中学受験算数ナビゲーターの滝澤です。
中学入試の季節です。6年生は志望校の過去問演習や模擬試験など、時間を測ってテストをすることが多くなっています。
そこで問題になってくるのが、計算力です。多くの試験では計算問題がそのまま出題されますし、計算問題として出題はされなくてもほとんどの問題で最終的に答えを導き出すためには計算が必要です。
というわけで、今回のテーマは計算です。
計算力をつけるには
計算力をつけるには、もちろん計算問題を毎日少しずつやるのが一番です。
しかし計算が好きではないという生徒が多くいます。好きではないものを毎日やるのは苦痛ですから、そのうちやらなくなってしまいます。
ですから、毎日計算練習する前に計算の楽しさを知ってほしいと思うのです。
私が思う計算の楽しさは次の3点です。
計算の楽しさとは
- 解き方はわかっているので、面倒くささはあるが、地道にていねいにやれば必ず正解できる。
- 工夫することによって、面倒くささを少し軽くすることができる。
- なぜかなかなか毎回正解することは簡単ではない。だから面白い。
計算が楽しくなる問題とは
私は毎月math channelで「中学受験算数 良問講座」というオンライン講座を開いています。
そこでは毎月1つの単元を扱って小3~小6で楽しめる少し難しい問題を生徒たちに解いてもらっています。
この講座で計算を扱ったときに、これらの3つの計算の楽しさを感じてもらえる問題を用意しました。
そこで、今回はこれらの問題を紹介したいと思います。
問題1
次の12けたの整数について,以下の問いに答えなさい。
ア…222222222222
イ…222222242242
ウ…222220202222
エ…220220222222
オ…244224422442
(1) 22で割り切れるものをすべて記号で答えなさい。
(2) 202で割り切れるものをすべて記号で答えなさい。
(3) 2002で割り切れるものをすべて記号で答えなさい。
解法①:地道な考え方や解き方も大切で素晴らしい。
この問題は入試問題をアレンジした問題です。
解き方はわかりますよね。ア~オまでをすべて22や202や2002でわればよい訳です。
そう聞くと、
そんな大変なことはしなくても、もっと簡単に工夫してできるのではないか?
そう思われる方もいるでしょう。確かにその通りなのですが、地道にすべて筆算でわり算して正解を導くという方法はとても大事な力です。
まずはできることを試して正解に近づこうとすることがとても大切です。
地道に計算する中で自分で気づくこともあるでしょうし、正解を導くことができた達成感を得られることもできます。
なんでもまず最適解を求めてしまうと、せっかくの努力を否定することになってしまいます。それが続くと努力することを嫌がる気持ちが芽生えてしまうのです。
解法②:楽に解ける工夫も楽しい
そのうえで、この問題は工夫が楽しい問題でもあります。
解説をしていきましょう。
まず222222222222について考えましょう。
これは2が12個連続している数ですから、22が6回連続しているともいえます。
ですから22でわれることはわかります。
次に202でわれるかどうかを考えます。
202を何倍かして2が連続する数にならないか考えてみると、202×11=2222ですね。ここで、222222222222は2222が3回連続している数といえますね。ですから、2222でもわれますし、202でもわれることがわかります。
最後に2002も同様に考えましょう。
2002を何倍かして2が連続する数にならないか考えてみると2002×111=222222と2が6つ連続する数になりますね。よって、222222222222は2002でもわれるのです。2002÷22=91なので、2002でわれれば、22でもわれることを確認しておきましょう。
次に、イ、ウ、エ、オそれぞれと、アの差を考えます。
アとイの差……20020→これは22と2002でわれます。ですから、イも22と2002でわれます。
アとウの差……2020000→これは202でわれます。ですから、ウも202でわれます。
アとエの差……2002000000→これは22と2002でわれます。ですから、エも22と2002でわれます。
アとオの差……22002200220→これは22ではわれそうですが、2002でわれるかはよくわかりません。そこでアを2倍して、444444444444とオの差を考えます。
ア×2とオの差…200220022002→これは22と2002でわれますね。オも22と2002でわれます。
よって、(1)ア、イ、エ、オ (2)ア、ウ (3)ア、イ、エ、オという答えになります。
問題2(答えはあえて載せません!)
下の空いている9つのマスに1~9の数を入れて、たて、横、ななめの合計が、書かれている数になるようにしましょう。
ただし、連続する数(3と4や7と8など)は必ず辺でとなりあったマスに入ります。
このパズルぜひやってみてください。
意外と楽しく計算練習できることがわかると思います。
難易度も難しすぎず、ちょうどいいと思います。あえて答えは載せません。楽しんでやってみてください。
このような計算パズルは簡単に作ることができます。まず9マスに1~9までの数字を連続するように書き、合計を計算して、9マスを消せばよいだけです。表計算ソフトなどを使えばもっと簡単にパズルが量産できてしまいます。16マスや25マスにすると、難しい問題を作ることもできます。ぜひご家庭でやってみてください。
たくさん練習するためには楽しさが必要
なにごとも、ある程度の量を練習しなければ上達しません。
ではたくさん練習を重ねるためには何が必要なのか、を考える必要があります。
それは、楽しさです。
そして楽しさとは達成感と難しさのバランスです。
地道なやり方も素晴らしい方法です。達成できたときにしっかり認めてあげることが、さらに子供たちの向上心を養うのだと考えています。
そのうえで、工夫やコツなどを楽しめる力がつくのだと思っています。
まずは地道でもがむしゃらでも良いので、正解へ突き進む姿勢をたくさんほめてあげたいですね。
(文責:滝澤幹)
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著者プロフィール
タッキー先生(滝澤 幹 たきざわ かん)
中学受験算数ナビゲーター
御三家筑駒中学受験専門塾にて指導歴30年。「算数の楽しさは正解だけではない」「すべての小学生に算数の難問を解く楽しさを知ってほしい」と思い、math channnelに参加。算数表現力ゼミを主催。共著書に『親子で楽しむ!中学受験算数』(平凡社刊)がある。
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