御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年の滝澤幹が考える「算数が好きになる」とは?【集中連載第1回】正解するから好き?

こんにちは。中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。

今回は最近ずっと考えていることを文章化してみたいと思っています。

それは、

「算数が好きになる」とは?

ということです。かなり抽象的ですよね。

もう少し具体的に分けて考えると

  1. 私が考えたい「算数が好きになる」とはどういうことか。
  2. 算数が好きになるきっかけは何か。
  3. 算数が好きになることは必要か。
  4. 算数が好きになるにはどうすればよいか。

ということを考えていきたいと思っています。

私は算数が好きなのか

まず私自身の話をします。私も中学受験を経験しています。得意科目は圧倒的に算数でした。むしろ算数以外の勉強をあまりした覚えがありません。開成中学の入試本番でも算数は満点だった記憶があります。

けれども「算数が好きだったか」というと実はよくわかりません。そもそもあまり好き嫌いを感じない子どもだったように思います。何でもやれと言われたことはやりましたし、気が乗らなければやりませんでした。

もちろん漫画を読んだりテレビを見たり友達と野球をしたりする方が好きでしたし、勉強は必要がなければやりません。ただ、問題を解いている時間は苦ではなかったですし、むしろどんどんわかっていく過程は楽しんでいたように思います。
そういえば、多湖輝先生の「頭の体操」シリーズは大好きでした。全く解けませんでしたけど、ちょっとだけ考えてすぐ答を見て、その柔軟な発想に驚き楽しんでいたと思います。

頭の体操 第5集 (カッパ・ブックス)
頭の体操 第5集 (カッパ・ブックス) 著・多湖 輝

「好きこそものの上手なれ」

このことわざは、人は好きなことに対しては熱心に取り組むため、自然と上達が早くなるという意味です。
単に「好きだ」という感情だけでなく、好きだからこそ自ら進んで工夫し、苦労を苦労と思わずに努力を続けられるから上達するともいえますね。このこと自体は間違いではないと思っています。

でも、最近、疑問に思うことがあります。
それは、算数ができるようになるためには、算数を好きになる必要があるという考え方です。
さらに言うと、成績を上げるために子どもにどうやって算数を好きになってもらうか?という考え方が増えてきたようにも思うのです。正直に申し上げると、この考え方には違和感があります。

まず好きになって、そのあとに成績が上がっていくという順番であるような誤解があると思うのです。
実際、算数が好きな生徒に、算数のどんなところが好きかを聞いてみると、たいていこのような答えが返ってきます。

算数が好きな理由は、「達成感」?

「正解するから算数が好き」

私がふだん授業をしているのは、御三家・筑駒を目指す小学生相手なので、「算数が好き」という生徒は多いです。生徒たちに算数はどこが好きなのかを聞くと、多くの生徒はわかったときや正解できたときの達成感を挙げます。

算数の勉強は、基本的には、単元別かつ難易度順に問題パターンとその解き方をセットで教わることから始まります。
一番単純なケースを想定して、その場合の問題の解き方・技術を習います。そして少し複雑なケースのとき、習った技術をどう応用させるかを考えるか?これを段階的にくりかえしていくのです。
繰り返しですから、単調と言えば単調です。習得した技術をいかに上手に使って正解を導きだせたかというところが算数を好きになるポイントだというのは納得がいくところです。

正解できなくても算数が好き

しかし、これは本当に算数が好きだと言えるのか、私は疑問に思います。

正解することが好きなのであって算数が好きではないのではないか?
実際高学年になるにつれ、解けない問題が増えてくると算数がだんだん嫌いになる生徒も出てきます。

実は、「正解するから算数が好き」な場合、その「好き」は長続きしないように思います。

私が本当に知りたいのはただ算数が好きというだけではなく、「正解できなくても算数が好き」になるためにはどうすればいいのだろうということなのです。

ある生徒が算数を好きになった問題

ある授業で麻布中学の入試問題を扱ったときに、1人の生徒がこう言いました。
「先生、この問題は僕が算数を好きになるきっかけになった問題です!」

その問題がこちらです。

どの辺も図の点線上にある正12角形をすべて太線で図中に書きこみなさい。「2010年麻布1(2)」

正12角形をいくつ書きこむことができるかという問題は、ふつう算数の授業では習いません。
そもそもこの問題を解くために特に習うべき技術そのものがありません。

この問題を見たときに、その生徒は「こんなことが算数の問題になるんだ! 面白い!」と思ったそうです。
解けたか解けなかったかではなく、問題が面白いと思えた。

この話は、「算数の問題が解けなくても、好きになるにはどうしたらよいか?」という問いへの、大きなヒントになるのではないかと思っています。

算数が好きな子どもだけではなく、算数が好きな大人にも好きになったきっかけや問題などを集めてみたいと思っています。

「算数が好きになる」とは?
このテーマについては来月以降も考えていきたいと思います。

さらに発展的なパズルへもつなげていけそうです。もしよかったら挑戦してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

タッキー先生(滝澤 幹 たきざわ かん)
中学受験算数ナビゲーター

御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。共著書に『親子で楽しむ!中学受験算数』(平凡社刊)がある。

滝澤先生共著!『線と四角と表でわかる つるかめ算』(日東書院本社)発売中!

「つるかめ算」「和差算」「濃度算」「旅人算」などの特殊算を図解で解説している本『線と四角と表でわかる つるかめ算』(日東書院本社)が発売中です!

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この記事を書いた人

御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。