こんにちは!mathchannel編集部のずーです。
パパ・ママに向けて、子どもの算数センスを磨く声かけ・働きかけのコツをお伝えしていきたいシリーズ第3弾!
第1弾&第2弾では、前後編にわたって「時計」について紹介しました。
今回のテーマは“かさ”です。
雨の日にさすやつではないですよ。”かさ増し”の”かさ”、液体などの量を扱う単元の話です。
こちら、1年生で軽く触れたあとに2年生で学習し、その後小数・分数・体積(㎤)などの単元につながっていくのですが、
日常でおさえておきたいポイントが大きく2つあります。
さっそく、それぞれについてお話ししていきましょう!
存在に慣れておく
”かさ”は、”長さ”とともに2年生で習う単位の学習になりますが、
単位を扱う単元では、たいてい新しく知る単位の読み方と書き方を練習する機会があります。
かさで言えば「L(リットル)」「dL(デシリットル)」「mL(ミリリットル)」ですね。
(リットルは、くるりんとなっている筆記体の表記に馴染みがあるパパ・ママが多いかと思いますが、現在は表記が変わっています。)
さて。
この新しい方たちって、やっぱり馴染みがなかったら、仲良くなるのに時間がかかります。
「はじめまして。あの、お名前を伺ってもよろしいですか?あ、デシリットルさんですね。デシというのはこちらのDの字でよろしかったでしょうか。失礼しました、小文字ですね。普段は何をされているんですか?ああ、はい、なるほど、リットルさんが表しきれないような量についての表現を担ってらっしゃると。それじゃあ、結構お忙しいんじゃないですか?」
なんて、敬語で話しかけることから始めたい気分です。
けれども、例えばリットルという単位だけでも日常から懇意にしていたら、デシリットルとのキョリもぐんと近づきますよね。
「ああ、こいつ?デシリットル。いつもさ、オレの1杯分にも満たないような量についてはこいつに任してんのよ。」
「はじめまして!デシリットルです。いつもリットル先輩にはよくしてもらってるんすよ。」
なんて紹介されれば、良いヤツっぽくて安心します。友達の友達は友達ですからね。
注)リットルとデシリットルの関係性とそれぞれの性格はフィクションです。
要するに、
単元の中で新しい単位を習うより、日常で使えるのであれば使っておいて慣れておくと、いささか余裕をもって授業を受けられるよね。という話です。
では、いったい日常のいつなら、”かさ”の単位に慣れるようなチャンスがあるでしょうか。
お風呂のすゝめ
圧倒的おすすめはズバリ、液体の宝庫(笑)お風呂です!
もうすでにお風呂にプリンカップやらペットボトルやらが溢れているというおうちも多いのではないでしょうか。
我が家もご多分にもれず、その昔は大小さまざまお風呂遊びグッズがおいてありました。
ほぼゴミ……ゲフンゲフン、廃材なのに、勝手に捨てると怒られるんですよね……。
だったら、ちゃんとなおしんしゃい(かたづけなさい)!ペットボトルのキャップ仰向けにおくなっちゃ。水たまるやろ!
と言いたくなるんですが、なんせ子どもは好きですよね。空き容器。
で!
そこにぜひ、計量カップを付け足してみて下さい!
画像はAmazonさんですが、ありがたいことに100均でも手に入れられます。
私は500mLの大きめのものが好きですが、200mLでも300mLでも大丈夫。
選ぶ際の注意点としては、はじめは寸胴のものの方が量がわかりやすいのでおすすめです。
欲を言えば、2つ目以降こんなふうにだんだん口が広がっているものもあれば、より”かさ”についての理解が深まります。
この計量カップがあると、お風呂遊びの中に「mL」が登場することになるわけですね。
どうやって遊ぶ?
もちろん、「いい?この線まで入った水の量を100mLというんだよ。」なんてお子さん相手に授業をしましょうという話ではありません。
例えば、次のようにお湯を使ったお店屋さんごっこをしてはいかがでしょう。
すみませーん、これ(プリンカップ)にスペシャルドリンクいれてくださーい。
はーい!(ペットボトルから注ぐ)
まずは湯船のお湯が商品(スペシャルドリンク)であるという共通認識を。慣れてきたら……
いらっしゃいませー!スペシャルドリンクはいかがですかー?
