小数のコツは、「知らなくても、わからなくても、とにかく使う!」/【連載】おうちで今すぐ実践できる!ずーさんの算数子育て術Vol.14「小数」

お子さんに算数センスが身につくように、日常の中でしれっとやっておきたい声かけ働きかけをお伝えするシリーズ、第14弾!

今回のテーマは……「小数」です!

分数とともに敬遠されがちな数、小数。
気持ちはわかります。整数のほうがやっぱりどうしたって親しみがありますもんね!

でも!

小数とも仲良くなってほしーーーーい!

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仲良くね!

そのためには、いったいおうちでどんな声かけをしたらいいのでしょう??どうしたら小数に親しむことができるでしょうか??

とにかくぶつけてみる

もうね、話はシンプルです。

どうぞお子さんが小数を知らないうちから、会話の中に小数を登場させちゃってください!
学校の算数で最初に小数を習うのは3年生ですが、それよりずっと前、4~6歳くらいから会話の中に小数を入れちゃってみましょう!

例えば…

キッズ

ご飯おかわりちょうだい!

パパママ

どのくらい?半分?

キッズ

半分より少なめがいいかな~

パパママ

おっけ。じゃ、0.3くらいね~

とか

キッズ

ねえねえ、このお菓子今だけ2個増量だって!

パパママ

いつもは8個なのに10個になってるの??
1.25倍!すごい!お得!

などなど。

「教えてないのに、知らないのに、大丈夫かな?」と思うかもしれませんが、大丈夫です。

だって子どもは、いつも知らないことだらけの中で生活してるんだもん。


これは小数に限った話ではなくて…
(そういえば、分数の記事でも同じことを言いました!)

そして算数に限った話でもなくて…

知らないことに出会う

をたくさん繰り返して、子どもたちは成長していきますよね。

知らないことを「知らないだろうから」という配慮で取り除かなくたって、子どもはへこたれません。
それよりも「出会いのチャンス!」と思って積極的に紹介してあげてください。


一緒においしいものを食べて、「おいしいね~」と喜ぶ子どもに

「おいしいね~!」と返すのももちろんGOODですが、
「うーん!美味!」って言っても伝わります。

ちゃんと、そのときのシチュエーションから「おいしい」って意味あいの言葉を発してるなって、わかるわけで。
もしかしたら「美味!」のイントネーションが面白くて次から使うようになるかも。

そうやって、どんどん習得しちゃうのが子どものすごいところ!

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だから、こちらもどんどん小数を使ってしまいましょう

工夫どころも抑えられると◎

とはいえ、手あたり次第ではなく、ちょっと意識するとよいだろうと思う点をあげてみますね。

先ほどの2つの例では、会話の最後に小数が出てきます。

キッズ

半分より少なめがいいかな~

パパママ

おっけ。じゃ、0.3くらいね~

まずはこんな風に、「その量って小数を使って表すことができるんだよ!」をお知らせするくらいの感覚がよいと思います。

そうして、たくさん小数のシャワーを浴びせた後で、伝えたい量を小数で表現してみましょう。

キッズ

おかわりしてくる~

パパママ

あ、ママのもお願い!

キッズ

どのくらい?

パパママ

0.3くらい!

ここで、0.3がどんな量かわかっていれば、

キッズ

はーい

となるし、ピンとこなければ

キッズ

わかんない!

と、反応があるかと思います。

先ほど大丈夫だから小数使っちゃって!と言いましたが、「知らないだろうから、易しい言葉に言い換える」という配慮は、この言ってみて伝わらなかったときに持ち出してあげてください。

この場合、

「0.3っていうのは1杯を10に分けたうちの3つ分」なんて説明してもややこしいだけなので

あ、わからなかったか!まだだった!と切り替えて、さらっと、

パパママ

半分より少ないくらい!

と言ってしまいましょう。
0.3の説明にはなっていませんが、いいんです。
なんとなーくつかんで、ある時、数に注目した発言が出てくると思います。

パパママ

○○ちゃん、水持ってきてくれない?

キッズ

どんくらい?

パパママ

ちょっとで大丈夫。そのコップだと……0.2杯くらい?

キッズ

えーっと、半分が0.5だから0.2だとこんくらいだよね?

パパママ

そうそう、0.1が1を10個に分けたときの大きさだから、その2つ分ね。

こんな風に、数を理解しよう、大きさを正確に捉えようとしている時を狙って、伝えてあげてください!

とにかく量感

小数といえば、かけ算やわり算での小数点の扱いが苦手~!!という声が多いですが、

計算のやり方云々を練習する前に、さきほどのような会話を繰り返す中で小数があらわす量をしっかりイメージできるようになることが大切です!

