計算ミスを減らす!指導歴30年のベテラン講師が教える「計算ミス練習」とは?

  1. 「計算ミスをしないこと」よりも大切なこと
  2. 人はなぜ計算ミスをするのか
  3. 計算ミスを分類する
  4. 計算ミスが少ない生徒も実はミスをしている!
  5. 計算練習をしてもミスは減らない
  6. 計算ミスを減らすための「計算ミス練習」のやり方

「計算ミスをしないこと」よりも大切なこと

中学受験指導歴30年。滝澤です。
主に筑駒中や御三家と呼ばれる最難関中学受験を専門にしたコースで算数を担当しています。

この仕事をしていると毎年多くの保護者の方から「計算ミスをなくすにはどうすればよいですか?」と聞かれます。

ですが、完全に計算ミスをなくすことはできないと思っています。

大人でさえ、ミスは必ずしてしまいます。
ですから仕事では何段階かのチェック体制を取ることが多いのです。

つまり計算ミスをしないことよりも、計算ミスを見つけて訂正することが大切なのです。

人はなぜ計算ミスをするのか

なぜ計算ミスをしてしまうのか,その理由について考えてみましょう。これには大きく3つの理由が挙げられます。

理由①計算ミスを軽視しがちなこと

自分なりの答えを書いたら、すぐに答え合わせをしてみて、もし間違えたら直せばいいという勉強をしている生徒が多く見られます。答え合わせをする前に検算をする習慣がついていません。

理由②言い訳をして直そうとしないこと。

計算ミスをしたとしても「本来ならできた」「わかっていたから問題ない」と思いがちな生徒もよく見られます。この考え方をしているうちはなかなかミスが減ることはありません。

でも中には「そんなことはない。ミスをしてしまう自分にいらだちを感じてなんとかしてなくしたいんだ」と思っている生徒もいるかもしれません。そういう方が見落としがちなのが、

理由③適切な速さよりも急ぎすぎて計算をしていること。

特にテストなどでは最後まで問題を解くために,簡単な計算問題などでは必要以上に早くなりがちです。そのため字も乱暴になり、途中式も省略してしまう。本来計算をするのに必要な手順を省き、あせって処理をしているるためにミスが多くなってしまうのです。

計算ミスを分類する

計算ミスといっても様々な種類があります。たとえば以下のように7種類に分類できます。

  1. くりあがり・くりさがりのたし算・ひき算ミス
  2. 暗記している計算の答えの勘違い
  3. 自分の字を見間違える、次の行に写し間違える
  4. 問題を読み間違えている
  5. 計算の順序を勘違いしてしまう。分配法則を勘違いしている。
  6. 約分忘れ
  7. 小数点の位置、0の個数つまりは桁に関する間違い

計算ミスをした場合にどのようなミスをしたのか記録しておくとよいでしょう。

多くはていねいに必要な時間をかければ防げるものですが、まれに誤って式と答えの組合わせを覚えている場合や、計算のルールが理解されていない場合もあります。

計算ミスが少ない生徒も実はミスをしている!

テストでいつもよい点数を取る生徒がいます。

テストの結果だけを見るとあまり計算ミスが多くないように見えます。
しかし、テストの途中に答案を後ろからのぞいて見てみると、たいていは計算ミスをしている答えが見られることが多いです。

「いつもはよくできているのに,今回は失敗してしまったかな?」と思ってみていると、自分なりに解き終わったあとに見直し・検算を始め、どんどん直していくのです。

どんなに頭がよいと思われる生徒も計算ミスはしているのです。

計算練習をしてもミスは減らない

「あんなに計算練習したのにまた計算ミスしてしまった……」

計算練習をたくさんすると、計算のやり方や式と答えの組合わせを暗記することができるので、計算を始めてから答えを出すまでの時間をある程度短縮することができます。

しかしその答えが正解かどうかはまた別の話です。

自分の出した答が正しいかどうかを確かめる練習が必要なのです。

それが計算ミス練習です。

計算ミスを減らすための「計算ミス練習」のやり方

STEP①毎日3問、できるだけ早いスピードで計算問題を解く。

3問で3分~5分を目標にします。
このとき問題は必ずノートに写し、途中の計算・筆算なども問題を写した文字と同じ大きさで読める字で書くことが大切です。
かかった時間は必ず記録しておきましょう。

STEP②5分間集中して検算をする。

3問計算が終わったら、もう一度同じ計算を解いてしまうだけでなく、途中式などを間違っている前提でしっかり見直す練習をします。
5分以内に終わらせるのではなく、5分間時間いっぱいつかってください。

STEP③答え合わせをする。

これはできれば生徒自身ではなく,保護者の方などが答え合わせをする方がよいでしょう。
間違えた問題についてはあとで解き直しをする必要がありますが、自分で答え合わせをしてしまうと、どうしても答えを暗記してしまい、計算練習の効果が低くなってしまいます。

STEP④ミスを記録する。

間違えた問題について,すぐに解き直すのではなく、どの部分をどのようなミスをしてしまったのかを具体的に記録しておきましょう。
ミスのくせというものが人それぞれであり、同じようなミスを何度もしてしまう傾向がある場合もあります。
しっかり自分のミスのくせを把握して具体的にどうすれば防げるのかを考えましょう。

STEP⑤できる限りていねいな字で解き直す。

解き直しで最も重要なことは字をていねいに書くことです。
はじめに解いたときと同じように解いていては解き直しをする意味がありません。

3問では少ないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,練習というものはどんなものでも毎日少しずつやった方が覚えられることが増えていきます。
ですから問題数は3問程度で十分です。検算・見直しのやり方を自分なりに覚えていくことが大切になります。
このやり方で練習をする場合には量をこなすよりも、集中して決まった時間で行うことが重要です。

「計算ミス練習」におすすめの問題集

みくに出版『マスター計算1095題 一行計算問題集』という問題集があります。

みくに出版『マスター計算1095題 一行計算問題集』 4年生

この計算問題集は、1095という数字を見たときに、「なるほど!」とわかります。
そう、3問×365日なのですね。

3問ずつが1セットになっていますので、計算ミス練習にうってつけです。

1年生用から6年生用までありますので、自分のレベルにあった問題集を選ぶことができます。
計算練習ではなく、計算ミス練習してみましょう。

(文責:滝澤 幹)

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この記事を書いた人

御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。