くださーい。
(軽量カップで量って注ぎ)はい、こちら100mLになります。どうぞー!
先に大人側が計量カップを使うことで、100mLという言葉を登場させます。そして……
いらっしゃいませー!
すみませーん、100mLくださーい!
ここで子どもの方が「ん?100mL?」と困れば、チャンスです。
ココの線まで入れると100mLだよ。と、サポートしてあげましょう。
100mLという言葉をスルーしてテキトーに入れた場合は、「えー?ちょっと少なく(多く)ないですかー?」とクレームを入れ(笑)、違うことに気づかせます。
そして「ここまでお願いしまーす!」と、正しい線(100mL)にそれとなく導けばOK。
ちなみに「4mLください」などのちょっと量りづらい”かさ”をオーダーされたときは、「100か200でお願いしまーす。」など、商品を限定しましょう。
逆に100や200に慣れたら、80や150など別の細かい線を使って量る経験も促したいですね!
計算もしちゃう!?
さらに次のステップとして、お風呂遊びでのお店屋さんは”かさ”のたし算場面・ひき算場面にも応用できます。
700くださーい♪
??(この計量カップ、500mLまでしかないが……?)
えっとね、まず500いれちゃって?
(入れる)
あと200くださーい♪
これがたし算場面。他にも……
80くださーい。
(軽量カップに200くらい入れる)はーい。(何回もちょっと入れては水面を確かめるを繰り返し、120になったところで)はい、こちら80mLになります。
などなど。
さまざま遊びながら、「mL」という言葉やその量に慣れてみて下さい!
焼きそばホットケーキチャンス
うちの子お風呂ではあまり遊ばないんだよね。とか、もう一緒に入らないんだよね。という方は、料理の際に“かさ”を意識してみるのはいかがでしょう。
「〇〇ちゃん、いっしょにホットケーキ作ろうー?」と誘えばのってきてくれるようなお子さんなら、どうぞ牛乳を100mL量ってもらってください。
(小分けのホットケーキミックスをお使いの場合、牛乳が120mLや150mLのレシピだったりしますが、最初はやはりキリのいい量で!)
また、あまりお料理に興味がない系のお子さんには袋麵の焼きそばをおすすめします!
誘い方はこんな感じ。
まずは、パパ・ママ1人でキッチンに向かいます。
次に、肉や野菜をいためながら、皿洗いなども並行してめちゃくちゃ忙しい雰囲気を作ります。
そしていよいよ袋麺を投入しようというタイミングで叫ぶのです。
「えー?やばい(たいへん)!〇〇ちゃん!!ちょっときて!!」
そして、どうしたどうした?とやってきた〇〇ちゃんの目の前に
ドンッと計量カップを置き、
「あー、ありがと!水が必要なんだよ。これに100mL入れてー!(はやくしないと焦げるー)」
と、お願いします。
ほら、かさを量るしかない状況のできあがり!(笑)
この時も、はじめは100mLなどのキリのよい量がおすすめです。
焼きそばといえば細めの麺が特徴のマルちゃんが私は好きですが、
これは3袋分に対して水が60mLなんですよね……。
他のキリのよい量の水を必要とする焼きそばがあればそれもいいですし、
必要量は60mLだけど子どもには100mL入れてもらって目分量で半分ちょいをフライパンに入れるとか、
いっそ100mL入れてたくさん水分を飛ばす作戦に出るか。
選択はお好みで。
もちろん、慣れてきたら60mLなどにも挑戦してもらいたいですね。
任命します!
ところで、”かさ”さえ量れれば、子どもが1人で作れる料理をご存知ですか?
それがこちら。
……
……
フルーチェなどの即席デザートベース。
もちろんこれに限らず、火や包丁は使わずとも作れる料理の素ってありますよね。
「1人で作れる」
子どもにとってこれほど誇らしいことはありません。
ぜひ、200mL量れるようになったらお子さんをフルーチェ大臣に任命してください。
そして家族みんなで「おいしい!ありがとう!」と言いましょう。
ああ、”かさ”を分かってるって、家族の役に立つんだなあ。
「dL」や「L」は……
ここまでで、「mL」はわかったけど、「dL」や「L」はどうすんねん。
とお思いの方もいるかもしれませんね。
次はその「mL」以外について。
まず……「dL(デシリットル)」はあきらめましょう(笑)
いや、「cc」や「合」など、”かさ”を表す単位は日常でもいろいろあるのに、「dL」ってほぼ使わないんですよね……ここは、算数の授業でのお楽しみということで!
