= (イコール)が見せるいろいろな顔【基礎編】算数・数学で使われる等号「=」のさまざまな意味について

「=(イコール)」は、算数や数学で最も身近な記号のひとつです。
小学校で学んで以来、多くの人がその使い方に親しんできました。しかし、数学の世界で等号が果たしている役割は、場面に応じてさまざまな意味合いを帯びています。

算数・数学での「=(イコール)」の使われ方について、2部構成で見ていきたいと思います。

まず【基礎編】では、算数や数学の中で現れるさまざまな「=」の意味を紹介します。 

【応用編】では、等号を使った定義や式変形、総和・相乗記号、さらにプログラミングでの用法までを取り上げます。

本記事は【基礎編】として、算数や数学における等号の基本的な姿を順に見ていきましょう。

等号「=(イコール)」とは?(導入)

「=」は、答えを書く記号であると同時に、関係を表す記号です。

小学校では、「3 + 4 = 7」のように、「計算の結果を表すしるし」として等号を習います。これは確かに、等号の最も基本的で重要な使い方です。

しかし、算数や数学における「=」は、単に答えを書くための記号ではありません。本質的には、「左辺と右辺の値が同じである」こと、すなわち「等しい」ことを示す記号です。

この「等しい」という考え方は、

  • 常に成り立つ関係
  • 条件がそろったときに成り立つ関係
  • ある式を別の形に書き換えた結果

など、さまざまな文脈で使い分けられています。

これから、身近な例を通して、等号「=」が持つ多彩な顔を見ていきましょう。

1) 恒等式(常に等しい)

いつでも成り立つ「=」があります。

「恒等式」とは、どんな値を入れても常に等しくなる式のことです。
たとえば

(a+b) 2 = a2 + 2ab + b2

のように、式の形を変えても中身は同じです。

計算のルール(結合法則や分配法則など)や公式(展開や因数分解など)としてよく現れ、これは「いつでも成り立つ等号」であり、数学の基盤をなす重要な種類の等式です。

2) 方程式(ある条件で等しい)

この「=」は、条件がそろったときだけ現れます。

「方程式」は、特定の条件を満たすときだけ成り立つ等号です。
たとえば 2x = 6 は、x = 3 のときに限って成り立ちます。

ここでの「=」は、「この場合に限って等しい」という意味で使われています。

「方程式」という言葉の「方」は未知の量を、「程」は等しい関係(ルール)を表します。
つまり、方程式とは「未知の数が、ある等しさの条件を満たすように探す問題」なのです。

このように、「=」は常に成り立つとは限らず、条件付きで使われることもあります。

3) 比の等式(比例関係)

比が等しい、という「=」です

「比の等式」とは、2つの比が等しいことを示す式です。
たとえば a:b = c:d のように表します。これは a/b = c/d を意味し、そこから
a×d = b×c(外項の積=内項の積)
という関係が導かれます。

この比例の関係は、三角形の相似、速さや濃度の問題など、実生活のさまざまな場面に現れます。

4) 幾何的な等しさ(長さ・面積・体積)

形を比べて「等しい」と考える場面です。

図形の世界でも、「等しい」という考え方はよく使われます。たとえば「この2つの辺の長さが等しい」「この2つの図形の面積が同じ」といった表現です。

このうち、長さについては
AB = CD
のように、等号を使って表すことができます。

一方で、面積や体積については、図形そのものではなく「面積」「体積」という量を比べるため、
表し方にいくつかの流儀があります。そのため、ここでは、幾何的な等しさの代表例として、長さの等しさを取り上げました。

図や形を見比べながら「同じだ」と判断する――これも、数学における大切な「等しさ」のひとつです。

5) 集合の等価性

中身が同じなら、順番は関係ありません。

集合とは「ものの集まり」のことです。
集合Aと集合Bが等しいとは、Aに含まれる要素がすべてBにも含まれ、その逆も成り立つことを意味します。順番や重複は関係なく、「中身が同じかどうか」が基準です。このときの「=」は「完全に一致する集まり」を意味します。

例:

A = {a, b, c}, B = {c, a, b}            → 要素がすべて一致→ A = B

A = {a, b, c}, B = {a, b}                → cが含まれない    → A ≠ B

A = {a, b, c}, B = {a, b, b, c}        → 重複は無視         → B = {a, b, c} → A = B

6) 構造の同型(グラフや群)

見かけが違っても、「同じ」と言える場合があります。

数学の中には、見た目が異なっていても、構造が同じものがあります。たとえば2つのネットワークが、点と線のつながり方だけを見れば同じ場合、それらは「同型(どうけい)」と呼ばれます。この場合、「=」は「構造として同じである」ことを表します。

高校までの数学ではあまり登場しませんが、数学の広がりを感じさせる重要な考え方です。

おわりに

ここまで見てきたように、「=」は一口に等号といっても、多様な表情を持っています。
「常に等しい式」「条件つきで成り立つ式」「図形や集合の一致」「構造の同型」など、算数や数学の幅広い場面で使われています。

しかし、等号の役割はこれだけではありません。
次の【応用編】では、等号を用いた定義や計算の置き換え、総和記号、さらにはプログラミングにおける代入までを取り上げ、数学の枠を超えて広がる等号の姿を探っていきます。

(文責:みうら)

著者プロフィール 数学博識王みうら(三浦章)

みうら(三浦 章) math channelマガジン数学博識王

国立市在住。東京工業大学大学院修士課程を修了後、通信キャリヤで30年ほど通信サービスの研究実用化に従事。15年ほど前に、大学教員に転身。情報システム、数学、問題解決フレームワーク等を教えてきました。5年ほど前から地元公民館で月2回程度市民向け数学教室も開催しています。近頃は数学的背景のあるパズルに興味があり、その内容の発信にも関心があります。博士号(工学)、高校教員免許(数学)あり。

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この記事を書いた人

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国立市在住。東京工業大学大学院修士課程を修了後、通信キャリヤで30年ほど通信サービスの研究実用化に従事。15年ほど前に、大学教員に転身。情報システム、数学、問題解決フレームワーク等を教えてきました。5年ほど前から地元公民館で月2回程度市民向け数学教室も開催しています。近頃は数学的背景のあるパズルに興味があり、その内容の発信にも関心があります。博士号(工学)、高校教員免許(数学)あり。