それができれば、ひとまず計算で間違えることが少なくなるんです。

「2.1」に対して、

キッズ

いうて、だいたい「2」だな

という感覚をもっていれば、「6÷2.1」の答えは「だいたい6÷2で3」になることがわかるので、例えば筆算中に6の小数点の移動を忘れてしまっても、出てきた0.28…という答えがおかしいなって気がつけるからです。

小数の計算は、たし算ひき算かけ算わり算すべて、0.1や0.01がいくつあるかを考えれば計算の発想自体は整数の時と同じなのに、数の表す大きさが整数よりはっきりしないがために何をしているのかわかりにくくなってしまうんですよね。
なので、扱う小数が表す大きさをすぐにイメージできると強いです!

計算は親がやる!?

そしてむしろ、小数の計算そのものに関してはまわりの大人に積極的にやっていただきたいかも!(苦笑)
もちろん宿題を代わりに解けと言ってるのではありません。

どういうことかというと、
さきほどの

キッズ

ねえねえ、このお菓子今だけ2個増量だって!

パパママ

いつもは8個なのに10個になってるの??
1.25倍!すごい!お得!

といった発言をするには、その場で計算をする必要があるんですよね……

小数が出てくる計算や、答えが小数になるような計算は大人でも暗算が億劫なのは承知ですが!
「算数苦手なパパさんママさんでも日常の声かけだけでお子さんに算数センスをつけちゃおう!」という趣旨のはずの連載でこのオーダーは詐欺に近い気がしますが!

この1.25倍、0.6倍などの小数倍に馴染みがあると、「小数の文章題」や「1あたりの量」「割合」の理解がスームズになるので、できることなら生活の中でも出してほしい!!!……のです。

ほら、その……ね!子どもに何かさせたかったら親がその背中をみせましょう!なんてよく言うじゃないですか。だからその……お子さんと一緒に小数に親しむつもりで、小数倍(をふくめた、何倍か)を考える癖をつけてみるというのはどうでしょうか。

分数と小数を行き来しよう

じゃあ、やってみようかな。なんて思っていただけたステキなあなたに朗報です(?)
実はさきほどの「1.25倍」は10÷8で出てくるんですけれども、10÷8をしなくても

0.1 0.125 0.1666… 0.2 0.25 0.3333… 0.5 0.625 0.75 0.8 

このあたりの小数に馴染みがあれば、簡単に求めることができるんです。
この小数、何かわかりますか?

左から順に、

1/10 1/8 1/6 1/5 1/4 1/3 1/2 5/8 3/4 4/5

と、分数に対応している小数です。0.1=1/10、0.125=1/8というわけですね。

それでいけば、10が8の何倍であるかは、こんな風に考えられます。

まず8より10の方が大きいので、1倍はある。けど2倍の16ほどはない。

のこりの2は4つ集まれば(1倍にあたる)8になるので、2は1/4倍分。

つまり、1/4=0.25だから、2は8の0.25倍。
あわせて10は8の1.25倍というわけです。

もちろん分数に対応する小数を覚えていなければすぐに求めることはできないのですが、
この分数と小数の行き来も、長い時間をかけて少しずつ馴染めていけたら便利なものなので、

パパママが知っていたら会話の中に出てくる機会が増えていいなと思います。
個人的にはこの考え方の方が機械的に計算するよりパズルみたいで面白いなと思うのですが、どうでしょうか?

単位換算だって、使っていれば怖くない!

小数に関して、もう1つおすすめしたい日常の声かけがこちら!

パパママ

○○ちゃん、(メジャーを渡して)
私こっち(端)持っておくからちょっとここまでの長さ測ってくれる?

キッズ

いいけど、何してるの?

パパママ

ここに新しく収納を増やそうと思ってさ~

キッズ

楽しみー!
えっと……1m20㎝だよ。

パパママ

てことは1.2mね。オッケー!ありがと!

こんな感じで、長さや重さが出てきた時にわざと小数で言いなおしちゃおう作戦です。

ジュース600mL→0.6L
牛肉1800g→1.8㎏

などなど、1Lに満たない量をmLで表しても小数で表してもいいんだな。
そして600mLと0.6Lは同じ量を表しているんだな。ということがわかるように、
チャンスがあったら伝えてあげてください!

以上!

今回は小数についてお話させていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございます!

それではまた次回お会いしましょう!!

■バックナンバーはこちら!

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この記事を書いた人

考えぬく力を育てる 教えてくれない算数パズル塾Pazoo 主宰。 学年や教科書内容に囚われず、算数の感覚がつかめる問題や試行錯誤を楽しむ問題を作成し、『難しい問題はラッキー』を合言葉に教室を運営している。 その他、「生きる力を育む」をコンセプトにした塾や地域の子育て支援などを通して、日々子どもと戯れている人。 math channelではコンテンツ制作に関与し、算数パズルやクイズのネタを探っている。 早稲田大学商学部卒。中3、小6&小3の子どもを育てる3児の母(photo by 大江香子)