パパママ、育児お疲れ様です!
math channelマガジン編集部のずーさんです。
この連載では、3児の母で算数パズル塾を主宰している立場として、おうちでできる「算数子育て術」をお伝えしてきました。
いつもなら、日常生活の中で算数が学べるタイミングや声かけの具体例についてお話ししているわけですが…
お子さんとの日常生活に、絵本ってありますよね!
実はワタクシ、算数教室をひらく前から絵本の読み聞かせボランティアを続けて約10年、「福岡県絵本コンシェルジュ」でもあるんです。
というわけで今回は特別編として、算数の感覚が身につく絵本を年齢別にご紹介します!
算数を学ぶための絵本!というより、しっかり絵本として楽しめて、その世界・おはなしを堪能しているうちにそっと算数の感覚を与えてくれる、そんな絵本を選んでみました。
親子で絵本の世界を堪能するうちに算数が身につくなんてまさに一石二鳥!
ざっくり3つの年齢層に分けて紹介しますので、お子さんの年齢に合わせて参考にしてみてくださいね!
それでは!
乳児・幼児・園児さんにおすすめの算数絵本
まずは、小さなお子さん向けの絵本を3冊紹介。
●「形」の基本を楽しめる、
『かたちのえほん まるさんかくしかく』全3巻 大塚いちお:作/福音館書店
●「数」に出会える、
『いっこ さんこ』及川賢治:作 竹内繭子:作/文溪堂
●「位置」を意識できる、
『うしろにいるのだあれ』作・絵:accototo ふくだとしお+あきこ/幻冬舎
です。
『かたちのえほん まる さんかく しかく』(大塚いちお:作/福音館書店)
タイトルのとおり、それぞれ身の回りの「まるいもの」や「さんかくなもの」、「しかくいもの」が発見されていく絵本です。
見開き2ページで「〇〇なさんかく、みつけた」となぞなぞっぽく語りかける
↓
次の見開き2ページでそれが何か、答えが明かされる
が、繰り返される構成になっています。
3冊とも、いろいろみつけた後に「まだまだあるよ」「さがしにいこう!」で終わるので、絵本を閉じた後もかたちのことを考えたくなるんです!
乳幼児向けのおはなし会で読んだ時も、「あ、あそこ(天井)にまるあった~!」などと反応してくれて可愛かった記憶が♪
表紙見返しにかかれたフリーハンドな〇・△・□もキュートな3冊セットです。
『いっこ さんこ』(及川賢治:作 竹内繭子:作/文溪堂)
出てくるのは「いっこ」と「さんこ」、ただそれだけ。
言葉のリズムがとっても心地よい絵本です。
算数的にみれば「数」の本ですが、どうか「1、2、3」などと数えずに、ただひたすら「いっこ」と「さんこ」の響きを楽しんでくれたらいいな、と思います。
その中で、「数える対象が変わっても、さんこあればさんこなんだ。」という数の概念がじんわりと染み込んでいくと思いますよ!
(「さんこあればさんこ」って、何を言ってるんだ?な方はこちらをどうぞ↓)
『うしろにいるのだあれ』(作・絵:accototo ふくだとしお+あきこ/幻冬舎)
この本では、「位置」がポイント。
最後のページには大人でも驚く人が多いのではないでしょうか。
何度か読むうちに、最後のページと関連させながら「位置」や「方向」を考えるようになっちゃうことでしょう!
accototoさんの可愛らしい絵柄も堪能できます。
園児~小学校低学年くらいにおすすめの算数絵本
次は、10歳以下の子どもさんにオススメの絵本をご紹介。
●日頃からかたちに敏感になれる!?
『まちにはいろんなかおがいて』佐々木 マキ:文・写真/福音館書店
●わり算や約数に出会える、
『おまたせクッキー』パット・ハッチンス:作 乾侑美子(いぬいゆみこ):訳/偕成社
●割合を考えるきっかけになる、
『王さまライオンのケーキ はんぶんのはんぶん ばいのばいの おはなし』マシュー・マケリゴット: 作・絵 野口絵美: 訳/徳間書店
の3冊です。
『まちにはいろんなかおがいて』(佐々木 マキ:文・写真/福音館書店)
こちらは写真絵本。街を写したいろんな写真が出てきます。
あれもこれも……顔にみえる!
