パパママ今日も育児お疲れ様です!
mathchannelマガジン編集部のずーです。
パパママにお伝えしたい、
お子さんの算数センスを磨く日常での声かけ働きかけ第6弾!
今回のテーマは「100までの数」です。
小学校では、
1年のはじめの方にある「数と数字」(10までの数)、
秋頃に習う「10より大きい数」(20までの数)、
冬頃に習う「大きな数」(100までの数)といった単元で扱う内容ですね。
前々回の「四則演算(前編)」で「小学校に上がる前にたし算くらいできるようになった方がいいですか?」 という相談について取り上げました。
それよりもさらに多いパパママからの言葉

小学校にあがる前に数を教えておいた方がよいよね?
に関するお話になります。
ちなみにこの相談に対する私の返答は

100までいかずとも、20くらいまでの数は就学前にわかっていると良いのではないかな。と実感しています。
というか……どうなんでしょう、それこそ自然と覚えてしまうような気がしますが。
なぜ、就学前に分かった方がいいかは後ほどお伝えしますね。
子どもと一緒に数をかぞえよう!
では、どうやって数を教えてあげたらいいの?という話ですが、
それはもう日常でじゃんじゃん数えてあげてください(笑)
言葉のシャワーと同じです。大人が数えましょう。
例えば、実家の両親が贈ってくれたりんごを一緒に開けるとき。

例えば、貨物列車が通りすぎるのを眺めているとき。

ていねいに1、2、3、4、……と数えて数と言うものの存在をアピールします。
特におすすめなのは、子どもが”たくさん”をもってきた時ですね。
トミカ並べたよ。
砂場でケーキ作ったよ。
どんぐり拾ったよ。
いろんな”みてみてたくさんできたよ!”のタイミングがあると思うのですが、その時に

本当だ。いっぱい並んだ(作った/拾った)ね!
1、2、3、4、……8台もある!長いな~!!
(ぜひ、指も添えて数えてくださいね)
などと言ってあげると、注目してくれた喜びと共に数を知ることができます。
子ども自身が関心を寄せている場面なので、だんだんと数がわかるようになれば、前よりも多くできた!などと意識するきっかけにもなります。
少しばかりアンテナを意識して張っていれば、一緒に数を数える機会はたくさんあると思うので、ぜひ実践してみてください!
数の概念と数唱の違い
ただし、この時に1つ注意してほしいことがあります。
それは、数唱ができることと数の概念を理解することは「=(イコール)」ではない。ということ。
数唱? 概念? なんか難しい話?と思うかもしれませんが、まあ聞いてください。

数唱というのは読んで字のごとく、数を「唱える」ことです。
例えば、私が「今から『ほる、ちぃ、わぐ、みけら』と覚えてください!」と言えば、みなさんひとまず覚えられると思うんです。
そしてそれを口に出す、唱えることもできますよね。
ただ……
唱えながらも、「で、これ何?」と思いませんか?
何を指す言葉なんだろう?と。
ところが「ほる、ちぃ、わぐ、みけら」はさきほど私の口から出てきた完全にでたらめな言葉で、特に何を指しているわけではありません。
逆にいえば 、その言葉の指すものがわからなくても唱えるという作業はできるわけです。
歌詞をしっかりとは知らない歌も、何度も聞いてたらそれらしく口ずさんでしまうように、いまいち意味がわからなくても言葉を口に出す経験を子どもはたくさんしていますよね。
そして。
「1、2、3、4、……」という数唱に対して「これ何?」にあたるのが数の概念です。
ざっくり言うと「1」は何かが1つある(●)こと、「2」は何かが2つある(●●)ことだったり、「1」の次は「2」で、「2」の次は「3」である。というような話です。
つまり、子どもが「1、2、3、4、……」を覚えて口に出すようになったとしても、それが私たちの思っている1、2、3、4……のこと(数の概念)をイメージしながら言ってるかどうかはわからないよ。ということなんです。
おそらくは数の概念を理解するよりも数唱の方が早くできるようになると思うので、
「いつ、数というものを自分のものにするのかな?」と楽しみながら一緒に数を数えてあげてください!

