解説つき!数学パズル「ナイトの交換」6つのナイトを入れ替えよう。ヒントは「八角形」!【前編】

チェスを使った数学パズルをご存知ですか?
「ナイトツアー問題」や「エイトクイーン問題」など、面白い算数パズルが色々あります。

この記事では、ナイトの駒を使う「ナイトの交換」について紹介します。

チェスの駒の一つに、ナイトがあります。ナイトは下図に示すように、1手で、前後左右に2マス離れたマスの隣のマス(8個所)に進むことができます。

問題。3つのナイトを入れ替えよう

さて、問題です。

(問題1)3×3マスのチェス盤に、○と×のナイトが3個ずつあります。 ○のナイトの所に×のナイト、×のナイトの所に○のナイトが来るようにナイトを移動させてください。つまり○と×の位置を交換してください。○と×のナイトはどんな順番で動かしても構いません。

どう考える?

このような問題を解く際の鉄則は、簡単な例で試すことです。下の図をご覧ください。

  1. (場合1)最上段左端に1個だけナイトがある
       4手で最下段右端に移動できます。
  2. (場合2)最上段右端に1個だけナイトがある
       同じく4手で最下段左端に移動可能。
  3. (場合3)最上段中央に1個だけナイトがある
       これも4手で最下段中央に移動可能。

これで、かなり解き方が分かってきました。
(場合1~3)に対応したナイトの動かし方を、6つのナイトそれぞれについて実行すればよいのです!
できましたか?

ナイトが6つある場合の上手い方法は?

一つ一つのナイトについては移動できるものの、6つある場合は、動かそうと思ったマス目にすでに先客ナイトがいたりして、うまくいかないという方もいるのではないでしょうか。

そこで、スムーズに移動させる方法を考えてみましょう。
整理して考えると、いずれの場合も、4手で真ん中のマス目に関して反対側に移動できることがわかります。
これから、8手で元に戻ることもわかります。

移動できるマス目を直線で結ぶと、下図左側のように星形ができますね。これは、八芒星と呼ばれる図形です。

つまり、ナイトは、星形の頂点上を移動しているといえます。中央のマス目は通らないことにも気が付きますね。
この星形、八角形の頂点を2つ飛ばしで結んだ形で少々複雑です。
問題を難しくしているのは、この星形の上での移動を考えているからです。

星形を簡単な形にできないでしょうか?
実は、この星形は、頂点と頂点のつながりだけに注目すると、下図右側のような正八角形と同じ形なのです。

どういうことなのか、確認していきましょう。

まず、下図左側のようにマス目に番号を付けます。
マス目上の星形を順にたどると、
1→8→3→4→9→2→7→6→1→以下繰り返し
となります。

八角形の頂点に下図右側のように番号を付けると、この2つの図形は頂点と辺の関係に関しては同じであることがわかります。

というのは、1には6と8がつながっていて、2には7と9がつながっていて、という具合にすべての頂点と頂点のつながり具合が星形と八角形で等しいからです。マス目の5は通らないこともわかります。

こうすると、チェス盤上の〇と×は、八角形の頂点上に〇と×が乗っていると考えることができます。ナイトは周上にあるので、飛び越しできないことも明らかですね。

八角形上にナイトを置いてみると解ける!

実際に、八角形上にナイトを置いてみましょう。

すると、この八角形の頂点上に(A)のように、〇と×が乗っていると考えることができます。
〇と×を交換した形の八角形上での配置は(B)のようになります。
この移し替えを3×3のチェス盤上で行うと、交換できます。

この交換は、八角形上に○×が交互にあることから、思ったより簡単に何と「8手」でできます。
具体的な方法は、下の図をご覧ください。

3×3のチェス盤上での移動は、皆さんで試してみてくださいね。

問題2。ナイトを一つ除いてみたら

次に、今解いた問題から中央のナイト(○×)を除いたものの移動を考えてみましょう。

(問題2)3×3マスのチェス盤に、○と×のナイトが2個ずつあります。 ○のナイトの所に×のナイト、×のナイトの所に○のナイトが来るようにナイトを移動させてください。つまり○と×の位置を交換してください。○と×のナイトはどんな順番で動かしても構いません。

簡単そうに見えるけど、実は難しい!?

2個少ないのだから、もっと簡単なはずですね。ところが……そうでもありません。

では、秋の夜長、この2問目のパズルにもチャレンジしてくださいね。
種明かしは次回に続きます。お楽しみに。

(文責:三浦章)

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この記事を書いた人

みうら(三浦 章)のアバター みうら(三浦 章) math channelマガジン数学博識王

国立市在住。東京工業大学大学院修士課程を修了後、通信キャリヤで30年ほど通信サービスの研究実用化に従事。15年ほど前に、大学教員に転身。情報システム、数学、問題解決フレームワーク等を教えてきました。5年ほど前から地元公民館で月2回程度市民向け数学教室も開催しています。近頃は数学的背景のあるパズルに興味があり、その内容の発信にも関心があります。博士号(工学)、高校教員免許(数学)あり。