4月です。新年度になりました。6年生の皆さん、進級おめでとうございます!
学校でも最上級生になりましたね。これから学校行事などがどんどん「小学生最後の」になっていきます。
中学受験においてとても大切な1年ではありますが、小学校生活にとっても大切な1年。
1年後、悔いなく春を迎えられるように、楽しんでいきましょう。
受験と学校生活の両立をがんばる小6ママ、パパに届けたい、「お悩み相談」連載の3回目です。
今回も、中学受験算数指導歴30年の滝澤幹先生がお答えします。
受験生ママ、パパから寄せられた中学受験算数に関するお悩みを、小6男子ママの池田さんと一緒に聞いていきたいと思います。
お悩み③「数学」ではなく「算数」でどう教えていいのかわかりません
お悩み③
塾の宿題を親が教えることが多いのですが、両親2人とも中学受験を経験していないので、中学で習う「数学」ではなく「算数」でどう教えていいのかわからず、親子ともに混乱してしまいます。どうすればいいでしょうか?
うちは、パパは中学受験経験者なのですが私はしていないので、「これって算数でどうやって教えたらいいのかわからない」となるときがけっこうあります。
教え方に悩んだら、解答と解説を読み合わせしよう
算数の教え方で悩んだときは、解答と解説を親子で一緒に読み合わせすればいいですよ。
読み合わせ? 読むだけでいいんですか?
はい。一緒に読み合わせしながら、「書いているここの意味、わかる?」って聞いていってください。
聞くだけ?
聞くだけです。これのいいところは、まずは楽なところです。
確かに、聞くだけでいいなら楽ですね! 教えなきゃ、ってプレッシャーがあったので。
もう一つのいいところは、聞いているうちに「解答のここがわからない」という風に、わからないポイントが浮かび上がってくるんです。
なるほど。で、わからないポイントをどう教えたらいいんでしょうか?
教える必要はありません。
え! じゃあどうすればいいんでしょうか?
「ここがわからないから教えて」って、塾に持っていけばいいんです。
あ、そっか! 1つ目の質問でも、「塾の先生にお任せでいい」と言われていたんでした。
そうなんです。塾の先生として子どもの質問で一番困るのが、「先生、わかんない」なんです。
確かに(笑)。何がわからないの?ってことですね。
そうそう。わからないって何が? って聞いたら「算数」って。
広い!(笑)
いやいやいやいや。もしくは問題を持ってきて、「この問題がわかりません」っていうのも多いんです。
それは、言ってしまいそうです。
この問題ってことは、「太郎君と次郎君の太郎君がわからないの?」みたいな。太郎君がどんな人かは俺もわからないんだけど、っていう(笑)。
(笑)
つまり、わからないポイントが抽出できていないんです。
うちの子も、ありがちかもしれません。
生きていく上で大切な「質問力」を育てる
「僕はこうやってこうやってこうやって考えて、ここからここまでわかったんですけど、ここからわかりません」っていう質問が出来るようになると、ぐっと理解が深まるんですよ。
難しいですね。
算数だけじゃなくて、これから先生きていく上で大切な問題なんですよね。
そうですね、質問力というか。
そう、質問力です。そういう、生きていく上で大切な力を、受験を通して身につけてあげたいんです。
それが中学受験をする意義につながってくるんですね。
「質問できる力をいかにつけるか」って中学受験の勉強の中の一つの大きな目的だと思っているので、質問しやすいポイントを一緒に抽出してあげるっていうことが大事かなって思いますね。
そのために、まずは「読み合わせ」ですね!
解答解説を読み合わせしながら、「こうやって書いてあるけどこれ意味わかる?」「これは?」「これはわかんない?」「じゃあこれどういう意味だろうね」って話し合ってみてください。
なるべく「圧」にならないように質問することが求められそうです。
ひょっとしたら、これをやるだけで解ける場合もあります。でもそれはあまり大事なポイントじゃないかな。
解けるか解けないかよりも大切なことがあるんですね。
自分が解けるか解けないかって、もちろん解けた方がいいけど、何がわからないのかをはっきりさせてあげることが大切なんですよ。
子ども自身が喋ることで、何を考えているかがわかる
そのためには何を心がければいいですか?
大切なのは、いっぱい喋らせてあげることです。喋ることで、子ども自身が何を考えているのかがわかります。
子ども自身が喋ることが大事なんですね!
読み合わせしながら「これどういう意味?」「これはどういう意味?」って聞いていくと、意外と問題文の日本語の意味がわかってなかったっていうことあるので。
あ、それすごくわかります!
それそういう意味で理解していたのか!って返ってくることもあるので。
何がわかっていないのかを知るためにも、子どもの考えを聞く必要がありますね。
そう。親御さん自身がこの問題の解き方を理解してその解き方を子どもに教えてあげよう、っていう発想だと、「どうやって教えたらいいのか分からない」となっちゃうと思うんです。
そうですよね。私もそう思っていました。
けど、そうじゃなくて、子どもが何を考えているのかを引き出して、子どもの頭の中をできるだけ「見える化」、「聞こえる化」してあげるだけでいいのかなっていう。
しゃべることで、だいぶ子ども自身も整理されますもんね。
そうです。それで、わからないポイントがわかったら、後は塾で質問すればいい。
質問する際の工夫は1回目の相談で教えていただきました!
ぜひ、活用してみてください。
相談③まとめ
<まとめ>
- 算数の教え方で悩んだときは、解答と解説を一緒に読み合わせしながら「こうやって書いてあるけどこれ意味わかる?」「これは?」と質問していく。
- 大切なのは、いっぱい喋らせてあげること。
- 「わからないポイント」がわかったら、あとは塾にもっていって質問を!
次回の相談は……
お悩み④
成績が思うように上がりません。夏までにやっておくべきことがあれば教えてください。
次回もお楽しみに!
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滝澤幹先生 プロフィール
滝澤幹(たきざわ・かん)
御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。共著書に『親子で楽しむ!中学受験算数』(平凡社刊)がある。