、yes/no等があります。

正しいフローチャートを作るには、分岐条件が重複なくもれなくなっているように留意することが必要です。

フローチャートの例(算数)

いくつか例題でご紹介しましょう。算数の問題です。フローチャートはこのような問題に対応するプログラムを作成するためによく使われています。

例題1)入力された整数(N)が6の倍数であるか判断するフローチャートを書いてください。

6の倍数の判定方法は、2の倍数であってしかも3の倍数であることを知っていれば、すぐに書けますね。下の図のようになります。

例題2)現在使用されている暦の年(Y)がうるう年か平年か判断するフローチャートを書いて下さい。

そもそも「うるう年」に関する知識がないと書きようがありません。
うるう年とは、2月が29日ある年で、4年に1回あります。

さて、今年(2023年)はうるう年でしょうか?違いますね。
うるう年は4年に1回、簡単に言うと4で割り切れる年です。ただし、100で割り切れる年は平年です。しかしながら400で割り切れる年はうるう年にします。つまり、2000年はうるう年でしたが、1900年は平年でした。ですから、近代オリンピックを考えると、1900年パリオリンピックと2021年の東京オリンピックを除いて、ちょうど夏のオリンピックの開催年と一致しています。

これを踏まえてフローチャートを作ってみると、下の図のようになります。

現在私たちが使っている暦は『グレゴリオ暦』と呼ばれているもので、500年以上にわたり使われている由緒あるものです。
このうるう年の決め方の成り立つ理由を調べると面白いですよ。

うるう年に関しては、中学受験にもよく取り上げられています。
うるう年を使った問題に挑戦したい方はこちらもどうぞ。

フローチャートの例(日常生活)

このフローチャート、実は、算数や数学の問題を解く以外にも、仕事や、意思決定の流れなどを分かりやすく記述することもできます。日常生活を例にフローチャートを作ってみましょう。

まずは、朝起きてから登校するまでの動作を考え、フローチャートを作ってみてください。
出来ましたか。下の図の(その1)のように「顔を洗う⇒食事する⇒着替える⇒靴を履いて家を出る」だけを並べたようになっていないでしょうか? 何か気にしないといけないことはありませんか。

実際、外出時には、いろんな判断をしています。
天気を見て雨降りなら傘を準備しますし、土砂降りなら雨靴を履きます。天気予報が午後から雨なら携帯用の折り畳み傘をカバンに入れる等々考えますね。
これらを取り入れてみると(その2)のようになります。

このようにフローチャートにしておくと、漏れのない仕事が出来ます。「うっかり忘れ」がなくなり便利です。他にも、職場や学校から持ち帰る荷物が多い可能性があればトートバッグを忍ばせることも考えられますね。

最近私は、家人に頼まれ、動物病院にペット犬の耳に付ける薬をもらいに行き、塗り方の説明を聞いてきました。
どんな頻度で、どのくらいの量を、どのくらいの期間で、等々教えてくれる事柄を、一生懸命に覚えました。
そして、家に戻り、家族に塗り方を説明するために、フローチャートにしてみました。
「分かりやすい」と家族も言ってくれました。それがこれです。

終わりに

いかがでしたか?
登校準備、ペットのケアのフローチャートを通じて、フローチャートが、計算だけではなく、仕事の進め方を正確に分かりやすく表現する手段であることもお分かりいただけたことと思います。

これから、フローチャートを、勉強や暮らしの中で、いろいろと役立ててみてください。

身の回りの算数に関しては、こちらの動画もオススメです!
ぜひご覧ください!

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この記事を書いた人

みうら(三浦 章)のアバター みうら(三浦 章) math channelマガジン数学博識王

国立市在住。東京工業大学大学院修士課程を修了後、通信キャリヤで30年ほど通信サービスの研究実用化に従事。15年ほど前に、大学教員に転身。情報システム、数学、問題解決フレームワーク等を教えてきました。5年ほど前から地元公民館で月2回程度市民向け数学教室も開催しています。近頃は数学的背景のあるパズルに興味があり、その内容の発信にも関心があります。博士号(工学)、高校教員免許(数学)あり。