こんにちは!math channelのしっしーです。
このmath×Englishコラボ談義では、表現や文章題を題材にして、算数と英語のコラボレーションを扱っています。今回の記事は「なぞなぞ算数英語」です。
今、マス(math)田くんは初めて英語で算数の学習をしています。
英語で書かれた算数についての文を6つ、日本語に翻訳してみました。ところが8つの算数用語を間違えて訳してしまい、変な日本語になってしまいました。
どの部分がおかしいでしょうか?そして、どうしてそんな日本語になってしまったのでしょうか?
今回は入門・初級編。全て日本の小学校で習う算数用語です。読んでいると「何か変だな?」と気づくと思います。みなさんは違和感の正体が分かりますか? マス田くんと一緒に楽しみながら学習してみましょう!
入門編
まずは入門編です。mathさんが出題する英語で書かれた3つの問題文を、マス田くんは右のように訳しました。
それぞれの問題でマス田くんが何を訳し間違えたか、分かりますか?
90°is called “right angle”.
90度のことを、右の角度と言います。
Let’s use a table to check how many apples there are.
りんごがいくつあるか、机を使って整理しましょう。
x+6=10
Please find the value of x.
正しいxの価値を求めなさい。
いかがでしょうか?
上の3つの文で間違っているのは「右の角度」「机」「価値」です。
角度に「右」「左」はないですよね……。「机を使って整理する」もなんだかよく分かりません。正解の日本語は、それぞれ「直角」「表」「値」となります。どんな英語を間違えて訳してしまったのでしょうか?
それでは答えです。
直角は英語で「right angle」と言います。「right」は多義語、つまり意味がたくさんある単語です。「右の」という意味以外に「正しい」「権利」などの意味があります。
辞書によると「right」の語源は「まっすぐな」1 。そこから「直角の」という意味になるのですね。
「表」は英語で「table」と言います。これは以前の記事でも取り上げました!「平たい板」という意味が元で、「結果が乗っている表」という意味に派生したのですね。
値は英語で「value」と言います。「value」を初めて習う時、「価値、価値観」という意味で覚えますね。算数では「値」という意味で出てくることが多いので、チェックしてみてください。日本語でも「価値」には「値」という漢字が入っているので、これはわかりやすかったかもしれません。
初級編
さあ、入門編で慣れたところで、初級編です。今度は、3つの文それぞれにつき2つの間違いが隠されています。マス田くんは何を訳し間違えてしまったのでしょうか?
A number that cannot be divided by 2 exactly is “odd number” and a number that can be divided by 2 exactly is “even number”.
2で割り切れない整数のことを奇妙数、2で割り切れる整数のことを均一数と言います。
How many faces does a cube have? Also, find the area of its face.
立方体の顔の数はいくつですか。また、顔の地域を求めなさい。
A point where two lines or a line and a plane cross is “intersection”.
線と線、または線と飛行機とが互いに交わる点のことを、交差点と言います。
いかがでしょうか? なんとなく、そのままの日本語でも意味が通じそうで怖いですね……。
間違っているのはそれぞれ「奇妙数」「均一数」、「顔」「地域」、「飛行機」「交差点」です。
正しくは「奇数」「偶数」、「面」「面積」、「平面」「交点」。どうしてそんな日本語になってしまったのでしょう?
まず「奇数」「偶数」のことを英語では「odd number」「even number」といいます。
「odd」は「奇妙な」という意味で出てくることが多いので、「奇妙な数」と訳してしまいました。実は、これは当たらずも遠からずです。というのも「偶数で割れない奇妙な数」のことを「奇数」、つまり「odd number」というようになったという由来があるからです2。
反対に「even number」はどうでしょうか。「even」は英語で「平らな」「均一な」などの意味があります。馴染んでムラのない感じ、なんとなく「偶数」のイメージでぴったりではないでしょうか。
「面」「面積」のことを英語では「face」「area」と言います。
この2つは、以前の記事でも紹介しました!「face」の方は「物体の顔=面」と考えると納得できるのではないでしょうか。そして、算数の文脈では「Find the area」というと「面積を求めなさい」という意味です。
ちなみに身体の部位は多義語であることが多いです。以前の記事でも、「hand=時計の針」を紹介しました。
それでは、「foot」(足)は算数でどんな意味で使われるかご存知でしょうか?
答えは足の長さから転じて、長さの単位を表します。たとえば「one foot」というと「1フィート」。1フィート=約30.5cmです。日本では使うことはありませんが、英語で算数を学んでいるとどこかで目にするかもしれません。
最後に、「平面」「交点」のことは英語でそれぞれ「plane」「intersection」と言います。
「intersection」(インターセクション)は日本語でも耳にするかもしれませんが、「交差点」という意味で使われることが大半です。交差していることを表すので「交点」、シンプルですね。
「plane」はもちろん「飛行機」のはず!「平面」という意味になるのには理由があるんです。
「plane」の語源は「平らな面」。「plane」(飛行機)の元の単語は「airplane」で、これは「空(air)を水平に飛ぶ板(plane)」という意味から転じて「飛行機」という意味になったそうです2。そのため「線と飛行機が交わる点」というのもあながち間違いではないかもしれません。
なぞなぞで楽しく算数英語を学習しよう
さて、楽しく英語で算数を学ぶことができたでしょうか?今回出てきた算数用語を、マス田くんと一緒に整理してみましょう。
- right angle 直角
- value 値
- odd number 奇数
- even number 偶数
- face 面
- area 面積
- plane 平面
- intersection 交点
この機会にぜひ覚えてみてくださいね。次回は「なぞなぞ算数英語」中級編。内容がレベルアップして少し難しくなりますが、ぜひチャレンジしてほしいと思います。次回の記事をお楽しみに!
参考資料
(1)ウィズダム英和辞典第3版
(2)ジーニアス英和大辞典
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