英語で面白い!算数・数学文章題。あなたはいくつ分りますか?【連載】しっしー先生のmath×Englishコラボ談義Vol.02

こんにちは! math channelのしっしーです。
前回の記事では「英語で意外!な算数・数学用語」について扱いました。算数と英語は学校では別の教科ですが、コラボレーションすることで点と点が線で繋がる学びの楽しさがあるというお話をしましたね。

今回は文章題を通じて、英語で学ぶ算数・数学の面白さをもっと体験していただきたいと思います。

ところで、皆さんは実用数学技能検定「数検」(算数検定・数学検定、以下「数検」)をご存知ですか? 算数・数学の検定で、全15階級あり、幼児から大学・一般レベルまで幅広く算数・数学の力を試すことができます1
数検のホームページを見ると、日本語版はもちろん、英語版の過去問題がサンプルとして公開されています。今回の記事では、この過去問題に出てくる2つの文章題を取り上げます。
この英語は日本語ではどんな意味だろう?」「文章題の正解は何だろう?」と考えながら、ぜひ最後までご覧になってください。あなたはいくつ分りますか?

この文章題はどんな意味?

まず最初に数検5級の問題を見てみましょう。さっそくですが、文章題を読んで以下の2つの質問に答えてください!

The table on the right shows the running distance and time of three runners, A, B and C. Find the speed of A, in m per second.

数検5級2次 英語版過去問題の一部

(1) 数検の実際の問題では、この文章題の右に何かがあるのですが、いったい何だと思いますか?次の3つから選んでください。
(A) 図
(B) 表
(C) 絵

(2) “Find the speed of A, in m per second”とありますが、この文章題では何を聞かれているのでしょうか?以下の日本語訳の空欄を埋めてください。

Aの走るスピードを_________で求めなさい。

いかがでしたか?それでは正解を発表します。

まず文章の中で”three runners, A, B, C”という表現がでてきました。
「A,B,Cの3人のランナーがいます」と書いてありますね。”Running distance and time”は「走る距離(道のり)と時間」です。
そのため”The table on the right shows the running distance and time of three runners, A, B and C”を日本語に訳すと、「右側の________はA, B, Cの3人のランナーの走る距離と時間を示しています」となります。

それでは”table”はどういう意味でしょうか? 「右側の机は……」ではなんだかしっくりきませんよね。
実は”table”には「」という意味があるんです。
実際に数検の問題に出ている表はこちらになります。

数検5級2次 英語版過去問題の一部

これはまさに、A, B, C君(さん)の走る距離とかかる時間をまとめた表ですね。

辞書によると、“table”は「平たい板」という意味から「結果などを載せた板」となり、「」という意味を持つようになったそうです2
ちなみに英語の論文の中では「表3」のことは”Table 3”と書かれ、「目次」(内容の表)のことは”table of contents”と書かれます。
「目次」を書くときに”table of contents”と書くとかっこよく(?)見えるかもしれません。ぜひお子さんに教えてあげてくださいね。

話が脱線してしまいましたが、(2)の答えはどうなるでしょうか?
“Find the speed of A, in m per second”の”find”は「見つける」で、命令文なので「見つけなさい」。日本語でいえば「〜を求めなさい」ですね。
英語で”find”という動詞を使うのも面白いですが、日本語の「○○の値を求める」という表現も、よく考えると不思議な言い回しですね。
 “in m per second”の”m”は「メートル」(“meter”)のことで、”per”は「毎〜」という意味です。それでは”second”はどういう意味でしょうか?

正解はズバリ、「」という意味です。
なので”in m per second”は「メートル毎秒」のこと、つまり「秒速何mか」を聞いている問題だったのです。

またまた余談ですが、英語で時計の長針短針は何というか覚えていますか? 前回の記事で紹介しましたが、長針は”long hand“、短針は”short hand“でした。
これには実は別の言い方もあって、長針のことを”minute hand“、短針のことを”hour hand“ということもできます。”minute”は「分」、”hour”は「(1)時間」のことですね。短い針で「1時、2時……」を表すので”hour hand”、納得ですね。

それでは秒針のことは何というでしょうか?もうお気づきですね! ”second hand”です。
「2番目の手」という意味だと勘違いしてしまいそうですが、この”second”はという意味で使われています。ぜひ覚えてみてください。

答え
(1):(B)表
(2):メートル毎秒(秒速○m)

実際に英語の文章題を解いてみよう!

