こんにちは。中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。
中学受験の算数にはいくつか頻出題と言われる問題が存在します。その中でも割合や比に関する問題は多く出題され、割合の中でも特に出題されるのが食塩水の問題です。
食塩水の濃さの問題は理科(水溶液と溶解度)の問題ともリンクするため、しっかり理解しておきたいところですね。
食塩水の場合、食塩水の量と食塩の量の割合を濃さといい、「%」で表します。日常生活でも「%」はよく使いますね。ジュースの濃さや最近だとスマートフォンなどの充電量なども「%」で表されます。
%は全体の量を100として、溶けているものの量が100に対していくつの値になるかを表したものです。普通は100より小さくなります。もちろん理屈としては100より大きい%もありえますが,日常ではあまり使いませんね。200%なら普通は2倍、350%なら普通は3.5倍というはずです。
%を使わない濃さの表し方がある。
実は濃さについても「%」ではなく、「倍」を使って表すことがあります。一番よく見るのがめんつゆや液体だしではないでしょうか。3倍濃縮などの文字がめんつゆのびんのラベルに書いてありますね。ジュースでも濃縮タイプがあります。カルピスなんかも有名ですね。
というわけで今回は、「倍」を使って濃さを表す問題に挑戦してみましょう。
問題です。/2022年法政大学中学
果汁から、重さの8割にあたる水分を取り除いたものを「5倍濃縮ジュース」といいます。これは、水で5倍にうすめれば果汁100%のジュースになります。同様に、果汁から重さの5割にあたる水分を取り除いたものを「2倍濃縮ジュース」といいます。
いま、5倍濃縮ジュース60gと、2倍濃縮ジュース40gを混ぜた濃縮ジュースを作りました。このとき、次の問いに答えなさい。
(1) このジュースは何倍濃縮ですか。
(2) このジュースを、果汁100%のジュースにするには、水を何g入れればよいですか。
まずは問題文の意味を理解しよう
5倍濃縮ジュースとはどういう意味なのか。これが大事ですね。
「重さの8割にあたる水分を取り除いた」ということは,「重さを5分の1にした」という意味です。ですから、5倍の濃縮ジュース60gは元々300gの100%ジュースから240gの水を取り除いたものということです。300÷60=5なので5倍ということですね。同じように2倍濃縮ジュース40gは元々80gの100%ジュースから40gの水を取り除いたものです。
濃さで使われる「~倍」の意味を式で表す
元々の100%ジュースの量÷濃縮後のジュースの量=~倍 という訳です。
ですから,これらをまぜた食塩水は,300+80=380gの100%ジュースから240+40=280gの水を取り除いたものということになります。5倍濃縮ジュースとは何なのか?ということを考えて言葉を言い換えていくことが大切ですね。さて,ほとんどこれで答えが出ていますが,問題を解いていきましょう。
(1) 380gの食塩水から280gの水を取り除いて100gにしたものですから,
380÷100=3.8倍
(2) 280gの水を入れると380gになりますから果汁100%になりますね。
中学受験算数のテクニック(裏ワザ?)で解くと
中学受験算数のテクニックでは,これを%と全く同じように考えて500%60gと200%40の食塩水をまぜる問題だと思って解きなさいと教わることもあるかもしれません。3:2の割合でまぜるので,500%と200%の間(300%ぶんになりますね)を2:3でわけたところが380%になるので3.8倍
式で書くとこんな感じです。
200+(500-200)÷5×3=380
単に数字を操作するだけになっては危険
確かに理屈の上ではそうですし,納得がいくのであればいいのですが,500%60gの食塩水って実感できませんよね。60gの食塩水の中に食塩が300g入っているってどういうこと?となります。ですから,テクニックで解けることは否定しませんが,数字の意味を1つ1つ考えずに単に数字を言われたとおりに公式に入れたり,なぜその解き方で解けるのかをわからず,テクニックや裏技だけで解こうとすると応用が利かなくなります。単に答えを出せればOKという解き方がすべてだと思ってはいけませんよ。
次回は選挙の問題に挑戦しましょう
今回の問題が家庭生活と理科に関係する問題でしたので次回は学校生活と社会に関係する問題はいかがでしょうか。
2022年巣鴨中学で出題された選挙の問題です。
生徒総数311人の学校で生徒代表を3人選ぶ選挙を行いました。投票は1人につき1票で
得票数の上位3人が生徒代表となります。A,B,C,D,E,Fの6人が立候補をしました。開票が進み,残りが50票になったところで結果が以下のようになりました。Dが確実に当選するには,あと何票必要ですか。最も少ない票数を答えなさい。ただし,各生徒は立候補者の中から必ず1人を選んで投票するものとします。
A | B | C | D | E | F | 残り | |
票数 | 14 | 105 | 25 | 36 | 48 | 33 | 50 |
選挙の問題も苦手にしている生徒も多いのでぜひ参考にしてみてください。
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