こんにちは。中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。
2023年度中学入試が近づいてきました
この時期になると中学受験生を担当している身としては、成績が今一つ伸び悩んでいる生徒のことがそろそろ心配になる頃です。
しかし、過去多くの卒業生が「合格作文」などで、「僕が本気になったのは1月になってからでした」という作文を残しています。ですので、ここからが本当の勝負なのかもしれませんね。
体調管理だけはしっかりして万全の体制で自信を持って志望校に向かって頂きたいと思います。
去年は渋谷教育渋谷中学と市川中学の2校で出題
さて、私としてはこの時期は頭をひねって問題を考える時期になります。どんな問題というと、
「西暦の問題」です。
例年、様々な中学校の入試問題でその年の西暦の数字を題材にした問題が出されることがあります。
これは予想しない訳にいきません。
昨年はこのマガジンで紹介した問題が、渋谷教育渋谷中学と市川中学の2校で見事に出題されました。
次は2023年ですから、2023に関する問題を4問考えました。興味があればチャレンジしてみてください。
2023年問題 その1「3進法の問題」
【問題】0,2,3の3種類の数字を使った数字を小さい順に並べていきます。
2,3,20,22,23,30,32……
2023は小さい方から何番目ですか?
【解答解説】
数字を3種類だけ使うので3進法の問題です。通常3進法では0、1、2という数が使われます。ところが今回は0、2、3の数字が使われる訳ですから、0→、2→1、3→2と変換して
2023は、通常の3進法の数字直すと、1012となります。
何番目かは10進法の数字で表しますから、3進法で1012と表された数を10進法に変換すればよいわけです。10進法での位取りは、右から順に1の位、10の位、100の位……と10倍ごとになっていますが、3進法での位取りは右から順に1の位、3の位、9の位、27の位……と、3倍ごとになっています。
つまり3進法の1012=27×1+9×0+3×1+1×2=32となり,
10進法で表すと32ということは、2023、は0、2、3のみを使った数の中で32番目の数ということになります。
もちろん,ていねいに
2,3,20,22,23,30,32,33,
200,202,203,220,222,223,230,232,233,
300,302,303,320,322,323,330,332,333,
2000,2002,2003,2020,2022,2023
と書き上げて32番目と正解することもできます。
2023年問題 その2「虫食い算と場合の数の問題」
【問題】右のたし算でア~キには1~9のすべて異なる数字が入ります。
アイウエ+オカキ=2023
次の問いに答えなさい。
(1) 次の値をそれぞれ求めなさい。
① エ+キ
② ウ+カ
③ イ+オ
(2) ア<イ<ウ<エ<オ<カ<キのとき,
数字の入り方をすべて求めなさい。
【解答解説】
(1) ア~キには1~9のすべて異なる数字が入りますから、イ+オは必ずくりあがります。
よって、ア=1は決定です。
① エ+キは3か13が考えられますが,アが1になってしまったので、3になることはあり得ません。よってエ+キ=13です。
② ①より、1くりあがりますから、ウ+カは1か11となりますが、1はあり得ません。
よってウ+カ=11です。
③ ②より、1くりあがりますから,イ+オ=9で決定します。
(2)(1)よりエとキは、4と9、5と8、6と7の組合わせのいずれかです。
また、ウとカは、2と9、3と8、4と7、5と6の組合わせのいずれか。
さらにイとオは、2と7、3と6、4と5の組合わせのいずれかです。
これらを組合わせて、ア~キがすべて異なり、なおかつア<イ<ウ<エ<オ<カ<キの条件に合うように考えると以下の2つが考えられます。
1234 +789=2023
1345 +678=2023
2023年問題 その3「数字当て問題」
【問題】次の条件に合う数字Aを求めなさい。
条件1 Aは2023を並び替えた数である。
条件2 2023とAは1以外に公約数がある。
条件3 Aは20でわっても23でわってもわりきれる
【解答解説】
条件1より、Aは4けたの数で、2、0、2、3を並び替えた数です。
条件2より、2023=7×17×17なので,Aは7か17の倍数です。
条件3より、Aは460の倍数です。
よって、条件2と3より、460×7=3220となり、これはすべての条件にあてはまります。よって答えは3220です。
2023年問題 その4「立体図形の問題」
【問題】1辺1cmの立方体を2023個積んで直方体をつくります。次の問いに答えなさい。
(1) 何種類の直方体をつくることができますか。ただし、向きを変えて同じになるものは同じ種類であると考えます。
(2) つくることができる直方体のうち、最も表面積の小さい直方体の体積の表面積を求めなさい。
【解答解説】
(1)2023を3つの整数の積で表す方法が何通りか考える問題です。
- 1×1×2023
- 1×7×289
- 1×17×119
- 7×17×17
よって4種類となります。
(2)4種類の直方体について表面積を考えてもよいですが、できるだけ立方体に近い(たて、横、高さの長さの差が少ない)直方体が最も表面積が少なくなります。
よって、(1)の答えの4つから選ぶと、7×17×17の直方体があてはまります。
直方体の表面積=たて×横×2+たて×高さ×2+横×高さ×2 なので
7×17×4+17×17×2=1054平方センチメートルとなります。
「2023」という数の特徴を他にも考えてみた
2023を使った問題はこれ以外にもいろいろと考えられます。
ここまで見てきて、「西暦の問題」は、その数の特徴を捉えて出題されることが多いと気づかれたのではないかと思います。
この「2023」という数の特徴をいくつか挙げると
- 素因数分解すると2023=7×17×17であることを使った問題
(例えば、分母が2023の既約分数の個数など) - 0と2と3しか使われていないこと。例えば2進数や3進数の問題
- 各位の和が7であること。これは9で割った余りが7ということでもあります。
- 一番近い三角数は65番目の2045、一番近い平方数は45番目の2025
- 下2けたと上2けたで分けると、20と23になり3つ違い。積は460
などなど。
これらの特徴を使ってどんな問題が作れるだろう?と考えてみるのも面白いですね。
You Tubeでも1問紹介しています
mathchannelの公式YouTubeで、2023の約数について、そして7の倍数の見分け方の動画を紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
問題を作るのはとても楽しい
私は、授業や執筆、講演、動画出演などいろいろな仕事をさせていただいていますが、一番好きなのは問題を作ることかもしれません。
ですから、今回2023に関する問題を作るのもとても楽しかったです。
特に今回のお気に入りは
- 1234と789をたしたら2023になることに気づいたことと
- 3220=20×23×7でなおかつ2023をならべかえた数であること
ですかね。
数字との一期一会もまた幸せなものです。もしよろしければ皆様も2023を題材に問題を作ってみませんか?
よい問題ができたらぜひ教えてください。
(文責:滝澤幹)