数が使えるようになったら、お願いしよう!
さらに慣れてきたなと思ったら、数を使ってオーダーを出してみましょう。
おやつの1口ゼリーを両手にたくさん持った状態で

3個どうぞ
と言ってみたり、
一緒にブロックで遊んでいるときに

コレ(今持っているのと同じもの)2個とって?
と言ってみたり。
このあいだエレベーターに乗っていたら、同乗していた親子が

パパ、3階についたよ!

うん、3階だね。次はー?

4階!
なんて会話をしてました。(ああ、可愛すぎた……)
これもいい例ですよね。
そうそう。
この時、「ひとつ」「ふたつ」「みっつ」……といった「つ」のつく数え方ではなく、はじめは「1こ」「2こ」に統一したほうが子どもは混乱しないかもしれません。
数に充分親しんだら、「つ」のつく数え方も「ひぃ、ふぅ、みぃ、よ、いつ、むぅ、なな、や……」などといった表現も教えていきたいですけどね!
20くらいまではその繰り返しで、生活の中で自然に数を覚えていけると思います。
2ケタのちょっと多い数については、
例えば車での移動中に一緒に信号の数を数えてみるとか

トミカやブロックを一緒に片づける時がチャンスです。

もちろん毎回でなくていいので、余裕がある時に数えてみましょう。
数を表す文字「数字」どう結びつける?
さて。
次に意識していきたいのは、数唱と数字、または概念と数字を結びつける作業です。
私たちは「8」をみたら「はち」も「●●●●●●●●」も浮かびますが、もちろん数を数えられるようになったばかりの子どもはそうはいきませんよね。
でもこれも、どうやって教えよう~?なんて悩む必要はないと思います。
私の経験でしかないですが、街の中の数字をみつけて勝手に質問したり覚えたりしていきます。
もちろんチャンスがあればこちらから話してあげるのもいいですよね。
「3番のりばに電車がまいります~」のアナウンスを聞いて

(3の文字を指しながら)3番はあっちだね
と言ってみたり、
スーパーのPOPを見ながら

2個で600円だって。2個買っちゃおうか
と言ってみたり。
1ケタの数字をみかけたらちょっと注目する意識を持って、声をかけるようにしてみましょう。
子どもが読めた時に「そうそう!」って、読めたことを一緒に喜ぶのを繰り返していくうちに、どんどん吸収してくれると思います!
お風呂の中はやっぱりチャンス
では、100までの数はどう教えましょう?
20くらいまでならまだしも……86とか、日常でちょっと出会いませんよね。
出会ったとしても数えたくはない……(笑)
はい、ここでやってまいりました!
THE☆定番「お風呂の中でのカウントアップ」の登場です。

自分も小さい時お風呂の中で数を数えたなあって方も多いのではないでしょうか。
たくさん数を数えるにはとてもいい機会ですよね!
こちら、「100まで数えてからあがろう!」のルールで数え親しむ……のもいいのですが、
今回はちょっと我が家の場合を紹介させてください。
どうしたかというと
いきなり一緒に100まで数えるのではなく、
- STEP1
私が50まで数える(数というものをアピール) - STEP2
一緒に10まで数えたらあがる
一緒に20まで数えたらあがる
…
一緒に50まで数えたらあがる - STEP3
ある日、私が51以降を数えだす(続きの存在を示唆) - STEP4
59でストップしてみる
69でストップしてみる
…
99でストップしてみる
こんな感じで徐々に教えていきました!
このとき、仕掛けたことは大きく3つ。
- 50の先にも数があることを知らせる
- 59や69の次の数を(1~50の経験によって)考えさせる
- 「99の次って何?」という質問を待つ
です。
右の数字と左の数字で意味が違う!
ここでちょっと難しい話をしますが……(今回はそんな話ばかりですみません。シンプルなものほど奥が深いというか)。
みなさんは、数字って10種類しかないんだ!と思ったことはありますか?
そうなんですよ。
数というものは無限に続いていくのに、数字は0~9までの10種類なんです。
その組み合わせですべての数を表してしまうんだからすごいですよね。
これはつまり、位取りというシステムのおかげです。
一の位の数字の左側にさらに数字を書くことで「10のまとまりが〇こ」あることを表してしまおう!という画期的なアレです。

