タキザワ流、合格力がつく!中学受験算数ガイドVol.06 暦の問題を解く裏ワザ紹介

こんにちは。中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。

前回は平面図形の裏ワザについて書きましたが、今回は暦の問題です。

中学受験算数では、「日暦算」などと呼ばれたりします。
周期算の応用問題として学習することが多いでしょうか。

進みの早い進学塾等では小4の1学期のカリキュラムに組み込まれています。
ですが、苦手としている生徒も多く、特に次のような例題は最も基本的な問題の1つですが、小6になっても正答率が高いとはいえません。

例題に挑戦してみよう 

ある年の8月5日が金曜日であるとき、次の問いに答えなさい。

(1)この年の10月10日は何曜日ですか
(2)この年の3月30日は何曜日ですか。

解説

解き方はいくつかありますが、基本はしっかりおさえておきましょう。

  1. 8月5日を1日目だと考えます。(1日目であることが重要です。1日後ではない。)
  2. 求める日付が何日目か?を考えます(何日間か?と同じ意味です。何日後か?ではない)
  3. 曜日の並びを7つの周期であると考え、1周期分の曜日を確認します。
  4. ③の日数を7でわった余りについて、何曜日にあたるのかを考えます。

ではやってみましょう。

(1) まず10月10日は8月1日を1日目として数えてみると,8月+9月と10月10日までなので、
   31+30+10=71日目です。
   よって、8月5日を1日目として数えてみると71-5+1=67日目です。

  ※ここで1をたしわすれるミスが頻発します。気をつけましょう。
   たとえば、1月5日は1月1日の4日後ですが、1月1日から数えて5日目ですよね。

  次に曜日の並びは、1日目が金曜日ですから、周期は金土日月火水木です。

  67÷7=9あまり4ですから、金土日月となり、10月10日は月曜日です

(2) (1)と似た問題に見えますが、過去にさかのぼって考えなければいけないので、
   曜日の周期が逆順になることに注意が必要です。

  まず3月1日は8月5日を1日目として数えてみると、3月+4月+5月+6月+7月と8月5日まで
  なので、31+30+31+30+31+5=158日目です。
  よって、3月30日は8月5日から数えて 158-30+1=129日目となります。(+1を忘れないように)

   次に曜日の並びは、過去にさかのぼりますから、金木水火月日土です。

   129÷7=18あまり3ですから、金木水となり、3月30日は水曜日です

いかがですか。意外と入試でも出題されることが多いですからしっかり確認しておきましょう。

ここで1つ裏ワザを紹介しておきましょう。

A 3月3日と5月5日と7月7日は曜日が同じ

B 4月4日と6月6日と8月8日と10月10日と12月12日は曜日が同じ

※AとBは別の曜日です

これを知っておくと実はこの例題は一瞬で解けます。

(1) 8月5日が金曜日なので、8月8日は、5金6土7日8月と数えて月曜日。
   よって10月10日も月曜日

(2) (1)から4月4日も月曜日、その1週間前は3月28日で月曜日。よって3月30日は水曜日

うまく裏ワザを使えるとかなり楽になりますね。

さて、では暦の問題を使った入試問題の紹介です。奈良の名門中学東大寺学園 2019年の問題です。

問題です。/東大寺学園(2019年、大問2)

西暦X年のカレンダーについて調べました。以下、〇/△で〇月△日を表すものとします。

(1) 西暦X年の2/1と8/1の曜日が同じでした。このとき、西暦X年の2/1、3/1、4/1、5/1、6/1、7/1、8/1、9/1、10/1、11/1、12/1の11日の中で、西暦X年の1/1と曜日が同じ日付を〇/△の形ですべて答えなさい。

(2) 西暦X年の6月のすべての水曜日の日にちの合計は65以下でした。このとき西暦X年の6/1の曜日として考えられるものをすべて答えなさい。

(3) (1)(2)のとき、さらに西暦X年の10月のすべての月曜日の日にちの合計は70以上でした。

①西暦X年の1/1は何曜日ですか。

②西暦X年の翌年の1/1、2/1、3/1、4/1、5/1、6/1、7/1、8/1、9/1、10/1、11/1、12/1の12日の曜日の中で、最も多くあるのは何曜日ですか。

解説

まずはオーソドックスな解き方を理解しましょう。

(1) さて、西暦X年の問題ですが、1年は何日間ですか?これはもちろん、365日である年と366日である年がありますよね。それぞれ平年とうるう年とよばれます。まずはこの西暦X年がどちらなのかを考えなければなりません。それが「2/1と8/1の曜日が同じでした」という文章がある意味ですね。曜日が同じであるということは、2/1から8/1までの日数(何日間か)が7でわって1余る日数であるということになります。(7の倍数ではないですよ。1日目と8日目と15日目……が同じ曜日なのです。)

まず西暦X年が平年であるとすると、2/1から8/1までは、28+31+30+31+30+31+1=182日間あります。182÷7=26 なので、同じ曜日にはなりません。

よって西暦X年はうるう年ということになります。2月が29日まであるということですね。

あとは、2/1、3/1、4/1、5/1、6/1、7/1、8/1、9/1、10/1、11/1、12/1が1/1から数えて何日目かを考え、
7でわって1余れば同じ曜日であるということになります。

2/1は31+1=32日目、3/1は31+29+1=61日目、……以下その前月の日数をたしてやればよいですね。何日目かに加えて、これを7でわった余りも含めて表にまとめると

