math channel magazine編集部です。
前回に引き続き、2019年にmath channelが実施した「算数・数学に対する意識調査」というアンケート結果から、「算数・数学好きな子に育てるためのヒント」を探っていくことにしましょう。
前回の記事では、「算数・数学が『好き/嫌い』はいつから始まるのか?」と、そのきっかけについて考察しました。
引き続き、「算数・数学が好き/嫌い」の源流を探り、どうすれば「算数・数学が好き!」な子になるのかを考えていくために、今回はまず、こちらのデータから見ていきたいと思います。
苦手な分野が、あってもいい!
今回のアンケートで数学・算数が「まあまあ好き」「かなり好き」と答えた方に対して、「数学で、一番苦手な分野は何ですか」という質問をしてみたところ、「苦手な分野は特にない」と答えたのは、わずか13%のみだったのです。
なんとなく、算数・数学に対しては、「苦手な分野があるから嫌い」「全部得意じゃないと好きだなんて言えない」と感じてしまっているかもしれません。
でも、そんなことは全然ないんです。
例えば「竈門炭治郎のどこまでも善人なところが苦手」と感じたからって、『鬼滅の刃』の全てが嫌い、というわけではないと思います。笑
「継国縁壱さんの超人的な強さが好き」と他のキャラに惹かれたり、「鬼殺隊が想いをつないで鬼舞辻無惨にどこまでも立ち向かっていくところが良い」とスーリーに心を打たれるなど、好きになるのは様々な要素があるのではないでしょうか。
また、算数・数学以外の教科でもそうですよね。
国語で「評論は好きじゃないけど小説は好き」だったり、日本史で「中世は苦手だけど近世は好き」だったりと、好きな教科だからと言って全ての分野を大好き!というわけではないことは、よくあります。
しかし、なぜか「算数・数学」においては、「一つの分野に苦手意識が出ると、『算数・数学』そのものを嫌いになってしまう」という傾向があるようです。
前回の記事でまとめた、「算数・数学が嫌い」な方は「とある分野が苦手で、数学全部が嫌いになった」という方が多いことからも、その傾向が見て取れます。
でも、苦手な分野があってもいいのです。
「この分野は苦手! でも数学が好き!」というのは、一見矛盾するかもしれません。
しかし、アンケートで87%がそう答えているのだとすると、苦手なことやわからないことがあるということを認識しているからこそ、一つの分野が苦手だとしても数学の道を歩めるのかもしれません。
「これは苦手、でもこれは面白い」と思えれば、そこから「算数・数学が好き!」の道へとつながっています。
「計算問題が苦手」でもいい!
続いて見ていただきたいのは、こちらです。
算数・数学が「まあまあ好き」「かなり好き」な方が答えた「苦手な分野」を、ランキングにしたものです。
特に注目してほしいのは、ここです。
なんと、10個ある項目の中で、計算問題は5位にランクイン。
ちなみに、今回取り上げた「10個の項目」は以下の通り。
「平面幾何」「集合・論理」など難しそうな単元が並ぶ中で、シンプルな「計算」が苦手とあげられた方がたくさんいたのです。
そう、「算数・数学が好き!」という人でも、「計算問題は苦手」な方が、実は多いことがわかります。
言い換えれば、「計算問題が苦手」でも、「算数・数学が好き!」になれるということです。
もしかすると、「うちの子、計算が苦手だから、算数が不得意なんです」と思っている親御さんもいらっしゃるかもしれません。
しかし、これを見ていただくと、「計算が苦手=算数が苦手」という等式は必ずしも成り立たないことがわかっていただけるかと思います。
計算が苦手な子だって、「算数・数学が好き」になれる!
そう思うと、希望が湧いてきませんか?
「楽しい」と「苦手」が同時に存在する?
最後にもう一つ、とても興味深いデータがありますので、ご紹介します。
こちらは、「数学で、一番楽しいと思える分野と苦手な分野は何ですか」という質問に対しての、全員の回答を集計して多かった順にランク付けしたものです。
なんと驚くことに、「楽しい分野」「苦手な分野」そのどちらも上位2つは全く同じ、という結果になっています。
それも、1位に輝いたのは、「微分・積分」。
「数学苦手な人にとっては意味わからないランキング」でも上位に食い込みそうな分野が、「楽しい」でも1位です。
そして、「抽選で何番目に引いても当たる確率が同じなんて信じられなくない?」と未だに疑いたくなるくらい見失いがちな「確率・組み合わせ」が、2位です。
つまり、「楽しいと思えるかどうか」に、「難しいかどうか」はあまり関係ないことがわかります。
では、算数・数学が好きな人は、どんなところに楽しさを感じているのでしょうか?
どうしてそれを楽しいと思うのでしょうか?
そのお話は、次回へと持ち越したいと思います。
どうぞお楽しみに!
(文責:洪愛舜)