中学受験入試では出題されないかもしれない!?ちょっとマニアックな「2026」にまつわる問題を作ってみた!

あけましておめでとうございます。中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。

先日math channel magazineで中学受験入試でよく出題される西暦に関する問題の記事を書きました。

さらに、記事だけではなく、2026にまつわる問題の動画も撮ろうということになり、また新たに2026についての問題を考えていたところ、こんな動画に出会いました。

こちらは大学受験で出題されるかもしれない問題でしたが、調べ上げる時間がかかりすぎる点で、中学受験で出題される入試問題としては適さないかもしれません。
しかし、この問題のアプローチの方法は小学生でも理解できるし、楽しめるのではないかと思いました。

「これを中学受験で出題するとしたら……」

と思って追加で1問作って、動画で紹介しています。こちらもぜひご覧ください。

ただ、やはり動画だと詳しく説明するのがまどろっこしくなりすぎてしまったので、この記事でていねいに解説していきたいと思います。

小5の生徒が5分で解けた問題がこちら!

あとでお話しますが、実はこの問題の(3)を5分ほどで正解した小学5年生もいます。
やってみようと思う方は解説を見る前にチャレンジしてみてください。

【問題】
ア×ア+イ×イ+ウ×ウ=2026
(ア<イ<ウ)
が成り立つ2けたの整数(ア,イ,ウ)の組を考えます。

(1) ア,イ,ウのうち、偶数はいくつありますか。
(2) ア,イ,ウのうち、3の倍数はいくつありますか。
(3) ウが偶数であるとき、 (ア,イ,ウ)の組を求めなさい。

机で勉強をする生徒のイラスト(男子) | かわいいフリー素材集 いらすとや

この問題のポイント

この問題はジャンルでいうと、数の性質にあたります。
数の性質の問題を解く際に、大切なアプローチとして、数を倍数・剰余によって分類するという方法があります。これは大学入試の問題でもよく使われる手法です。
ですから元々この問題は大学入試用であると言えるでしょう。この問題を中学受験でも出題できるようにいかにアレンジしているか、というと3点あります。

中学受験でも出題できるようにアレンジした3つのポイント

  1. ア、イ、ウの条件に大小関係2けたの整数という条件をつけ加えました
    (実はこれだけで、答えが4通りだけになります)
  2. (1)(2)で3の倍数、偶数を見つけるという小問を加えました
    (これが倍数・剰余についての分類の手法です)
  3. 最終的に答が1通りになるように、ウの数に偶数という制限をつけ加えました。

これによって、かなり短い時間で正解に到達することができるようになったはずです。
では、実際に解説をしていきましょう。

先生の検索結果 | かわいいフリー素材集 いらすとや

(1) 偶数の個数を考えよう

まずは、場合分けをして考えてみましょう。

ア、イ、ウのうち、偶数は、0個、1個、2個、3個のいずれかです。
ですので、場合分けをして考えていきます。

① 偶数が0個の場合
ア、イ、ウがすべて奇数になります。奇数は2回かけると奇数ですから、ア×ア+イ×イ+ウ×ウも奇数になりますね。しかし2026は偶数ですから「=」が成り立ちません。よって偶数は0個ではありません。

② 偶数が2個の場合
偶数は2回かけると4の倍数になり、奇数は2回かけると奇数ですから、ア×ア+イ×イ+ウ×ウは4の倍数と4の倍数と奇数の和で奇数になりますね。
しかし2026は偶数ですから「=」が成り立ちません。よって偶数は2個でもありません。

③ 偶数が3個の場合
ア、イ、ウがすべて偶数になります。偶数は2回かけると4の倍数になりますから、ア×ア+イ×イ+ウ×ウも4の倍数になりますね。しかし2026は4の倍数ではありませんから「=」が成立しません。よって、偶数は3個でもありません。

