こんにちは。中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。今回は算数が好きになる本を1冊ご紹介したいと思います。「数学パズル事典 改訂版」(上野富美夫:編/東京堂出版)です。
算数を好きになるにはどうしたらいいですか?
私は中学受験の専門塾で30年ほど算数の授業を担当してまいりました。
いろいろな仕事がありますが、生徒への指導、教材作成と並ぶ大きな仕事の1つが保護者とのコミュニケーションです。
個人面談、保護者会、入試報告会や学校別攻略会、授業体験イベントなどなど、様々な場面で保護者の方々に多くの質問をいただきます。
- ○○の単元ができるようになるにはどうすればよいですか。
- ミスをしないためにはどうすればよいですか。
- 途中式をかくようになるにはどうしたらよいですか。
などの質問が多いでしょうか。しかしたいていの質問は本質的には1つのことを聞きたいのだと思っています。
結局は「算数ができるようになるにはどうしたらよいですか?」の言い換えだと思っています。
それに対する1つの王道の答えが「算数を好きになること」ではないでしょうか。
つまり、
「算数を好きになるにはどうしたらいいですか?」
という質問が一番本質的な質問なのではないかと思っています。
好きになるためには、好きなものに出会うこと
このように書くと当たり前ですが、人は好きなものに出会えば、それを好きになります。
たとえば食べ物でも、焼き肉が好きだという人はおいしい焼き肉を食べたことがある人ですよね。
食べたことはないけど、焼き肉が好き、という人はなかなかいないのではないかと思います。つまり、好きになるためには出会うこと。そして、出会うためには試すことが必要だということになります。
これは算数・数学でも同じです。解いてみたら面白かったという経験をしたことがある人は算数を好きになり、解いたことがない人や、解いてみたけど面白くなかった人が算数について苦手意識を持ってしまうのではないでしょうか。
パズルはとっつきやすい
ですから算数や数学を好きになる方法は、好きになるまで問題を何問も何問も解きまくるのも1つです。
でも実際はやろうという気にはならないですよね。
そこで、私が授業でもよく紹介するのが算数・数学パズルです。これは子どもたちも楽しそうに解きたがります。
その理由をいくつか考えてみると
- 事前知識がそれほど必要ではなく発想・思いつき、または地道なトライ&エラーで正解にたどりつけること
- 何度でもまちがってよいので、何回でも挑戦可能なこと
- 問題設定が具体的にわかりやすく、日常生活にも比較的関係が深いこと
などがあげられます。
ですから、パズルならばとっつきやすく、何問でも解いて、好きなものに出会える可能性も増えてくるわけです。
いろんな数学パズルに出会える本
数学パズルといっても様々な種類があります。数字のパズル、図形のパズル、推理のパズル、そしてそれぞれがさらに細かく分類されます。これらを網羅した本があれば、なにか1つでも好きなものと出会えるのではないでしょうか。
それがこの数学パズル事典です。
パズルの問題が194問。有名といわれているパズルはほぼすべて載っているといっても過言ではありません。しかもそれだけではなく、パズルや数学の歴史にもふれることができます。
この本の1つのおすすめの読み方を申し上げましょう。
私は答えをすぐ見てしまう派です
このような本を紹介すると、まるで問題集を紹介されたかのように考える方がいます。
たしかに194問の問題は載っていますが、問題集とは違って、全部自力で解く必要はない本なのです。
私は、5分くらい考えたら解答を見てしまう派です。
なぜなら、「なるほど!そんな考え方があるのか!おもしろい!」と思いたいからです。
自分で解けてしまうと、うれしい反面、意外性がないですよね。いろんな問題に出会いたいし知りたいので、私の場合、考える時間は短めです。
ですから、問題集とは全く違うと考えていただくといいかと思います。
算数・数学に限らず、「何かを好きになる扉」を開けたい
この本以外にもパズル関係の本はたくさんあります。
しかし、1つのパズルに特化してその問題が何問も載っているというパターンが多いかもしれません。できればノンジャンルで広い範囲から問題が選ばれているような本であれば、好きなものに出会える可能性があるかもしれません。
上野先生の著作には数学パズル事典以外にも数学マジック事典などもありますから、興味があればこちらものぞいてみてはいかがでしょうか。
科学雑誌で有名なNewtonからも「Newton大図鑑シリーズ 数学パズル大図鑑」が出版されていますね。
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算数・数学に限らず、何かを好きになるには、その扉を開けてみることが必要です。
また、好きになったからといって、必ずしも成績は上がるかどうかはわかりません。でも成績が上がることと同じくらい、好きなものに出会う方法を知ること、好きなものを探しに行こうとする気持ちを持つことはとても大事なことだと思うのです。
いろんな扉を開けるお手伝いがこれからもできれば幸いです。
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