こんにちは!math channelのしっしーです。このmath X Englishコラボ談義では、表現や文章題を題材にして、算数と英語のコラボレーションを扱っています。今回は「なぞなぞ算数X英語」の3回目です。
マス(math)田くん、英語で算数の学習を始めてから1年が経過しました。だんだん慣れてきたみたいです!でも、英語で書かれた算数の文を5つ日本語にしたところ、また変な日本語の文ができてしまいました。何が変なのか、皆さんに一緒に考えてもらいそうです。
これまでのなぞなぞ問題と同じように、全て日本の小学校で習う算数用語を扱っています。今回は中〜上級編として、主に四則演算に関わる表現からの出題です。どんな表現を間違えて訳してしまったのでしょうか?元々の英語は何でしょうか?さあ、マス田くんと一緒に楽しみながら学習していきましょう!
中級編④:10は2×5の…..?
まず始めに、掛け算についてです。英文とマス田くんの日本語訳を見てみましょう。
10 is the product of 2 X 5
10は2×5の製品です。
2×5の「製品」、何となく意味が分かるようで分かりませんね…..。正解の日本語はズバリ「積」です。どんな英語を間違えて訳してしまったのでしょうか?
それでは答えです。
「積」は英語で「product」と言います。普通「product」は「製品、生産品、産物」という意味で使われますね。算数の文脈では「product」は数と数の掛け算をしてできる産物である「積」という特別な意味で使われるのですね。ちなみに、割り算の「商」の英語は少し難しくて、「quotient」(クオウシャント)と言います。ぜひチェックしてみてください。
中級編⑤:リマインダー?
次にマス田くんが訳したのは、割り算についての文のようです。
14 divided by 3 is 4, remainder 2.
14を3で割ると4、リマインダー2となります。
仕事などでよく使う表現「リマインダー」(忘れないように送る予定の通知)ですが、この日本語は何かが妙に感じます!もちろん間違えているのは、英語「remainder」の意味です。正解の日本語は何でしょうか?
それでは正解です。
「remainder」は、割り算の文脈では「余り」という意味で用いられます(引き算では「残り」という意味で使われます)。
「リマインダー」は、実は「reminder」という別の英単語をカタカナ表記にしたものです。元の動詞は「remind」(リマインド)。「思い出させる」という意味の単語です。
一方で、remainderの元の動詞は「remain」(リメイン)。これは「とどまる、〜のままである」という意味です。そのため「remainder」の発音は「リメインダー」で、「残りのもの」「余り」という意味となります。
つづりが似ているので紛らわしいですね!
上級編①:長方形の縦と横の関係?
さて、ここからは上級編。文章が少し長くなりますよ! マス田くんの日本語、変な箇所を見つけられますか?
The area of the rectangle is 60 square centimeters. When the length of this rectangle is 2 centimeters, its width is 30 centimeters. When its length is 4 centimeters, its width is 15 centimeters. This relationship between the length and the width is called inverse proportion.
長方形の面積は60cm2です。縦の長さが2cmの時、横の幅は30cmとなります。縦の長さが4cmの時、横の幅は15cmです。この縦の長さと横の幅の関係を、均整のとれた身体と言います。
lengthやwidthは前の記事で扱いました。さあ、どうでしょうか?「均整のとれた身体」、この文章では明らかに浮いてしまっています!マス田くんは「proportion」の意味がよく分かっていないようです。「inverse proportion」を正しく日本語に訳すとどうなるでしょうか?
それでは正解です。文脈を考えると、片方の数(縦)が大きくなるにつれ、もう片方の数(横)が小さくなるという関係が成り立っています。もうお分かりですね。
「inverse proportion」は「反比例」という特別な用語です。「proportion」は「比例」、「inverse」(インバース)は「逆の、反対の」という意味の形容詞です。日本語の「プロポーション」は主に身体の均整について表現ですが、「proportion」の元々の意味は「割合、釣り合い」という意味。そのため「比例」という意味で用いられるのですね。日本語にひっぱられて間違えないように注意してください!
上級編②:数を運ぶ?
How do you add 19 and 15? First, add 9 and 5. Write the 4 in the ones column and carry the 1 over to the next (tens) column. Then, add 1, 1, and 1. Write 3 in the tens column. The answer is 34.
19と15をどう足し算しますか?まず、9と5を足します。4を1の縦の列に書いて、1を次の(10の)縦の列に運びます。そして、1足す1足す1をします。3を10の縦の列に書きます。答えは34です。
「add」は「加える、足す」という意味の単語ですね。マス田くんの訳文、一見すると間違いが無さそうです!
しかし、よくよく読んでみてください。「運びます」という表現に少し違和感がありますね。何だかもっとよい日本語がありそうです。問題となる英語は「carry」。自然な日本語の文にするにはどう訳せばよいでしょうか?
正解はそう、「繰り上げる」です。
なるほど! 「数を次の位(くらい)に運ぶ」ということで「繰り上げる」という意味で使われるのですね。ではここで質問。「繰り下げる」は英語で……?
「繰り下げる」は「borrow」と表します。「数を次の位(くらい)から借りる」ということなのですね。こちらも納得感がありますね!算数の英語表現、だんだん慣れてきましたか?
上級編③:数を丸め上げる?
When the digit (number) is 5 or more, we can round it up. When the digit (number) is 4 or less, we can round it down.
(ある桁の)数が5以上の時、その数を丸め上げることができます。(ある桁の)数が4以下の時、その数を丸め下げることができます。
こちらのマス田くんの訳も、一見すると意味は通るかもしれません。しかし、算数の授業で「丸め上げる」「丸め下げる」という表現は習ったことがありませんね!
問題の英語表現は「round up/down」です。違和感のない日本語にするには、どう訳せばよいでしょうか?
正解は、「round up」で「切り上げる」、「round down」で「切り捨てる」です。「round」は「丸い」という形容詞の意味や「ラウンド、試合」という名詞の意味もあるのですが、ここでは動詞として使われています。およその数を求めたい時に行う「切り上げ、切り捨て」の操作をするという意味で使われるのですね。
自分で使おうと思うと意外と出てこない表現かもしれません。ぜひ覚えてみてくださいね。
マス田くんと復習しよう
それでは、マス田くんと一緒に今回出てきた表現を復習しましょう!
- product 積
- remainder 余り
- proportion 比例
- inverse proportion 反比例
- carry 繰り上げる
- borrow 繰り下げる
- round up/down 切り上げる・切り捨てる
なぞなぞ算数英語、いかがだったでしょうか?たくさん間違えてしまっても大丈夫!答えを忘れてしまっても、また記事に戻ってマス田くんと一緒に学習してみてください。そして、どのなぞなぞが面白かったか、ぜひ教えてくださいね。次回のmath × Englishの記事をお楽しみに!
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