日本で初めて開催された「算数のお祭り」算数縁日は、自由でクリエイティブな遊びと学びの空間でした

2022年8月、東京・目黒にて算数縁日が開催されました。

算数縁日とは、その名の通り「算数で遊ぶお祭り」のこと。主催したのは、算数の楽しさを体験を通して伝える株式会社math channelです。

一体どんなイベントなのか?math channelマガジン編集部デスクのほんが現地よりリポートします!

算数にまつわる素材を使った遊びに、ハマる子続出!

算数縁日が開催されたのは、目黒駅徒歩5分のところにあるE-Parkという屋外施設です。

会場に入ると、まずはたくさんの積み木たちが迎えてくれました。

なるほど!
算数にまつわる素材を使って自由に遊べる空間になっているのですね!

まさに算数縁日。
他にどんな遊びがあるのか、順にご紹介していきます。

次に待っていたのは、「長さぴったりゲーム」というブースです。
これは、サイコロを転がし、出た目の「×10cm」の長さを、紙テープを使って感覚で作ってみよう、という遊び。
1メートルほど離れたところから、目算で長さを考えます。
「50cmって、これくらいだよ~」
スタッフさんが声をかけます。

自分で切った紙テープを当てはめてみると……

ちょっと長い!
短すぎた!
ぴったり!
そんな風に、長さの感覚を遊びながら体験していきます。

とてもシンプルなゲームでありながら子どもたちの遊び心をとことんくすぐるようで、「もう一回やりたい!」という子どもたちの声が何度も聞こえてきました。

自分が“コマ”になって遊ぶ「算数すごろく」

次のブースに進みましょう。
会場の中ほどにあったのは、「算数すごろくゲーム」です。

算数すごろくは、math channelが誇る名物コンテンツ。

math channelマガジンでも紹介しています

2つのサイコロを振って出た目を「たし算」や「ひき算」などをした数があれば次のマスに進める、というゲームです。

今回の算数縁日では、卓上サイズの算数すごろくに加え、プレイヤーが「コマ」となって進める「ジャンボ算数すごろく」も用意されていました!

親子で、きょうだいで、お友だちと、サイコロを振って計算し、次に進めるコマを探す。
こちらもシンプルな遊びながら、「2ならあるんだけど!」「わり算したらあった!」「またゾロ目だ!」などなど、とても盛り上がっている様子でした。

自分がコマになって遊べるのが、算数縁日ならではのお楽しみだったようです。

ヨーヨー釣りコーナーで聞こえた、少年の驚きのひと言

最初に紹介した「長さぴったりゲーム」と、こちらの「算数すごろく」の間に、ひときわにぎやかな一角がありました。
それはこちら、

ヨーヨー釣りコーナー。

夏祭りですから。夏祭りの代表格と言えるこの遊びがあるのは、嬉しいポイントです。
「もう1回やっていい?」
「こより作ってくれるならいいよ」
「作る作る!」
「こっそりね、秘密だよ!」
子どもたちとスタッフとの間でそんな会話も聞こえてきたりして、自由な雰囲気が心地いい。

さらに印象的だったのは、6歳くらいの男の子が言った、「ぼく、ヨーヨーつり、初めて」という言葉です。
新型コロナウイルスの影響で、2020年からお祭りなどはすべて中止の状態が続いています。この子たちの記憶に残っている夏には、一度も「お祭り」が開催されていないのです。
改めてその事実に気づかされました。

算数の面白さを知っているスタッフとの交流も、大切な体験に

ヨーヨー釣りの向かいには、芝生の上でタングラム知恵の輪ルービックキューブなどで自由に遊べるコーナーが。

アーチ形の門に吊るされた図形を見ながら、タングラムを作っていきます。

できるかな……??

ルービックキューブ知恵の輪などのパズルゲームは、スタッフと一緒に遊んでもよし、ひとりで黙々と遊んでもよし。

今回の算数縁日の各コーナーを担当したmath channelスタッフは、算数の楽しさ、面白さを知っている人たちです。
そんなスタッフたちと一緒にああでもないこうでもないと話しながら遊ぶことで、算数がぐっと身近なものになり、算数の面白さを「当たり前のこと」のように自分のものにしていく、という仕組みが、この空間の中でできあがっているように感じました。

黙々と没頭する、ディープな算数体験の現場

会場をどんどん進んでいくと、会場の一番奥に、最後のブースがありました。
ここは、「立体図形パズルゲーム」のブースです。

鉄の玉とマグネットの棒を組み合わせて、立体図形を作っていきます。
レベル1からレベル3までの見本の図形を、何分何秒で作れるか、時間を測って遊びます!