ただ3つ4つのかたちが並ぶだけで、なんでこんなに表情豊かな顔にみえるんでしょうね!
いわずもがな、おさんぽ中に「顔」を見つけたくなる、そんな絵本です。
日頃からかたちに敏感になれるかもしれません。
私、添えられている文がとっても好きでして!
「だって ぼく まだ ちいさいもん」
「だいじょうぶ だって ぼく もう おおきいもん」
矛盾しているようで、どっちも本当なんだよなあ。
そういった子どもの気持ちや目線を感じられます。
今回久しぶりに本を手に取ってページをめくってみたら、まだ「でたらめなうた」を歌えることにビックリしました!
作中に「ぼくが うたった でたらめのうた」が出てくるんですが、その歌詞にまさに私がでたらめにつけたメロディーがあるのです。これ、私と我が子達だけが知っている歌なんだよな~って思うと、とてもスペシャルな気持ちになれますね。是非みなさんもメロディーをつけて遊んでみて下さい!(算数どこいった)
『おまたせクッキー』(パット・ハッチンス:作 乾 侑美子:訳/偕成社)
お母さんが焼いてくれたクッキーを、さあ食べよう!というところに「ピンポーン!」と来客が。その後お客さんがやってくる度に、つまりはクッキーをわけあう人数が増えていき、主人公たちの食べる分がどんどん少なくなることにドキドキします。
算数の勉強がテーマの絵本ではありませんが、算数的にみると、わけられる数が一定のときわる数が増えると商が減っていくという、わり算や反比例の感覚・約数について自然と触れることができる本です。
最後の来客があったときのなんとも言えない感情を、是非親子で味わってみて下さい!
個人的には「あら、おばあちゃんのクッキーには……」のセリフが染みます。いくつになっても越えられない母の味が、私にもあるのです。
もしこの本を読んでて「12って2でも3でも4でも6でも(ぴったり)わけられるんだね」といった発言があったら、「なんか5でわけられないのが惜しいね。1でも2でも3でも4でも5でも6でもぴったりわれる数って何だろう?」なんて、考えてみるのも面白いかもしれません!
『王さまライオンのケーキ はんぶんのはんぶん ばいのばいの おはなし』(マシュー・マケリゴット: 作・絵 野口絵美: 訳/徳間書店)
王様ライオンが招待する「おしょくじ会」にはじめて呼ばれたアリのおはなし。
作中すこーし「算数」の説明チックな雰囲気はありますが、どんどん小さくなる「半分」の「半分」にドキドキ、どんどん多くなる「倍」の「倍」にゲラゲラしながら読み進められる本です。
算数的にはカメ、イボイノシシ、インコ、カエル、コガネムシがケーキを半分にするページがとても良くて、こういう視覚情報を「半分」の「半分」の「半分」……のイメージとして是非持っていて欲しいものです。
「はんぶんのはんぶん ばいのばいの おはなし」とあるので、算数にフォーカスした絵本にみえるかもしれません。
しかし、堂々としているライオンや、自己中で卑しい他の動物たちの表情が素敵に描かれていて、私は、厳しい社会の中でも素直に相手を思う小さきアリの姿が、子ども達をそっと応援してくれるおはなしだなあ、と感じています。
小学校低学年~小学校高学年くらいにおすすめの算数絵本
最後にご紹介するのは、小学生向けの3冊、
●累乗にびっくりしちゃう、
『1つぶのおこめ さんすうのむかしばなし』デミ:作 さくま ゆみこ:訳/光村教育図書
●考えることを楽しく伝えてくれる、
『りんごかもしれない』ヨシタケシンスケ:作/ブロンズ新社
●場合の数と組み合わせにどっぷり浸かれる、
『3びきのこぶた』森 毅:文 安野光雅: 絵/童話屋
です!
