中学受験における「新年度」が始まって早1カ月。
新6年生たちは、通塾日やテストが増え、いよいよ受験イヤーに入ったんだなと実感されているのではないでしょうか。
テキストや宿題も多くなって、タスクに追われていると、日々いろんなことがありますよね……。
そんな悩み多き新小6ママ、パパに届けたい、「お悩み相談」連載の第2回目です。
今回も、中学受験算数指導歴30年の滝澤幹先生が、ズバッとお答えします。
2回目の相談は、ずばり「宿題」について。
新小6ママの池田さんと一緒に、聞いていきましょう。
お悩み②宿題が多すぎて、寝るのが23時になってしまう
お悩み②
算数だけのことではないのですが、塾の宿題が多く、とても時間がかかります。週3日の塾通いと宿題とで、毎日寝るのが22時、23時になり、睡眠不足も心配です。このままでいいのか不安になります。
これは本当に、うちの子です! 毎日宿題に追われていて、寝るの23時を過ぎています。どうしたらいいでしょうか?
受験に受かりやすい子は、「〇〇している子」
僕は毎年たくさんの子どもたちを担当して送り出しているんですが、これまでの経験の中で「受験に受かりやすい子」っているなと感じています。それはどんな子だか、わかりますか?
え、どんな子でしょう。
「成長している子」なんです。
成長!
例えば女の子だったら、ませてる子とか、「やだー先生」みたいにおばちゃんっぽくなってる子とか。男の子でもおっさんみたいなったり、そういう「成長している子」が、「受験に受かりやすい子」なんです。
ちょっと大人びてる子、ですね!
そう。だから、受験に受かるためには要するに「成長させてあげること」が実は一番大事なんです。で、成長のために大事なのは、「寝る」と「食べる」と「運動」なんですよ。
睡眠、食事、運動。
この3つの中でも特に大事なのが「寝る」です。成長ホルモンは睡眠中に最も多く分泌されますから。
ということは……。
そう。何年生だろうが、必ず8時間以上寝ること! これが最優先。何よりも第一優先です。
これはドキッとさせられます……。
下手に長時間勉強するくらいなら、寝た方が賢くなる。これは間違いありません。
実は、やらなくていい宿題もあるんです
うちの子は23時過ぎに寝て6時くらいに起きるので、7時間足らずかもしれません。
そうおっしゃる親御さんが多いんです。宿題が終わらないから早く寝れない、と。
そうなんです。どうすればいいですか?
それは、宿題が多いんですよ。
宿題にも色々あって、「必ずやらなければいけないもの」もあれば「やっておいた方がいいもの」もあるし、中には「やらなくてもいいもの」もあったりします。
え! やらなくてもいい宿題もあるんですか!?
はい、実は。
宿題って、だいたい「基本、練習、応用」の3段階のレベルで出されています。みんな、まず基本をやってから練習をやりますよね。
そうですね。
でも実は、「練習レベル」ができるなら、「基本レベル」はやらなくてもいいんですよ。
え! あ、でも、確かに。
練習レベルの問題ができるということは、基本問題はできているということなんです。
そう言われると、そうですね。
さすがに最初から応用レベルはちょっと無理かもしれないから、まずは練習レベルを、ということです。
練習レベルができなかったら、基本からやった方がいいけど。
そんなこと、考えたこともなかったです。
宿題をどんどんカスタマイズしよう
勉強で一番つまんないのって、わかっていることを時間かけてやることなんですよ。
確かに、確かにそうです。
できる問題をさくさく解いてどんどん丸もらって、というのが大事なときもあるんですが、そうじゃないときに、寝る間も惜しんで簡単な問題を時間をかけてやりまくっても、意味がないんですよね。
そっか、そうですよね!
だからまず中程度のレベルのものをやって、それができなかったら基本のものをやる、できたなららそのまま応用に進んで一番簡単なものはカットしちゃう、という風に、どんどんと自分でカスタマイズできるかなと思いますね。やる順番が大事なんです。
カスタマイズしても良いんですね!
本当は、塾側が一人ひとりのレベルに合わせて宿題を出せたらいいんですけどね。
確かに、そうしてもらえたら理想です。
個別塾だとそういうところもあると思いますが、集団の塾だと全員に向かって同じ量を出さなければいけないので、最大公約数で全部出しちゃうんです。
だから、自分たちでカスタマイズするんですね!
練習レベルができない場合は
例えば、練習レベルができた子は練習と応用になりますが、練習ができない子は基本から始めて練習、応用とやらないといけないんでしょうか……? そうすると、やっぱり量が……
その場合は応用をやらなきゃいいんです。
え! やらなくてもいいんでしょうか? そこはまだやらなくていいレベルってことですか?
そうですね。無理に解こうとしなくても構いません。問題を見たらすぐ解答と解説を見て、「なるほど」ってなればまずはそれで充分です。
それでいいんだ……。
算数が苦手で本当に困っている子が、一生懸命応用問題をやって、いっぱい時間がかかって、それなのに後で何も覚えてないというのは、意味がありません。ミスマッチが起きているんです。
自分の子どもにそのミスマッチが起きているかどうかを知るには、どうすればいいですか?
まず、時間を決めることでしょうね。「何時には必ず寝る」っていうのを決めて、それでも終わらなかったらミスマッチ起きているということです。だからどっか減らさなきゃねって思います。寝るのが、最優先。
宿題って、減らしてもらえるの?
宿題って、減らしてもらうことができるんでしょうか?
塾と交渉してみてください。本当は子どもが直接言うのがいいんですが、子どもだと交渉しづらいでしょうね。だからまずは親御さんから塾の先生に相談を持ち掛けてみてください。
そうなんですね!
「減らしてください」でもいいし、もしくは「優先順位を教えて下さい」とか。
それは、いいですね。
子どもが直接交渉に来てくれたら一番いいですけどね。そうすると、お前は計算苦手だから絶対計算やっとこうとか、逆にお前は基本問題結構出来るから基本問題一旦カットして、練習問題からやろうとか、話すことができますから。
ではまず、うちの子にミスマッチが起きていないか、改めて宿題の様子を確認してみようと思います!
滝澤先生、今回もありがとうございました!
相談②のまとめ
<まとめ>
- 受かるためには、まず何よりも、睡眠優先。
- 宿題は、やる順番が大事。最初に中級レベルから始めてみる。
- 宿題のレベルや量がミスマッチを起こしていたら、塾と交渉するのもアリ。
次回の相談は……
お悩み②
塾の宿題を親が教えることが多いのですが、両親2人とも中学受験を経験していないので、中学で習う「数学」ではなく「算数」でどう教えていいのかわからず、親子ともに混乱してしまいます。どうすればいいでしょうか?
次回もお楽しみに!
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滝澤幹先生 プロフィール
滝澤幹(たきざわ・かん)
御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。共著書に『親子で楽しむ!中学受験算数』(平凡社刊)がある。