1/12/13/14/15/16/1
1日目32日目61日目92日目122日目153日目
余り1余り4余り5余り1余り3余り6
7/18/19/110/111/112/1
183日目214日目245日目275日目306日目336日目
余り1余り4余り0余り2余り5余り0

となります。1/1と同様に余り1になっているのは4/1と7/1。よって答えは4/1と7/1ですね

(2) 6月は30日までありますから、水曜日の日にちの合計として考えられるものは、

1日が水曜日であるとすると、1+8+15+22+29=75 となります。
2日が水曜日であるとすると、2+9+16+23+30=80
3日が水曜日であるとすると、3+10+17+24=54 このとき6/1は月曜日

このあとは、水曜日はすべて4回ですから、日にちの合計は4ずつ増えます。

4日が水曜日であるとすると、54+4=58 このとき6/1は日曜日
5日が水曜日であるとすると、58+4=62 このとき6/1は土曜日

これ以降は、日にちの合計が65を越えてしまいます。よって、土曜日、日曜日、月曜日です。

(3) ① 10月は31日までありますから、月曜日の日にちの合計として考えられるものは、

10月1日が月曜日であるとすると、1+8+15+22+29=75日
10月2日、3日が月曜日であるとすると、それぞれ5ずつたして、80日85日です。
10月4日が月曜日であるとすると、4+11+18+25=58日
10月5日、6日、7日が月曜日であるとすると、それぞれ4ずつたして、62日、66日、70日です。

よって、月曜日の日にちの合計が70以上であるのは、10月1日、2日、3日、7日が月曜日であるときで、それぞれ10月1日は月曜日、日曜日、土曜日、火曜日となります。

つまりこの西暦X年は、6月1日が土曜日か日曜日か月曜日で、10月1日が土曜日か日曜日か月曜日か火曜日ということになります。

ここで(1)の表によって、1月1日、6月1日、10月1日だけをピックアップすると、次のようになりますね。

1/16/110/1
1日目153日目275日目
余り1余り6余り2

6月1日と10月1日は曜日が4つずれていることがわかります。

西暦X年の6月1日が土曜日なら10月1日は火曜日←OK
西暦X年の6月1日が日曜日なら10月1日は水曜日←不適
西暦X年の6月1日が月曜日なら10月1日は木曜日←不適

よって、西暦X年の6月1日が土曜日、10月1日が火曜日となり、このとき答えである1月1日は月曜日となります。

② 西暦X年はうるう年でしたから、西暦X年の翌年の1月1日は367日目となり、367÷7=52 あまり3 なので、月、火、水で、翌年の1月1日は水曜日となります。この年は平年ですから、 2月29日がなくなることに注意して(1)と同じように表をつくります。

1/12/13/14/15/16/1
1日目32日目60日目91日目121日目152日目
余り1余り4余り4余り0余り2余り5
7/18/19/110/111/112/1
182日目213日目244日目274日目305日目335日目
余り0余り3余り6余り1余り4余り6

これを見ると、余り4であることが2月、3月、11月と最も多くなり、1/1が余り1で水曜ですから、余り4は土曜日となり、答えは土曜日となります。

解説は以上ですが、まあ、面倒ですよね。ここで裏ワザの登場です。

各月の1日における「曜日のずれ」を覚える裏ワザ

平年の場合、1月1日の曜日を0として、各月の1日の曜日が何個ずれるかを表にすると、次のようになります。

1月2月3月4月5月6月
033614
7月8月9月10月11月12月
625035

この、0、3、3、6、1、4、6、2、5、0、3、5を語呂合わせで覚えてしまおうというのが裏ワザです。

0 3 3614625 0 3 5
おっさん さむいしろにゴー!おっさんゴー!

となります。

うるう年であれば、3月以降が1ずつたされますので、

0、3、4、0、2、5、0、3、6、1、4、6となり、

0 3  40 250 36146
おっさん よれ!にごれ!さむいしろ

となります。

覚えておくと2月と8月の1日の曜日が同じなのはうるう年であるとすぐわかりますから、(1)は、あっという間に1/1と同じ曜日は4/1と6/1と答えられます。

(2)と(3)①はていねいに考えなければなりませんが、西暦X年の1月1日が月曜日だとわかり、翌年が平年であることがわかれば、0、3、3、6、1、4、6、2、5、0、3、5の中で最も多いのは3で、

翌年の1月1日はうるう年なので月曜日から2つずれて水曜日ですから、0が水曜となり、3は土曜日となります。

やり方がわかっていても面倒なものは、覚えてしまえ

これは鉄則です。さらにいうと

語呂合わせはくだらない方がおぼえやすい

ことも知っておくといいと思います。いろいろ作ってみると楽しいですよ。

さて次回ですが、表現力についての問題です。

私はマスチャンネルで「表現力ゼミ」という講座を担当しているのですが、2022年の早稲田実業中学の問題で衝撃的な出題がありました。この問題について記事にしていきたいと思います。お楽しみに

早稲田実業 2022年大問2(2)

ある算数の問題を、A君は次のように解きました。

(問) 5時から6時の間で、時計の長針と短針のつくる角が直角になるのは2回あります。1回目は5時何分ですか

(式) $60×\frac{2}{11}=10\frac{10}{11}$

(答)  $5時\frac{10}{11}分$

A君のたてた(式)の中の「60」と「$\frac{2}{11}$」がそれぞれ何を意味しているのかがわかるように(式)の説明をしなさい。

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この記事を書いた人

御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。