「立方体の『顔』の数はいくつ」?なぞなぞ算数英語で遊んでみよう①【連載】しっしー先生のmath×Englishコラボ談義Vol.5

こんにちは!math channelのしっしーです。
このmath×Englishコラボ談義では、表現や文章題を題材にして、算数と英語のコラボレーションを扱っています。今回の記事は「なぞなぞ算数英語」です。

今、マス(math)田くんは初めて英語で算数の学習をしています。
英語で書かれた算数についての文を6つ、日本語に翻訳してみました。ところが8つの算数用語を間違えて訳してしまい、変な日本語になってしまいました。
どの部分がおかしいでしょうか?そして、どうしてそんな日本語になってしまったのでしょうか?

今回は入門・初級編。全て日本の小学校で習う算数用語です。読んでいると「何か変だな?」と気づくと思います。みなさんは違和感の正体が分かりますか? マス田くんと一緒に楽しみながら学習してみましょう!

入門編

まずは入門編です。mathさんが出題する英語で書かれた3つの問題文を、マス田くんは右のように訳しました。
それぞれの問題でマス田くんが何を訳し間違えたか、分かりますか?

math

90°is called “right angle”.

マス田

90度のことを、右の角度と言います。

math

Let’s use a table to check how many apples there are.

マス田

りんごがいくつあるか、机を使って整理しましょう。

math

x+6=10 
Please find the value of x.

マス田

正しいxの価値を求めなさい。

いかがでしょうか?
上の3つの文で間違っているのは「右の角度」「」「価値」です。
角度に「右」「左」はないですよね……。「机を使って整理する」もなんだかよく分かりません。正解の日本語は、それぞれ「直角」「」「」となります。どんな英語を間違えて訳してしまったのでしょうか?

それでは答えです。
直角は英語で「right angle」と言います。「right」は多義語、つまり意味がたくさんある単語です。「右の」という意味以外に「正しい」「権利」などの意味があります。
辞書によると「right」の語源はまっすぐな1 。そこから「直角の」という意味になるのですね。

「表」は英語で「table」と言います。これは以前の記事でも取り上げました!「平たい板」という意味が元で、「結果が乗っている」という意味に派生したのですね。

値は英語で「value」と言います。「value」を初めて習う時、「価値、価値観」という意味で覚えますね。算数では「」という意味で出てくることが多いので、チェックしてみてください。日本語でも「価値」には「」という漢字が入っているので、これはわかりやすかったかもしれません。

初級編

さあ、入門編で慣れたところで、初級編です。今度は、3つの文それぞれにつき2つの間違いが隠されています。マス田くんは何を訳し間違えてしまったのでしょうか?

math

A number that cannot be divided by 2 exactly is “odd number” and a number that can be divided by 2 exactly is “even number”.

マス田

2で割り切れない整数のことを奇妙数、2で割り切れる整数のことを均一数と言います。

math

How many faces does a cube have? Also, find the area of its face.

マス田

立方体の顔の数はいくつですか。また、顔の地域を求めなさい。

math

A point where two lines or a line and a plane cross is “intersection”.

マス田

線と線、または線と飛行機とが互いに交わる点のことを、交差点と言います。

いかがでしょうか? なんとなく、そのままの日本語でも意味が通じそうで怖いですね……。
間違っているのはそれぞれ「奇妙数」「均一数」、「」「地域」、「飛行機」「交差点」です。
正しくは「奇数」「偶数」、「」「面積」、「平面」「交点」。どうしてそんな日本語になってしまったのでしょう?

まず「奇数」「偶数」のことを英語では「odd number」「even number」といいます。
odd」は「奇妙な」という意味で出てくることが多いので、「奇妙な数」と訳してしまいました。実は、これは当たらずも遠からずです。というのも「偶数で割れない奇妙な数」のことを「奇数」、つまり「odd number」というようになったという由来があるからです2
反対に「even number」はどうでしょうか。「even」は英語で「平らな」「均一な」などの意味があります。馴染んでムラのない感じ、なんとなく「偶数」のイメージでぴったりではないでしょうか。

」「面積」のことを英語では「face」「area」と言います。
この2つは、以前の記事でも紹介しました!「face」の方は「物体の」と考えると納得できるのではないでしょうか。そして、算数の文脈では「Find the area」というと「面積を求めなさい」という意味です。

ちなみに身体の部位多義語であることが多いです。以前の記事でも、「hand=時計の針」を紹介しました。

それでは、「foot」()は算数でどんな意味で使われるかご存知でしょうか?
答えは足の長さから転じて、長さの単位を表します。たとえば「one foot」というと「1フィート」。1フィート=約30.5cmです。日本では使うことはありませんが、英語で算数を学んでいるとどこかで目にするかもしれません。

最後に、「平面」「交点」のことは英語でそれぞれ「plane」「intersection」と言います。
intersection」(インターセクション)は日本語でも耳にするかもしれませんが、「交差点」という意味で使われることが大半です。交差していることを表すので「交点」、シンプルですね。

plane」はもちろん「飛行機」のはず!「平面」という意味になるのには理由があるんです。
「plane」の語源は「平らな面」。「plane」(飛行機)の元の単語は「airplane」で、これは「空(air)を水平に飛ぶ板(plane)」という意味から転じて「飛行機」という意味になったそうです2。そのため「線と飛行機が交わる点」というのもあながち間違いではないかもしれません。

なぞなぞで楽しく算数英語を学習しよう

さて、楽しく英語で算数を学ぶことができたでしょうか?今回出てきた算数用語を、マス田くんと一緒に整理してみましょう。

  • right angle 直角
  • value 値
  • odd number 奇数
  • even number 偶数
  • face 面
  • area 面積
  • plane 平面
  • intersection 交点

この機会にぜひ覚えてみてくださいね。次回は「なぞなぞ算数英語」中級編。内容がレベルアップして少し難しくなりますが、ぜひチャレンジしてほしいと思います。次回の記事をお楽しみに!

参考資料
(1)ウィズダム英和辞典第3版
(2)ジーニアス英和大辞典

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この記事を書いた人

学習塾、中学校、高等学校などで英語指導の経験あり。教育心理学、CLIL(内容言語統合型学習)・教科横断型学習などに関心があります。 math channelの提供する「楽しい」×「算数」という新しい教育の形に惹かれてメンバーに。これまで算数のコンテンツ制作やアフタースクール講師を担当。math channel magazineでは、ライターとして、教育に携わる方々に少しでも役立つコラムを執筆するために奮闘中。好きなかけ算九九は「4×4=16」。