このブースは、すごかった。
遊んでいる子どもたちが、ブースから離れないのです。

見本の図形を作って遊ぶだけでなく、玉と棒を使って自分なりの立体をもくもくと作り込んでいく。

何十分もの間、熱中して作り続けている子もたくさんいたようです。
算数を楽しむ体験に、黙々と没頭する時間

時々、算数のお兄さん・よしだしんやくんにアドバイスをもらったり。
まさにディープな算数体験の現場を目撃したような感覚になりました。

ブースだけじゃない、子どもが夢中になる算数コンテンツの力

ブースの他にも、お楽しみがありました。それはこちら。会場のあちこちの壁に、算数クイズが貼られているのです。
全部で10問。
どこにクイズが貼っているのか探すのを楽しみながら、見つけた算数クイズを解く。

クイズに隠された4つの文字を集めたらオリジナルプレゼントをもらえるしかけも!
このちょっとしたゲーム要素もまたエンターテイメントになっているようです。

常設ブースの他に、スペシャルイベントもありました。
時間になると、スタッフのお兄さんがマイクを持って登場。

「今から『長さ探しゲーム』をやります!」
参加する子どもたちには、「10cm」「20㎝」「30cm」の長さに切った紙テープが配られます。
「この長さに合うものを会場から探してください!」
「制限時間の中で、たくさん見つけられた人が優勝です!」
「よーい、スタート!」
参加の子どもたちは会場の様々なものに紙テープをあてて、長さを測っていきます。

会場にあった箱であったり、お母さんの腕であったり、自分の靴であったり。
(私のカメラのレンズの直径も測られました。笑)

わずか15分の制限時間の中で、50個、60個、80個も見つけた子も! 子どもの発想力と探究心は環境次第でどこまでも広がっていくのですね。
「長さを測る」がこんなにも夢中で遊べるエンターテイメントになるなんて!
これがmath channelの持つコンテンツの力なのかと、改めて驚かされました。

体を動かす遊びと算数体験を自由に横断できる魅力

今回の算数縁日のもう一つの特徴は、E-Parkという会場の空間にありました。
E-Parkは、「遊びと学びのクリエイティブコミュニティ」をコンセプトに、スケートボルダリングスケートボードなどのアクティビティで遊べる設備が備わっています。
算数縁日の開催日もこれらのアクティビティは利用可能となっていました。

参加した子どもたちは、算数縁日のブースで遊んだり、ボルダリングしたり、また算数で遊んだり、スケートしたり、スケボーしたり。

こんなモビリティも。
算数コンテンツと体を動かす遊びを自分の気の赴くまま横断しながら自由に遊ぶことができたので、発想が更に広がったり深まったりしていったのではないかと推測します。

これぞまさに、「遊びと学びのクリエイティブコミュニティ」。
算数縁日は、日本初であり、唯一無二のクリエイティブな学びのイベントとなりました。

「算数縁日」を開催した主催者の想いとは

今回の算数縁日を開催するにあたっての想いや開催してみての感想などについて、株式会社math channel取締役の才津葵さんにお話を伺いました。

(株式会社math channel 取締役・COO 才津葵:写真左から二番目)

リアルな体験を届けられなかった、「空白の2年半」

ほん

今回の算数縁日を開催することになった経緯を教えてください。

才津

私たちmath channelは「体験を通して算数を楽しむ」をコンセプトに活動する集団でありながら、新型コロナウイルスの影響で長い間リアルな算数体験を届けることができずにいたんです。

ほん

となると算数縁日は、math channelにとって久しぶりの大型イベントだったんですね!

才津

おっしゃる通りで、コロナ禍直前の2020年2月1日に三菱みなとみらい技術館さんで開催させていただいた「算数ライブ・算数ゲームランド」以来になるので、実に2年6か月ぶりです。

ほん

2年半! math channelにとって2年半もの間大型イベントができないとは、苦しい期間でしたよね、きっと。

才津

そうなんです。math channelは2018年に任意団体として活動を始めて、さらに活動を広げていくために2020年1月に株式会社を設立したのですが、その矢先にコロナ禍が始まったんですよね……。

ほん

なんというタイミング……。

才津

私たちの事業という観点だけでなく、この2年半という空白は、子どもたちにとっては本当に大きなものなんです。

ほん

確かに、そうですね。

才津

小学1年生の子が3年生になる間、リアルな体験の場を提供できなかった。だからこそ、今年は感染防止に最大限の対策を講じた上で、なんとしても体験の機会を提供したいというのがありました。

ほん

ヨーヨー釣りをやっていた6歳くらいの子が「初めてヨーヨー釣りやるかも」と話していたのを聞いて私も衝撃を受けました。子どもたちにとって大事な時期にいかに「特別な体験」を奪われてきたのか、ですね。

オンライン講座受講生との感動の対面も!

ほん

実際に算数縁日を開催されてみていかがでしたか?

才津

一つは、これまで弊社のオンライン講座を受講してくれていた方々とやっと会える場になったというのが感動的でした。2年以上受講していて初めて会えた!という方も少なくなかったんです。

いつも受講してくれている生徒や保護者とリアルに会える機会は格別です、と才津さん
ほん

2年以上受講して、今回が初対面なんですね!