私たちも子ども達もおそらく数字に親しむ前に「9」の次の「10」という存在を知ってしまうので、あまり考えたことはないかもしれませんが、
「●」は「1」、
「●●」は「2」、
「●●●」は「3」、
「●●●●」は「4」……と名前を付けていったからには、
「●●●●●●●●●」が「9」で、
次の「●●●●●●●●●●」にも何か別の数字をあてがいたくなるハズなんですよ。
「じゅう」という別の名前はありますが、それを敢えて別の数字ではなく隣の位にするところが、私たちの普段使っている10進法のミソなんですよね。
数は焼肉!?
先ほど紹介したお風呂でのカウントアップのステップは、子どもにその「位」だったり「数のしくみ」について少しでも考えてほしくて行ったものでした。
実際59の次を待っていると、「ごじゅうじゅう」なんて言うんですよ。
確かに9の次は10ですから、自然な流れですね。

ごじゅうはち、ごじゅうきゅう、……ごじゅうじゅう!

お~~!!これで10が6だから60だね。

ろくじゅう?

そう、58、59、……

60!

やったー!今日は60まで数えちゃったね~!あがろっか。
長男の場合、こんな会話を繰り返して、だんだん79の次は80、89の次は99と自力で発明(笑)していくようになりました。
そして99の次はもちろん、「じゅうじゅう!」
書いてて懐かしいですね……
「百」なんて言葉よりよっぽど(100=)10の2乗を表しているこの「じゅうじゅう」のまま過ごして欲しい……「999」=「きゅうじゅうじゅうきゅうじゅうきゅう」の次は「じゅうじゅうじゅう」って言って欲しい!……数って実は焼肉なんだな……と思いながら、そっと「ひゃく」という新しい言葉を伝えました。
刺激的なおもちゃが溢れる中、数の仕組みを感じながら積極的に数と向かい合うという地味な経験はなかなかできませんが、こういうことが分かると後の「大きな数(千、万、億)」の理解もスムーズですし、数で遊ぶ思考が身につくんじゃないかと思います。
ですので、お風呂の中なや移動中など行動が限られる時間に是非一緒に味わってほしいなあと思います。
20までの数は、できることなら入学前に習得したい
最後に、なぜ私がこんな風に数を入学前に生活の中で知っておいたらいいと思うかについてお話しますね。
それは、数を習うのが一年生の最初の授業になるからです。(※1)

数を知っていれば、この初めの授業で「ああ、この時間はこれからこんな風に説明があって、それを知ってみんなで考えたり数を扱っていくんだな」と、「さんすう」というものや幼稚園保育園とは違う「授業」というものの理解に意識を向けられます。
宿題もそんなに大変じゃなくなるので、「ああ、宿題ってこんな感じなんだ。授業でやったことがわかってるか確かめながらやればいいんだな。」と、リズムをつかみやすくなります。
逆に知らないまま授業を迎えると寝耳に水なことがたくさん起こるので、ちょっと負担が大きいですよね。
「1~5」を習ったらすぐに「1~5」の数字を覚えたり概念を理解したり数を使いこなせるようになるわけでもないでしょうし。
ただ!
こんな風に書くと最初のお子さまがまだまだ小さい方は不安になるかもしれませんが、本当に自然と入学前には覚えてしまうと思います。私たちの生活に数字は頻繁に出てきて、避けては通れないですから。
ちょっとハードルが高いのは「数字を書く」作業ですが、それくらいなら授業ではじめて教わったとしても練習して書けるようになるのではないでしょうか。(ちなみに園でお友達や先生と手紙などやりとりする子はひらがなも数字もどんどん書きます……わが子たちは全くしなかったけど(笑))
なので、数に関しては子どもが興味をもったな。という瞬間をつかまえて、ひとつひとつ伝えていったり一緒に数えたりしてみてくださいね!
※1……厳密には数の前に、数えるものの対象を捉える単元があります。
以上!
今回は「100までの数」をテーマにお話ししていきました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!

次回はちょっと趣向を変えて、単元ではなく「『教えない』ということ」をテーマに、子育てと算数についてお伝えしていきたいと思います。お楽しみに!