少し英語の文章題を読むことに慣れてきたでしょうか? それでは次に数検8級の問題を実際に解いてみましょう! 以下の文章を読んで、2つの質問に答えてください。
(文中では「右の……」と書かれていますが、文章題の下に図を載せます。)

The figure on the right shows two circles. One circle has its center at point B. The other circle has its center at point C and radius 9 cm. Four points A, B, C and D lie on the same line. 

If the length of the line AD is 24 cm, find the diameter, in cm, of the circle with its center at B. 

数検8級 英語版過去問題の一部

(1)上の文章の中から、以下の4つの算数・数学用語に当たる英語を見つけましょう。


中心
半径

(2) “If the length…”から始まる文の答えを考えましょう。
”length”は「長さ」、”diameter”は「直径」という意味です。

いかがでしたか? それでは正解を発表します。
まず前回の記事で扱いましたが、「」は”figure“というのでした。そして”circle“は「」です。
“The figure on the right shows two circles”は「右の図は2つの円を表しています」という意味です。”One circle has its center at point B”は「円の1つは中心B」です。

残りの文を見ていきましょう。
“The other circle has its center at point C and radius 9 cm”とありますが、図を見ると9cmは大きい円の半径ですよね。
radius”(レイディウス)は「半径」という意味だと文脈でわかりますね! 「もう一つの円は中心が点Cで、半径は9cmです」と書いてあります。
“Four points A, B, C and D lie on the same line”は「4つの点A, B, C, Dは同じ線の上にあります」という意味です。英語で書かれた質問なのですが、与えられた図を眺めながら読むと、なんとなく意味がわかりますね。

さて、いよいよ最後の(2)の問題です。
“If the length of the line AD is 24 cm”は「もし線ADの長さが24cmなら」ですね。
“find the diameter, in cm, of the circle with its center at B”は「円の直径をcmで求めなさい」です。図を見ると円は2つありますが、どちらの円でしょうか?

もうお分かりですね。”with its center at B”は「中心がBの」ということなので、小さい円の話をしています。
あとはもう簡単です。小さい円の直径を求めるには半径ABを求める必要があります。
CDは大きい円の”radius” (半径)で9cmでした。BCも同じ円の”radius”なので9cmです。
AD=24cm、BC=9cm、CD=9cmなので、AB=AD-(BC+CD)=24-(9+9)=6cmですね。小さい円の直径は、6cmを2倍にして12cmとなります。

答え
(1): 図 figure、中心 center、半径 radius、点 point
(2): 12cm

英語の文章題は面白い

いかがでしたか?
今回は英語で色々な算数・数学用語が出てきました。ここでおさらい問題です。以下の算数・数学用語の意味は何でしょうか?

  • table
  • radius
  • diameter 

正解はそれぞれ、表、半径、直径ですね。英語で書かれた算数・数学の文章題というと「ちょっと難しい?」と最初は思ったかもしれませんが、元々持っている算数・英語の知識や、文脈の助けを借りて、意外と理解できる!と感じてもらえたのではないでしょうか。次回は算数・数学と英語をコラボレーションさせる意義について、もう少し掘り下げたいと思います。また次の記事でお会いしましょう!

参考資料
(1) https://www.su-gaku.net/suken/feature/
(2) https://ejje.weblio.jp/content/table Eゲイト英和辞典

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この記事を書いた人

学習塾、中学校、高等学校などで英語指導の経験あり。教育心理学、CLIL(内容言語統合型学習)・教科横断型学習などに関心があります。 math channelの提供する「楽しい」×「算数」という新しい教育の形に惹かれてメンバーに。これまで算数のコンテンツ制作やアフタースクール講師を担当。math channel magazineでは、ライターとして、教育に携わる方々に少しでも役立つコラムを執筆するために奮闘中。好きなかけ算九九は「4×4=16」。