こんにちは、みうらです。
三角形に関して、これまで何回かお話してきました。
今回は三角形ひとつをじっと眺めていると、その内部から生まれてくる新しい三角形を考えてみましょう。
そこからは思いがけない数学の美しさが見えてきますよ。
この記事では、三角形の中に、もうひとつ三角形をつくる——そんな不思議で、少しワクワクする話をします。
「中点三角形」と「中線三角形」とは
「三角形の中に三角形」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか。
すぐに連想できるのは、3辺の中点を結んでできる三角形でしょうか。これには、よく知られた名前があり、「中点三角形」と呼ばれます。
さて、中点三角形の面積は、元の三角形のどれくらいでしょうか。
これは比較的簡単です。中点同士を結ぶと、三角形は4つの合同な小さな三角形に分かれます(証明には中点連結定理を用います)。したがって、中点三角形の面積は元の三角形の 4分の1 になります。

では、次の三角形はどうでしょう。
三角形の3本の中線(頂点と向かい合う辺(対辺)の中点を結ぶ線分)の長さを3辺とする三角形です。これを指す一般的な名称はあまり定着していません。ここでは、中線三角形と呼ぶことにします。
ここで疑問が湧きます。「三角形が作れるための3辺の長さの条件」を思い出すと、2本が極端に長ければ三角形を作れない可能性があります。
そもそも、このような中線三角形は本当に存在するのでしょうか。

中線三角形の作図
そこで、実際に作図して確かめてみましょう。描き方はとても簡単です。
三角形ABCを用意し、BCの中点をP、CAの中点をQ、ABの中点をR とします。
- 線分 RQ を CA の外側に向かって延長する
- RQ と同じ長さだけ延長した先の点を S とする
- すると、三角形 APS が、中線3本の長さを持つ三角形(=中線三角形)になる

証明のポイントは、平行四辺形の性質です。
PS = BQ
→ QS ∥ BP かつ QS = BP より、四角形QSPBは平行四辺形
→ PS = BQ
SA = CR
→ AQ = QC、RQ = QS より、四角形ARCSは平行四辺形
→ SA = CR
したがって、三角形ABCの3本の中線AP、BQ、CRの長さを3辺に持つ中線三角形は確かに存在することが分かります。
中線三角形の面積は?
いよいよ気になる面積の話です。
中線三角形の面積は、なんと—
元の三角形の 4分の3
になります。
この証明には、三角形の面積が、「底辺の長さ × 高さ ÷ 2」 で求められることだけしか使いません。
では、実際に導いてみましょう。
先ほど作図した中線三角形を3つの小さな三角形(三角形APQ、三角形AQS、三角形QPS)に分割します。(下図の左側)
高さと底辺を丁寧に確認すると、
・三角形APQの面積 = 三角形PQCの面積
・三角形AQSの面積 = 三角形ARQの面積
・三角形QPSの面積 = 三角形RPQの面積
であることが分かります。(下図の右側)

おわりに
三角形の中に現れる三角形には、今回紹介した2種類のほかにも、内接円から生まれる接触三角形、垂線で作られる垂足三角形など、さまざまな三角形が考えられます。
そこからさらに多くの興味深い図形へと話題が広がっていきます。
これからも、“三角形の中の三角形”の魅力を、少しずつ掘り下げていく予定です。ぜひ楽しみにしていてください。
(文責:みうら)
著者プロフィール 数学博識王みうら(三浦章)

みうら(三浦 章) math channelマガジン数学博識王
国立市在住。東京工業大学大学院修士課程を修了後、通信キャリヤで30年ほど通信サービスの研究実用化に従事。15年ほど前に、大学教員に転身。情報システム、数学、問題解決フレームワーク等を教えてきました。5年ほど前から地元公民館で月2回程度市民向け数学教室も開催しています。近頃は数学的背景のあるパズルに興味があり、その内容の発信にも関心があります。博士号(工学)、高校教員免許(数学)あり。
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