フェルミ推定ってなに?どう役に立つの?「考え抜く力」が育つフェルミ推定を徹底解説!

math channelマガジン編集長の横山明日希です。

みなさん、フェルミ推定という言葉は聞いたことありますか?
この記事では、僕が手掛けた『10歳からのおもしろ!フェルミ推定』(くもん出版)の本に取り上げた内容も踏まえながら、どこよりもわかりやすくフェルミ推定について解説していきます。

『10歳からのおもしろ!フェルミ推定』

フェルミ推定とは?

正確にわからないものをざっくりと推定するもの

フェルミ推定を一言でいうと、「正確にわからないものをざっくりと推定」すること。

『10歳からのおもしろ!フェルミ推定』Amazonページより引用

たとえば「日本に猫は何匹いる?」のような問い
誰も正確な数値はわかりませんが、フェルミ推定という手法をとることでざっくりと推定することができます。

ほかにも、普通の算数の計算と比べると以下のような特徴があります。

  • 答えが正確ではなく、ざっくりとした値でOK
  • 答えも大事だが、計算する過程がとても大切
  • 問題文には計算に必要な数の情報が書いておらず、自分の知識や経験を使って数を考える

フェルミ推定はどう役に立つの?

フェルミ推定という言葉が日本で浸透しだしたのは2005年ごろから。
いわゆる「コンサルティング系の会社」を中心に、「論理的に素早く考える力」を求められる企業での採用面接で聞かれる質問として有名になりました。
もちろん、馴染みがないという方もまだまだ多く、世界的に浸透しているかというとそうではありません。

ただ、このフェルミ推定のような考え方は、特に理系の学部で実験の際や考察する際に用いることがあります。
名前の由来となった方であるエンリコ・フェルミさんも、ノーベル物理学賞の受賞経験もある物理学者です。

わからない問題に対しても考えぬく力を身に着けるためにも、このフェルミ推定が役に立つわけです。

『10歳からのおもしろ!フェルミ推定』Amazonページより引用

難しい題材を用いる必要はなく、面白くて考えたくるような題材で十分フェルミ推定の練習ができます。
『10歳からのおもしろ!フェルミ推定』の本は、この「考えたくなるような厳選した問題選定」に力を入れました。子どもが気になる「面白い問いかけ」から、ぜひフェルミ推定の世界に足を踏み入れてみてください!

フェルミ推定してみよう!

人は1年間で何リットル水を飲んでいる?

フェルミ推定の必要性がわかったところで、さっそく1問、例題として紹介します。
お題は「人は1年間で何リットル水(牛乳・ジュースなども含む)を飲んでいる?」です。

まずは、このような手順で考えてみましょう

  1. どのような式を立てれば答えが出そうか考える
  2. その式で使う情報に当てはまる数値を、知識や経験をもとに算出する
  3. その情報を組み合わせて実際に計算してみる
  4. 推定完了!より正確な値を求めるためにも、別の計算方法も使って近しい値になるか確かめるのもOK

①どのような式を立てれば答えが出そうか考える

1日に飲む水の量がわかれば、それを365倍すれば答えが求まります。

式はシンプルに
(1日に飲む水の量)×365
となります。

では、1日に飲む水の量をどう求めればいいか、知識や経験を活かしてみましょう。

②その式で使う情報に当てはまる数値を、知識や経験をもとに算出する

1日に水を飲む量を考えるために、自分はどのようなときに水を飲むか考えてみましょう。コップで飲むときやペットボトルで飲むときなど、いくつかのシチュエーションが思い浮かぶと思います。

たとえば朝にコップで1杯水を飲み朝ごはんでさらに1杯飲むとします。外にでかけてペットボトルで1本、そしてお昼ご飯などでコップ1杯、そして家に帰ってきたら夕ご飯の時も含めてコップ3杯の水を飲むとして計算してみましょう。

コップ1杯の水の量は約200ミリリットル(もちろん若干の大きさの違いはありますが)、そしてペットボトルは1本500ミリリットル。コップ6杯ほどとペットボトル1本と考えて計算してみると、1.7リットルの水を飲んでいることになります。
お味噌汁などスープ類も含めると、合計で1日2リットルほどは水を飲んでいるといってよいでしょう。

これで、経験や知識をもとに求めたい情報の値が求まりました。

③その情報を組み合わせて実際に計算してみる

一日2リットル飲むことがわかりましたので、あとは計算すればOKです。

2×365=730

④推定完了! より正確な値を求めるためにも、別の計算方法も使って近しい値になるか確かめるのもOK

1年間で約730リットルの水を飲む事がわかりました。

ほかの計算方法で、たとえば牛乳をたくさん飲む家庭では4人家族で1日2本は無くなり、だいたい水と牛乳を同じくらいの量ずつ飲んでいるとしたら……これでも同じように1日2リットル水や牛乳を飲んでいると計算できます。なんとなく、ほぼ正確な値が計算できていそうですね。

ちなみに730リットルは、ドラム缶3本半ほどの量。計算結果を想像すると非常に大きくて面白い結果になりますね。

面白い問題を紹介!

先ほどの例は本書には掲載していませんが、たくさんの魅力的な問題を掲載しています。

目次より

ちょっと変だけど答えが気になる問題を計20問掲載しました。ぜひ、手に取って頂きフェルミ推定の魅力をもっと実感してください!

YouTube動画でもフェルミ推定を解説!

先ほど紹介した問題以外にもYouTube動画で解説しています!

フェルミ推定に関する記事はこちらもどうぞ!

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この記事を書いた人

横山明日希のアバター 横山明日希 math channelマガジン編集長/数学のお兄さん

math channelマガジン編集長。算数・数学の楽しさを伝える活動を大学生の時から続けています。株式会社math channel代表取締役。早稲田大学大学院基幹理工学研究科数学応用数理専攻修了。