④ 偶数が1個の場合
ア×ア+イ×イ+ウ×ウは4の倍数と奇数と奇数の和になります。
ここで、奇数を4でわった余りで分類すると、4でわって1または3余る数になりますね。
2026は4でわって2余る数ですから、ア×ア+イ×イ+ウ×ウが4でわって2余る数になるためには、ア、イ、ウが偶数1つと4でわって1余る数が2つ、または偶数1つと4でわって3余る数が2つであればよいことになります。どちらにせよ、偶数の個数は1つであることがわかります。 

①~④より、偶数の個数は1つです。

(2) 3でわった余りで分類しよう

平方数を3でわった余りは0か1しかない。

ふつうの数を3でわった余りは0か1か2の3種類がありますね。
ところが、同じ数を2回かけた数(平方数)は3でわった余りは2種類しかありません。
元が3の倍数である数は2回かけると9の倍数(もちろん3の倍数でもあります)。
元が3でわって1余る数は2回かけると3でわって1余る数
元が3でわって2余る数も2回かけると3でわって1余る数になります。
よって平方数を3でわった余りは0か1しかないのです。
この性質を利用すると、2026は3でわって1余る数ですから、ア、イ、ウのうち、3の倍数が2つと、3でわって1余る数が1つでなければ成り立たないということがわかります。
よって、ア、イ、ウのうち、3の倍数は2つです。

ここでもう少し突っ込んで考えてみましょう。

2026は9でわると1余る数です。
ア、イ、ウのうち2つは3の倍数で、これらは2回かけると9の倍数になります。
ということは、残った1つの「3の倍数ではない数」を2回かけると、9でわった余りが1になる必要がありますね。この「3の倍数ではない数」を9でわった余りはいくつでしょうか。

9でわった余りは1~8ですから、1×1~8×8までを9でわった余り考えてみればわかりますね。さらに9でわった余りが3や6ならこれは3の倍数ですから、考える必要がありません。

1×1=1、2×2=4、4×4=16、5×5=25、7×7=49、8×8=64

このうち、9でわって1余る数は1×1と8×8だけです。すなわち、ア、イ、ウのうち、「3の倍数ではない数」とは、9でわって1か8余る数あることがわかるのです。

(3) 数の範囲を考えよう

ウは最も小さくていくつなのかを考えます。

ア×ア+イ×イ+ウ×ウ=2026 の式において、ア×ア、イ×イ、ウ×ウのうち、ウ×ウが一番大きいので、ウ×ウは2026÷3の商である675よりも大きくなりますね。
ここで、ウは偶数ですから、
 24×24=576
 26×26=676
より、ウは26以上であることがわかります。26は9でわって8余る数ですので、ウは26以上です。 

次にウが最大いくつになるかを考えます。

ウが最大になるためには、アとイができるだけ小さくなればよいですね。
アとイは2けたの奇数でのうち、3の倍数か、9でわって1または8余る数です。
これらを小さい順に書き上げていくと、

 15、17、19、21、……

となりますから、アとイは最も小さくて15と17

 2026-15×15-17×17=1512

1512は1600より小さいですから、ウは40より小さいことがわかり、実は最も大きくて36になります。
(ウは偶数で、40や38は3の倍数ではなく、9でわった余りが1でも8でもありません)
よって、ウとして考えられる数は26、28、30、36になります。

いよいよ大詰めです

ウの数で場合分けをして考えていきましょう。


① ウが36の場合
ア×ア+イ×イは730になります。
ア、イは奇数で片方は3の倍数、もう片方は9でわって1または8余る数です。
考えられるのは15、17、19、21、27、…

アを15とすると、15×15も730も5の倍数ですから、イも5の倍数にならなければなりません。15の次に当てはまる36より小さい5の倍数はありませんから、アが15はあり得ません。

アとイのうち、一方は3の倍数で、もう一方は9でわって1または8余る数ですから、17と21、19と21…と調べていくと、実はすぐあてはまる組み合わせが見つかります。