才津

そうなんです。代表の横山明日希だけでなく、講座を受け持っているスタッフと「やっと会えた~!」っていうのが、見ていて涙が出そうになってしまいました。

ほん

私も泣けます……。

算数が好きな子も、あまり得意じゃない子も、楽しめる

ほん

既に受講されている方だけでなく、初めてmath channelのイベントに参加される方も多かったんですよね?

才津

そうなんです。総勢150名以上の方にご参加いただいたのですが、7割以上が、弊社の講座やイベントにこれまで参加したことのない、「はじめまして」の方でした。

ほん

新しい出会いが多かった理由はなんでしょうか?

才津

やっぱり、今まで弊社のオンライン講座などは知ってくれていたけど、オンライン講座だとちょっと難しそう、自分の子どもにはハードルが高そうと感じていらっしゃった方が、「これなら楽しめるかも?」と感じてくださったことが大きいのではないかと思います。

ほん

「算数縁日」っていう名称を見るだけで楽しさが伝わってきますからね!

才津

特に、今のところ算数はあまり得意ではない、少し苦手という子に、算数を好きになってもらいたいという想いを持って参加された方が多かったんです。

ほん

算数が苦手な子も「算数縁日」なら楽しめそう!というのは親としてすごくわかります。もともと算数が好きな子も、ちょっと苦手意識がある子も、算数で遊んで楽しめるイベント。良いですね!

才津

これこそが私たちが提供したいと考えていたものなので、やっぱり算数縁日にはこんなにもたくさんの人を引き付ける魅力があるんだということを知ることができて、とても嬉しく思っています。

ほん

参加されている方が本当に楽しそうだったのも、すごく印象的でした。

才津

そうなんです。今回、私たちが想定していたより倍以上、滞在時間が長かったんです。

ほん

ずっとにぎわっていましたね!

才津

これは、「サッと遊んで帰る」というよりは、入退場自由だったので、一度目黒駅に戻ってご飯を食べてまた帰ってきて、違う遊びに取り組むなど「じっくり遊び込む」という方が多かったのではないかと考えています。

ほん

確かにそんな感じでした。うちの子も参加していたのですが、4時間くらい遊んでましたね(笑)。それなのにまだ全然帰りたくなさそうだったし……。まさに、math channelのコンテンツの力を体感した、という感じがしています。

才津

そう言っていただけて嬉しいです。私たちは、オフラインのリアルな体験でしか得ることができない算数・数学の楽しさがあると考えていまして……。

ほん

ふむふむ

才津

もちろんオンラインで楽しめるものもあるんですが、特に10歳以下の子どもたちにとってはやっぱり手で触って感じられるものが記憶に残りやすいと考えています。それを、たくさんの方が関心を持っていただけたことに、大きな手ごたえを感じています。

ほん

まさに、どこをとってもクリエイティブで分野横断的で遊び心満載の素晴らしいイベントでした! 今後の展開としては、どのようなことを考えていますか? またやってほしいです!

才津

他の場所での展開も考えています。

ほん

嬉しいです! 他の場所での展開とは、どのような形でしょうか!?

才津

先ほどからお話ししている通り、オフラインイベントはオフラインイベントにしかない特別な体験や学びがたくさんあるのですが、「参加できる地域が限られてしまう」というデメリットもあります。

ほん

確かに、今回の算数縁日で言えば東京・目黒での開催なので、どうしても都内近郊の方以外は難しいものがあります。

才津

そうなんです。だからこそ、体験の地域格差をなくすために、「算数縁日」の企画を「移動式算数ゲームランド」という一つのパッケージにして、全国各地で展開していけたらと考えているんです。

ほん

いいですね! どのようなところで開催可能なのでしょうか?

才津

例えば自治体が主催するお子さん向けのイベントとして開催していただいたり、商店街の企画ショッピングモールなどの商業施設での展開も可能です。

ほん

楽しそう!

才津

テーマパークさんでのイベントなどにも最適です。

ほん

テーマパークもいいですね!

才津

非常に満足度の高い企画になっていますし、「地域の子どもたちを算数好きに育てる」というのは、多くの面で地域にもたらす価値がとても高いものであると考えています。

ほん

理系人材を育てていくことはこれからの社会でとても大事なことなので、その種をまくことができる企画なんですね。町おこしのひとつにもなりそう。ぜひ、全国に広がってほしいです!

才津

規模や費用などは個別に対応が可能ですので、まずはぜひお問い合わせいただければと思います。

*****

以上、算数縁日のリポートでした。

今年は参加できなかったという方、来年もまた開催を検討中とのことなので、どうぞお楽しみに!

また、算数縁日を開催してみたいという地方自治体の方、商店街の方、自業者の方、ぜひお気軽に、math channelまでお問い合わせください。

算数縁日が、日本の未来を創る!かもしれません。

(文責:洪愛舜)

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