『1つぶの おこめ ~さんすうの むかしばなし~』(デミ:作 さくま ゆみこ:訳/光村教育図書)
「インド」「王様」にぴったりの絵柄とともに、「倍」の「倍」の「倍」……が、大変な数になることを実感できるおはなしです。これ、私自身が子どもの頃に出会いたかった……!
はじめの方のお米は「1つぶ」「2つぶ」「4つぶ」と、茶碗に盛ろうにも話にならないような量なのに、最後の象のページを開いた時の景色は圧巻です。
『王様ライオンのケーキ』でも「倍」の「倍」を扱っていますので、そちらに親しんでいると驚きは少し薄れるかとは思いますが、それにしても主人公ラーニの話の持っていき方、その聡明さには惚れ惚れしますよ!
ちなみに……「累乗」を使って表現すれば、『王様ライオンのケーキ』は2の8乗、『1つぶのおこめ』は2の30乗の話になりますが、2の42乗の話がこちら↓
我らがマガジン編集長が語るYouTube動画となっておりますので、是非ご覧ください♪
それともう一つ。
『1つぶのおこめ』ラストのおまけ(?)ページでは「全部の数(2の0乗から2の29乗)をたしてみて」という記述があるのですが、これを簡単に求める方法があるんです。どうしたら良いか、わかりますか??
そんな話をお子さんとしても、面白いかもしれませんね!
『りんごかもしれない』(ヨシタケシンスケ:作/ブロンズ新社)
本屋さんにいけば必ず目にするくらい有名な本ですね。目の前のりんごは果たして本当にりんごなのか。裏側は〇〇かもしれない、中身は〇〇かもしれない、本当は〇〇かもしれない…何の変哲もなさそうなりんごを面白く疑ってみる絵本です。
「いろいろな角度からみて考える」という点で、算数に通じるところがあると思い、紹介させていただきました。決して高学年の算数絵本に困ったから無理やり出してきたわけじゃないんですよ(笑)他にも紹介したい絵本がある中で、3冊の中にねじ込んでみました。
数やグラフや図形などのように、「THE★算数」の姿をしていなくても、算数につながるものがあるのです。
シリーズの他の本やヨシタケシンスケさんが描かれた別の本もオススメ。(特に『みえるとかみえないとか』ヨシタケシンスケ:作/アリス館)
是非読んで「思考」を面白がって欲しいです!
『3びきのこぶた (美しい数学 6)』(森 毅:文 安野光雅: 絵/童話屋)
「美しい数学シリーズ」の一冊。
私の小中学生の頃の思い出の一冊でもあります。
有名な昔話がもとにはなっていますが……なんとこの本の狼はこぶたを食べられないどころか襲いにも行けないんですよ(笑)
哲学者である狼さんが丁寧に考えることに集中した結果、朝が来てしまって食べようとしたこぶたを諦めるおはなし。
算数の分野としては「場合の数」「組み合わせ」を扱っています。
「かんげろげろ」ってフレーズがすごく耳に残るので、我が家では樹形図を描いたらいい場面に「かんげろげろ!」「ああ、あれ描けばいいのか!」って会話がなされるほど。
狼の奥さんもいい味だしていて、おはなしも楽しいです。
お子さんが「場合の数」に向き合いたくなった時にそっと取り出してじっくり眺めらるように、一通り親子で楽しんだ後は本棚に置いて機が熟すのを待ってあげると、もう一度活躍する気がします。
「美しい数学シリーズ」は他の本も全部オススメです!
以上、おすすめしたい算数絵本9冊でした
いかがでしたでしょうか。
絵本は、気軽だし、楽しいし、大人の方も読めばいいだけで楽だし(笑)、
それでいて算数の内容ががすーっと入っていくので嬉しいアイテムですよね。
そうだ!最後に1つ注意していただきたいことが。
絵本は、「読む」ではなく「読んでもらう」ことを想定に作られているので、お子さんが字を読めても、是非パパママが読んであげてください!
それでこそ、子どもの方は内容に集中して楽しく算数を考えられると思います♪(算数の絵本でなくても同じです)
ではでは!
今回は算数の感覚が身につく絵本を紹介させていただきました。
どうぞ親子で楽しい絵本ライフ&算数ライフをお過ごしください!!
この記事で紹介した絵本
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