 17×17+21×21=730

よって、(17,21,36)が見つかります。ウが36のときあてはまるのはこれだけです。

② ウが30の場合

ア×ア+イ×イは1126になります。
ア、イは奇数で片方は3の倍数、もう片方は9でわって1または8余る数です。
考えられるのは15、17、19、21、27、…
これらの数を2回かけた1の位を考えると、
15→5、17→9、19→1、21→1、27→9です。
1126の一の位は6ですから、アとイとして考えられるのは、15と19だけです。
(15と21はともに3の倍数になるので不適です)
しかし、15×15+19×19は225と361の和ですから、1126にはなりません。
よって、ウは30ではありません。

③ ウが28の場合

ア×ア+イ×イは1242となります。
アとイとして考えられるのは、15、17、19、21、27で、両方とも3の倍数ですから、
15、21、27のいずれかになります。これらの数を2回かけた1の位を考えると、
15→5、21→1、27→9です。
1242の一の位は2ですから、あてはまる組み合わせはありません。
よって、ウは28ではありません。

④ ウが26の場合

ア×ア+イ×イは1350となります。
ところがアとイはともに3の倍数で奇数ですから、考えられるのは、15と21しかありません。
しかし、15×15+21×21は1350にはなりませんから、あてはまる組み合わせはありません。よって、ウは26ではありません。

結局あてはまるア、イ、ウの組は(17、21、36)しかありません。

いかがだったでしょうか。ちゃんと解くためにはかなり細かく調べなければなりません。
正解するのはけっこう大変です。しかし、「剰余で分類する」「大きさの範囲を絞る」といった大切な手法が身につく問題なのではないでしょうか。

この問題を5分くらいで解いた生徒がいた!

実は先日授業で時間が少し余ってしまったので、この問題の(3)だけを10人ほどの小学校5年生の生徒たちに出題しました。

 ア×ア+イ×イ+ウ×ウ=2026 (ア<イ<ウ)

が成り立つ2けたの整数(ア,イ,ウ)の組を求めなさい。ただし、ウは偶数とします。

楽しそうだと思ったら次の授業までに解いてきてもらおうと思っていました。
すると、驚いたことに、1人の生徒が5分ほどで正解してしまったのです。

彼に解き方を聞いてみると、まず1の位に注目したそうです。

0×0~9×9の1の位は順に0、1、4,9,6,5,6,9,4,1で、2026の一の位が6なので、アとイとウの1の位は1、9、6かなと思い、45×45=2025なので、ウが46はありえないので、ウを36にしてアとイを11、17、19、21などを調べていった……

という訳でラッキーなことに正解が見つかったという解き方ですし、これ以外ないという検証もしていないので、完全に正解とはいえないという見方もあるのですが、一の位というのは、10でわった余りですし、45×45を思い出して、大きさも絞っていますし、彼なりに考え、試行錯誤の計算をくりかえして正解したことに変わりありません。

テストの検索結果 | かわいいフリー素材集 いらすとや

ぜひこれ以外の組み合わせにも挑戦してみてください。

この問題、ア<イ<ウという条件だけなら、8通りの答えがあり、
すべて2けたの整数という条件をつけると今回の答を含めて4通りの答があります。
数の性質のいろいろな問題に応用できる手法が身につきますし、計算力や試行錯誤力なども鍛えられる問題になっています。チャレンジしてみても面白いかもしれません。

さらに発展的なパズルへもつなげていけそうです。もしよかったら挑戦してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

タッキー先生(滝澤 幹 たきざわ かん)
中学受験算数ナビゲーター

御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。共著書に『親子で楽しむ!中学受験算数』(平凡社刊)がある。

滝澤先生共著!『線と四角と表でわかる つるかめ算』(日東書院本社)発売中!

「つるかめ算」「和差算」「濃度算」「旅人算」などの特殊算を図解で解説している本『線と四角と表でわかる つるかめ算』(日東書院本社)が発売中です!

滝澤先生のこちらの連載もぜひどうぞ!

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この記事を書いた人

御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。