算数オリンピックファイナリストが、暗くて長いトンネルの出口にたどり着けたきっかけは、やっぱり算数だった【math Interview】

自分の記憶に残っていることで言うと、小3くらいのときに図書館で借りて読んだ『知識の王様』というシリーズの本かもしれません。

そうです。今は絶版になってしまっているんですが、このシリーズを全部読んで、その中でも特に算数が面白くて。
算数の奥深さ、面白さを、この本を読んで知ったんです。

はい。図書室で偶然見つけて、なんとなく手に取りました。この本がきっかけで、気がついたらいろんな知識が溜まっていて。
その後、『博士の愛した数式』を読んで、数字に興味を持つようになったんです。

小4か小5くらいだったと思います。

この本を読んで、数字についていろいろ調べるようになりました。

初めは『完全数』とか『友愛数』とか『素数』とか……

この辺りはけっこう調べました。あとは『社交数』とか『婚約数』とか。パソコンで調べていました。

ははは(笑)

勉強は小学生になるまでほとんどしていませんでした。ただ、母親と一緒に図書館にはよく通っていたと思います。

図書館で色んな本を読んでもらった記憶があります。

それはあると思います。
ただ、僕も初めから字がたくさんある本を読めたわけじゃなくて、最初はやっぱり文字の大きい本から読み始めていました。

あと、学校で「朝学習」の時間があったので、そういう『本を読む機会』があったのは、大きかったと思います

当時、学校で算数を担当していた先生が、母にそういう話をしたそうです。

どうでしょう(笑)

実は、対策とか何もしなかったんですよ。

はい(笑)

結構難しかったです。小5のときは予選敗退でした。

いやそれが、小6のときも特に対策してないんです。

はい。

はい(笑)

そうですね(笑)

なんか、運が良かったみたいです。実際に点数もギリギリだったし。

いえいえ(笑)

当時はそんなことは思っていなかったですね。でも問題は面白いなとは思いました。

math channelに入ってからは影響している感じがあるんですけど、実はそれまでは全然なんとも思っていなかったんです。中学高校のときは、周りにも言っていなかったくらい。

そういう雰囲気じゃなかったんですよね。

周りの環境に、馴染めなかったんです。共学なんですが、男子クラスと女子クラスに分かれていて、男子クラスがかなり騒がしい環境だったんです。

もともと騒がしいのが苦手で、ゲーセンとかに入ると気分が悪くなるくらいなのですが、学校のクラスがずっとそんな感じだったんで……。
中3あたりから、ストレスで体調を崩してしまったんです。

タイミング的に他の高校に行くのも考えたんですが、それもそれで自分への負担が大きすぎるのでやめたんです。

そうですね。高校でもクラスの騒がしい雰囲気は続いていて、その環境がストレスでメンタルを崩してしまいました。

高校のときは落ち着いて勉強する感じにならなくて、高3のとき一応受験はしたんですがやっぱり難しくて……。

いえ、なかなか改善はできず、浪人している間もあまり勉強できなかったです。母親の勧めでカウンセリングに通ったりしていました。

基準としては、選択肢が多いところを選びました。情報連携学部というところで、プログラミングやビジネス、デザインなども学べる学部なんです。

選択肢が多いというとこは選択を先延ばしにしているだけということでもあるのですが、その時点で決めるよりはいいだろうと思いました。

新設された学部で、新しいキャンパスもその学部だけしかなくて。キャンパス内にサークルもまだ全然なかったりと、イメージしていた大学とは違った雰囲気だったんです。

サークルも特にやっていなかったし、バイトは塾講師を辞めたところで。1年生の2月ごろ、何かやらないと！と思っていたんです。

まだmath channelという名前もなかったころですね。それ以前から明日希さんのTwitterは知っていたんですが、ちょうどメンバーを募集していたのを見たんです。

講師というか、イベントの裏方の募集でした。実は最初、完全に裏方で応募したんですよ。
募集のTweetを見て、応募しようかどうかずっと悩んで……。

何度も保留にしながら、夜中の2時か3時くらいに深夜のテンションでメールを送ったのを覚えています。

イベントの裏方を1回手伝って、そしたら次、ワークショップをやるという話になったんです。その内容を考える話し合いの中に、僕も入ってて。

そうなんですよ(笑)。

はい(笑)。なぜか急にやることになりました。しかも、みんなでコンテンツを決めていたら、なぜかすでに何回かワークショップやっていたしんやくんを差し置いて、僕が最初にやることになって。

そうなんです(笑)。
でも、良い経験になったかなと思います。

math channelでメンバーたちと一緒に算数や数学の話をしていると楽しくて、気がついたらだんだん調子が良くなっていました。

今思うと中高は体育会系が強い学校だったから、算数や数学に興味がある人が全然いなかったんです。算数の話なんて、中高時代は一度もしたことがなかった。

3年間は、大学に通いながらmath channelで活動していたんですが、大学での活動とマスチャンの活動が3：7くらいの割合で(笑)。

ですね(笑)。算数に関することだけでなく、ミーティングの進め方とか人とのコミュニケーションとか、明日希さんが目の前でやってくれているのを見て、たくさんのことを学ぶことができました。

言葉だけじゃわからない、その場にいてこそわかることを実践してくれて、その環境にいられたことは本当によかったです。
この先、『あれをやりたい』という明確な目標はありませんが、死ぬときに『人生楽しかったな』と思えればいいなというのが今の目標ですね。