素数は数の基本!/連載タキザワ流、合格力がつく!中学受験算数ガイド【Vol.08】

こんにちは。中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。

突然ですが宣伝をします。

私はTwitterで7月1日から毎日「今日は何日目」というツイートをしています。

もう100日以上連続しています。来年6月30日までは続けて1から365までの数について楽しい話や問題などをお届けできればと思っています。

7月1日は1月1日から数えて182日目でしたから182という数に関する話を書きました。182=13×14ですから、連続する2数の積ですよね。このような数を矩形(くけい)数といったり長方形数と言ったりします。また、182は2×7×13というように3つの素数の積で表される数なので楔(くさび)数といいます。数にはいろいろな名前がついた数があるんですね。

このような感じで毎日更新しています。ぜひのぞいてみてください。

素数ってどんな数ですか?

このように数の性質について色々と考えていると、つくづく数の基本は素数だなということを感じます。

ところでみなさんは、素数はどんな数なのか、正確に説明できますか?

よく素数とは、「1とその数以外に約数を持たない整数」と言われますが、この説明では実は不十分です。この説明ですと「1」も素数に入ってしまうように思えてしまいます。

新明解国語辞典(第七版)ではこのように説明されています。

1より大きい自然数で、その数自身と1以外の自然数では割りきれない数」

新明解国語辞典(第七版)

これなら1を素数と勘違いしてしまうことはなさそうです。
しかし、ちょっと長ったらしく、しかも条件が2つになってしまうので理解しづらくなってしまう気がします。何か良い言い方はないでしょうか。

素数を簡単に説明してみた

私は素数のことを説明するときに「約数が2つしかない自然数」ということにしています。

「自然数」とは、正の整数のことですね。小学生では負の数は出てきませんから、この部分は「整数」でもいいかもしれません。
これなら約数が1つしかない「1」は除外できますし、2以上の数であれば、約数の中に1とその数自身は含まれますから、約数が2つしかないということはすなわち1とその数自身ということになるわけです。
いかがでしょうね。

さて、今回はそんな素数を使った入試問題をご紹介します。

南山中学女子部2022年大問4(11)です

問題です。/南山中学女子部 2022年大問4(11)

異なる5つの素数について考えます。
5つの素数の平均は18、ある3つの素数の平均が15であるとき、
5つの素数の中で最も大きいものを答えなさい。

100より小さい素数は25個全部書けてほしい。

中学受験生であれば、1けたと2けたの素数は小さい順にすべて書けるようにしておきたいものです。

2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、
31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、
73、79、83、89、97

の25個ですね。この問題ではこんなに必要ないかもしれませんが、まず全部書いてから考えるということは
とても大切な解き方だと思います。

解説です。

さてではこの問題について一緒に解いていきましょう。

5つの素数の平均が18なので、合計は90です。
90から、小さい方が4番目までの素数の合計をひいてみましょう。

90-(2+3+5+7)=73 

ですから73までの素数を考えればよいですね。思ったより減りませんでした。

さらに3つの素数の平均が15ですから、これらの数の合計は45です

ということは残りの2つの素数の合計も45ですね。

できるだけ少ない個数で考える

これで2つの数について考えればよいことがわかったので、まずはこの2つの数について考えていきましょう。合計が45になる2つの素数の組は「2と43」しかありません。
なぜかわかりますか。

奇数と偶数

45は奇数ですよね。2つの数の合計が奇数ということはこの2つの数は偶数と奇数です。素数の中に偶数は2しかありません。ですから2つの数のうち片方は2。よって他方は45-2=43というわけです。

さて、それでは他の3つの素数を考えますか。合計が45なので、まずは3を使ったものから書き上げてみましょうか。。

(3と5と37)、(3と11と31)、(3と13と29)、(3と19と23)……

いやでも実はこんなことを考える必要はありません。答えはすでに出ています。

求めるものが何なのかを常に意識しましょう。

問題を確認すると、このように書いてありますね。

「5つの素数の中で最も大きいものを答えなさい。」

2と43を除いて合計が45になる3つの素数はどれも決して43より大きくなることはありません。
ですから答えは43となります。

次回は生活に密着している問題をご紹介します。

2022年 法政大学中学の問題です。

果汁から、重さの8割にあたる水分を取り除いたものを「5倍濃縮ジュース」といいます。これは、水で5倍にうすめれば果汁100%のジュースになります。同様に、果汁から重さの5割にあたる水分を取り除いたものを「2倍濃縮ジュース」といいます。

 いま、5倍濃縮ジュース60gと、2倍濃縮ジュース40gを混ぜた濃縮ジュースを作りました。このとき、次の問いに答えなさい。

(1) このジュースは何倍濃縮ですか。

(2) このジュースを、果汁100%のジュースにするには、水を何g入れればよいですか。

いかがでしょうか。「~倍濃縮」はジュースの他にも「めんつゆ」などの液体だしにも使われますね。水でうすめて使うものですが、いつも正しい水の量を入れていますか?味が薄すぎたり濃すぎたりしていませんか?

次回もお楽しみに。

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この記事を書いた人

御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。