授業の先取りをするのが目的ではないですから。あくまで生活の中で体験できることをしていきましょう!
「L(リットル)」については、まだ日常でみかけることがありますね。
牛乳パックの上を切った1L容器をお風呂に持ち込んでもいいですし、
給湯器の残り湯量などの表示からお風呂のお湯の量の話をしても良いかもしれません。
2Lのペットボトルと1Lのペットボトルを見比べて、「2本分もあるように見えないね……?」なんて会話もいいでしょう。
そして!
「L」も「mL」も慣れたら、是非1L=1000mLにつながる会話もうま―く差し込んでみてくださいね。
お風呂のお店屋さんでいけば……
スペシャルドリンク1Lください!
はーい。1Lということは、1000mLですね。これで500…そして1000mL、1Lです!
など。時計(前回・前々回の記事)と同じく、さらっと伝えていきましょう。
2つめのポイント
さて、ここまでは「mL」ないし「L」を日常で使って仲良くなっておきましょうという話でした。
あと少し、かさについて日常で意識したいもう1つのポイントについてお付き合いください。
それは、「単位を決めたことの利便性を実感する」ということです。
ちょっと硬い言い回しになってしまいました。
要するに、単位の良さを感じてほしいということです。
さて、どうすれば感じられるのか……?
困らせましょう!(笑)
どうぞお子さんと会話するときにあいまいな表現を敢えて使ってみて下さい。
例えばこんな感じ。
スペシャルドリンクちょっとくださーい。
はーい。(ちょっと入れたつもり)
えー?これじゃ多すぎます。こんなに飲めないよ~!
子ども、ちゃんとちょっと入れたつもりなのに困惑。
そのあとで、単位を使って訂正します。
うーん、そうだな、50mLくらいくださーい。
「50mL」と、数字と単位を使って表せば、言う方も言われた方も同じ量を思い浮かべられますね。
「ちょっと」「いっぱい」「まあまあ」「ふつう」……私たちは普段こんな言葉で意思疎通を行うことも多いですが、それでたまにトラブルがあったりもします。
夫婦間で「きれい」「ちゃんと」の定義が違い、結婚後にもめたことはありませんか?うちだけですか?(笑)
「そんな時、数字や単位を使えば主観によるズレを回避できる」ってことを大人の私たちが意識していると、自ずとその話をしたり実感してもらったらいいチャンスが訪れるのではないかと思います。
「ごはんちょっとおかわり頂戴!」に対して、
「何g?」までは言わないにしても
「ちょっとってどのくらい?」と、たまに確認を入れるような会話ができたら良いなと思います。
親子で気づいてみよう
それから、こんなシチュエーションも気づきにつながるかもしれません。
スペシャルドリンク3杯くださーい!
はーい!(何かの容器で3杯入れる)
あれれ?なんだか少ないなあ??本当に3杯ですか?
子ども、ちゃんと3杯だったのに困惑。
そっか、どれで3杯か言ってなかった。1Lの容器で3杯ください♪3L欲しいです!
マス(容器)が違えば、量も変わるという経験ですね。
この他にも、形の違うコップにジュースを注いでどちらが多いか考えてみたり、
「単位がなかったころの人々はどうやってたんだろう?今は世界中で「1Lはこの量のこと!」って決まってるからみんな同じ量を思い浮かべられてすごいね。」なんて話をしてみる機会があったら、
より単位があることの便利さがわかるかな、と思います!
以上!
調子にのっていろいろ書いてしまいましたが、お風呂に計量カップを置くだけでもだいぶ”かさ”に親しむことができると思います。是非、試してみて下さいね♪
以上、「かさ」に馴染むための具体的な働きかけでした!
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回のテーマは「四則演算」です。お楽しみに♪
それでは!
おまけ
”かさ”といえば、週1更新の算数クイズでこんな問題も出しています。
パパ・ママがチャレンジしても楽しいかも!
また、実際に牛乳パックを切って3つの容器を用意し、お風呂の中で出題するのもオススメ。
リアルにお湯を移動させて試行錯誤する体験はとっても効果的なんです♪